産業機器メーカ様 「自社の固有技術」を活用した150億円規模の新規事業創出

  • 新規事業開発

産業機器メーカA社は、既存事業の成熟化に伴い中長期的な売り上げ拡大に向けて新規事業の創出が必要になっていました。これまでも自社内で新規事業アイデアを考えていましたが、既存事業の延長線で成長が見込めない事業アイデアが多かったです。また、自社の事業領域から離れたアイデアを考えたくても、市場情報を得ることが難しく、自社の固有技術が活かせるか否かの判断が難しい状況でした。
そのため、既存事業の延長線ではない新しい事業領域において、自社の固有技術を活かし、成長性と実現性の両面を兼ね備える新規事業の創出が求められていました。

10年後に売り上げの柱となる新規事業の探索
①「自社の固有技術」を「機能(自社のできること)」で棚卸し

技術の棚卸し(共通言語による一元化)

A社は多面的に事業展開をしていて強みとなるシーズ技術を多数保有していましたが、それらが全社として共有化されていないことが事業アイデアの幅を狭めている一因となっていました。本活動の目的を達成するためには、社内に点在している知見を共通言語で一元化・共有化し、事業アイデアの幅を広げることが必要でありました。
知見の一元化は、自社技術を専門分野外の人でも技術の内容を把握できるように技術名(例:成膜技術)で表現をするのではなく、その技術が有する「機能」(例:どんな基板にも均一に緻密な膜を成膜できる)で表現することで共通言語化できます。本活動では事業部横断でメンバーを選定し、各担当部門が保有する技術の棚卸し(共通言語による一元化)を行い、「自社のできること」を棚卸しを実施しました。

②市場機会の探索

前項での「自社のできること」の棚卸しを踏まえて、弊社が持つ未来予測データベースから抽出された世の中の潮流からの業界構造の変化を予測し、今後市場拡大が期待される有望市場を複数選定しました。さらにその有望市場に対して、特許調査・論文調査・専門家へのヒアリングを行い「各市場に潜む技術面での課題」を可視化しました。

③事業アイデアの発案

新規事業創出フレームワーク

①で把握した「自社のできること」と②で把握した「各市場に潜む技術面での課題」を掛け合わせて事業のタネとなるアイデアを発案しました(新規事業創出フレームワーク)。アイデア発案では事業部横断でメンバーを集め、幅広い視点から事業アイデアを創出したことで従来では発案されなかったようなアイデアを発案することができました。また、②にて事前に十分な動向調査を行っていたこともあり、発案されるアイデアも具体性の高いものが多く発案されました。

④事業アイデア絞り込みと事業戦略の立案

アイデア評価結果イメージ

事業アイデアの絞り込みは、新規性の高い領域でのビジネス展開であることを考慮し、アイデアが市場に受け入れられるか否かの受容性と自社のシーズ適合性などを点数化して絞り込みを行いました。
最終的に残った事業アイデアに対して、専門家へのさらなるヒアリング調査から、ビジネスモデル、市場規模を予測し、戦略と実行プランを立案しました。

150億円規模の事業計画の実現に向けた自信と確信が得られた

「自社のできること」を活かし、成長が見込める全く新しい事業領域への計画書が策定できました。長期経営計画に基づく、足の長い計画ではありますが、A社は、目標達成に向け着実に進んでいます。
新規事業立案やイノベーション創出の難しさは、知らない業界の情報入手が難しく、事業化すべきか否かの判断ができないことです。その結果、プロジェクトの延期や中止が発生してしまいます。

今回、弊社から業界情報を提供し、意思決定者を含め、多くの社内のメンバーを巻き込みながら、社内で納得できるプロセスを経て進めることができました。言い換えるなら、「知らないので判断できないこと」を極力なくした意思決定が出来ました。

  • 記載情報は取材時(2013年8月)におけるものであり、閲覧される時点で変更されている可能性があります。予めご了承ください。
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