株式会社電通 セルフコンディショニング支援ツール「ウェルビーイングノート」で社員の心身の健康を促進

  • 医療・ヘルスケア
写真左より 株式会社電通 日比昭道氏、和田有子氏、大内智重子氏、大北弥鈴氏

広告やマーケティングを超えたより広い領域から顧客企業の成長をサポートし、社会全体の成長にコミットしている、株式会社電通。同社は、2016年にスタートさせた労働環境改革の取り組みとして「バイタリティ・デザイン・プロジェクト」を立ち上げました。「長く活躍し続け、ずっと輝いていられるプロのビジネスパーソンになるためには、自身のコンディションを良い状態に保つ“セルフコンディショニング”のスキルが不可欠。『電通で働くことが幸せだ』と思えるようなウェルビーイングを目指しました」と、労働環境改革の担当役員(当時)であり、同プロジェクトの責任者も務めたエグゼクティブ・アドバイザーの大内智重子氏は語ります。

セルフコンディショニングのためにまず必要だと考えたのが、社員のコンディションの可視化。そこでISIDとともに開発したのが「バイタリティノート」でした。 システムの使いやすさや効果について全局にキャラバンを行うなど積極的にアピールし、ピーク時には全社員の利用率が約95%に達するほど浸透しました。おかげでコロナ禍においても社員のマインド変化にいち早く気づくことができ、フォローアップをスムーズに進められたと言います。

そのバイタリティノートの開発・運用で得た知見をもとに、ISIDはサブスクリプション型のクラウドサービスとして「ウェルビーイングノート®」を開発し、2021年より提供を開始しました。開発を担当したISID コミュニケーションIT事業部 澤井克之は、「電通という大企業の運用で培ったノウハウを詰め込んだウェルビーイングノートは、お客様の健康経営の取り組みに必ず貢献できると思っています」と力強く語ります。

社員の幸せを追求したどり着いた、“セルフコンディショニングスキルの重要性”

ずっと輝いていられるプロのビジネスパーソンになるためには、自分で自身のベストコンディションを保つ“セルフコンディショニング”のスキルが不可欠

大内智重子氏

2016年末、電通は「電通労働環境改革本部」を設置し、労働環境の改善に向けたさまざまな施策を始めました。その中で、「社員の健康管理・ケアの充実」を図るために立ち上げたのが「バイタリティ・デザイン・プロジェクト」。労働環境改革の担当役員であり、同プロジェクトの責任者も兼任した大内氏は、「まず『社員の幸せとは何か』を考えるところからプロジェクトがスタートしました」と話します。議論を重ね定義したのは“バイタリティ”という言葉。「『ワクワクしながら前向きに仕事ができる』とか『新しいことに挑戦したくなる』といった健康的な心の状態を“バイタリティが高い状態”と定義しました」。

ただ、バイタリティは高ければ良いというわけではないと大内氏は続けます。「いつもやる気に満ちて働きたい人もいれば、メリハリをつけて働きたい人もいる。理想的なバイタリティの在り方は人それぞれであり、会社が押し付けるものではないと考えています」。 では、人それぞれに異なるバイタリティの状態を会社としてどう支えるか。たどり着いたのは“セルフコンディショニング”の重要性でした。「一人ひとりが自律的に自身の心地良いバイタリティを維持する“セルフコンディショニング“が大事であるという考え方を伝え、そのスキルを獲得できるようにすることを、同プロジェクトのゴールに設定しました」。

そのためにはまず社員のコンディションを可視化するツールが必要だと考え、いくつかの既製ツールを比較検討したものの、「セルフコンディショニングを追求する」という目的に合致するものはありませんでした。そこで、電通グループにおいて多くのシステム開発実績を持つISIDに声をかけ、独自に開発し生まれたのが、「バイタリティノート」でした。

ツールの独自開発、大事にしたのは“説得力”、“簡便さ”、“適切なデータ活用”

とにかく簡便に記録できるというところに、とことんこだわりました

日比昭道氏

プロジェクトプロデューサーとしてバイタリティノートの開発に携わった人事センター HRマネジメント室 育成部部長 和田有子氏が重視したのは3点、“説得力のあること”、“簡単に記録できること”、“蓄積されたデータを適切に活用できること”だったといいます。 「まず、学術的な根拠に基づく、説得力のある正しいものを作らないといけないと考えました。私達の知識や経験だけで作るのではなく、予防医学の専門家 石川善樹氏を始めとした専門家の監修を受けたり、『全国1万人会社員調査』を行ったりと、コンディションを正しく計測する手法について精査しました」。

2点目は“簡単に記録できること”。正しいものができても、入力に手間がかかれば使ってもらえない。「簡便に記録できるというところにとことんこだわりました」と語るのは、同プロジェクトをクリエイティブ面で支援した第3CRプランニング局 ストラテジストの日比昭道氏。試行錯誤を重ね、「3秒でできる」というキャッチコピーをつけられるほど簡単に入力できる操作性を実現したといいます。また、操作上の簡便さに加え、「個人のデータを会社に監視されるのではないか」という心理的な使いにくさを排除することにも注力。本人が望んだとき以外は個人が特定されたデータを上長が閲覧できない仕様にするなど、社員のプライバシーにも徹底的に配慮しました。

3点目は、“蓄積されたデータを適切に活用できること“。「バイタリティノートのデータは、個人・組織・経営、それぞれの視点で有効に活用できています」と和田氏は語ります。「個人にとっては、記録を長く続けることで自分自身の変化を見られるという効果があります。組織にとっては、調子が悪そうな人に迅速な対処を図る等に役立ちます。約5年間の運用を通じて、社員の状態を定量値として蓄積できることは、とても有益であると感じています」。

これらを重視した開発でのISIDの貢献を語るのは、人事センター 労務マネジメント室で人事施策の企画・運営を務める大北弥鈴氏。「ISIDはシステムの受託開発という範囲を超えプロジェクトに貢献してくれました。学術的な精査においても、自ら学会に足を運んだり、有識者へのインタビューを行ったりと積極的にウェルビーイングについて学び、そこで得た新しい情報や知見を私達に惜しみなくフィードバックしてくれました」。また日比氏は次のように続けます。「社員が使いやすいシステムにしたいという思いを同じ目線でとらえてくれました。システム会社の人という距離感ではなく、同じプロジェクトメンバーとして信頼しなんでも相談させて頂きました」。「このプロジェクトにおけるISIDの貢献はとても大きいです」と和田氏も話します。

環境変化に合わせたカスタマイズでアジャイルに進化

社員の状態を定量値として蓄積できることは、さまざまな面でとても有益であると感じています

和田有子氏

バイタリティノートは、リリース後も社員の声を取り入れながら、アジャイルに機能追加が行われてきました。たとえば、コロナ禍を機に加わった「ひとことコメント機能」。 2018年に電通が行った「全国1万人会社員調査」で、健康に働くためのカギのひとつには「雑談」があるということがわかりました。しかし、コロナ禍でリモートワークになると、必然的に雑談は減ってしまいます。 そこで、バイタリティノートにひとことコメントを残せる機能を追加。開示先を上司に設定すれば、ちょっとしたメッセージを気軽に伝えられます。それを見た上司は「いいね」を押したり、コメントを返信したりすることができ、雑談のようなコミュニケーションが生まれるきっかけとなるのです。

「コロナ禍での労働環境の変化や、組織体制の変化などに合わせ、機能追加やカスタマイズを行い、バイタリティノートを進化させてきました。その都度ISIDは私達に寄り添い、柔軟に取り組んでくれました」と語る大北氏。約5年間の運用を経て、社員の健康に対する意識の変化を感じると言います。「バイタリティノートで毎朝振り返りをしてから業務をスタートする、というように習慣的に利用している社員もいます。今後も社員の心身の健康をサポートするため、さまざまな産業保健の取り組みと融合させながらバイタリティノートを活用していきたいです」と語ります。

コロナ禍が後押しした「ウェルビーイングノート」の誕生。柔軟性の高さでさまざまな企業に貢献

ISIDは積極的にウェルビーイングについて学び、そこで得た新しい情報や知見を私達に惜しみなくフィードバックしてくれました

大北弥鈴氏

バイタリティノートの開発を担当したISID澤井は、電通社員のセルフコンディショニングに対する意識の変化を間近で感じるとともに、コロナ禍におけるリモートワークの浸透で、社員の健康状態を可視化する重要性が一層増すのを感じたと言います。「この時代において、バイタリティノートの開発・運用の経験で得た知見は世の中の役に立つのではないか」。そう考えた澤井は、電通の賛同のもと、バイタリティノートの機能をベースに、他企業にも広く展開できるクラウドサービスとして「ウェルビーイングノート®」を開発しました。

ウェルビーイングノートは、バイタリティノートにもあった簡便なパルスサーベイ機能を軸に、振り返りに活用しやすいダッシュボード機能や、チームのコミュニケーションを促進するリアクション機能、セルフコンディショニングスキルの向上につながるTips表示機能を備えています。手軽に導入しやすいサブスクリプション型のクラウドサービスでありながら、企業の社内システムとの連携や、各社の規程に合わせたカスタマイズが可能です。

澤井は次のように語ります。「ウェルビーイングノートは、電通で5年間運用したバイタリティノートのノウハウが詰め込まれています。こういった可視化ツールには手軽に導入できるものも多いですが、継続利用できないと、その効果を十分に発揮できません。従業員満足度やエンゲージメントがある期間での指標であるのに対し、ウェルビーイングはその持続可能性が重要になるものと捉えています。健康経営に取り組むあらゆる企業に貢献できるはずです」。

2022年8月更新

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社名
株式会社電通
本社所在地
〒105-7001 東京都港区東新橋1-8-1
創業
1901年(明治34年)7月1日
資本金
100億円
従業員数
6,578人(2021年12月末日現在)
事業内容
  • 顧客のマーケティング全体に対するさまざまなソリューション提供
  • デジタル時代の変革に対応する効率的な広告開発、最適な顧客体験のデザイン
  • マーケティング基盤そのものの変革や顧客事業の変革推進
  • 記載情報は取材時(2022年6月)におけるものであり、閲覧される時点で変更されている可能性があります。予めご了承ください。

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