自動車部品メーカ様 ストーリー性のある質の高い研究開発テーマ創出と100億円規模の新規事業計画の立案

  • 新規事業開発

自動車部品メーカZ社は、ここ数年の売上推移は微減、営業利益は2%と低迷しており、販売戦略だけではなく、商品開発戦略においても抜本的な対策が必要になっていました。

従来の延長線上ではない研究開発テーマの発見と事業性評価

Z社の研究開発テーマは、品質や性能の向上を図ることに主眼を置いたものが中心でした。しかしながら昨今、自動車産業は成熟期を迎えており、これまでの延長線上にある性能向上やコスト低減だけでは競合に対する差別化が難しくなりつつあります。そこで、従来の延長線上ではなく、確実に利益を上げられる研究開発テーマの立案が本プロジェクトの目的となりました。

①未来因子を基にした将来予測

従来の延長線上ではない新たな研究開発テーマを探索するためには、「自社は何ができるか」を第一に考えるのではなく、「世の中はどのような商品やサービスを求めているのか」を考えることが必要になります。そのためまず、次世代のモビリティーを中心とする世の中の将来像を検討しました。弊社が持つ未来予測データベースから関連のある項目を抽出し、プロジェクトメンバーと共に将来予測マップを作成しました。この予測マップ作成を通じ、プロジェクトメンバーは、これまでの研究開発スタイルが製品中心であり、消費者を向いていなかったこと、消費者の変化を見落としてしまっていたことに改めて気づくことができました。

②次世代モビリティーに向けたアイデア発案・絞り込み

従来のアイデア発案(左)
K-Matrixを適用したアイデア発案(右)

本プロジェクトでは、①で作成した将来予測を刺激のネタとし、弊社が独自に考案した発想プロセス(※K-Matrix法)を用い、弊社コンサルタントがファシリテーションを行う組織横断の共創型ワークショップ形式で、参加メンバーの思いを高めながらアイデアを発案しました。その結果、従来Z社が実施しているアイデア出しと比較して、2.5倍のアイデアが発案できました。更に、利便性や安全性に関するアイデアだけではなく、従来はなかったような愛情や自尊心に訴えかける欲求に対するアイデアも発案することができました(上図)。

③事業モデルの検証

事業性検証レポートイメージ

自社視点ではなく、世の中視点で研究開発テーマの探索をすると、時として、現在の自社の持つビジネスモデルでは扱えない商品やサービスにアイデアが行きつくことがあります。本プロジェクトでも最終段階に残ったアイデアは、従来のビジネスモデルに対して革新を迫るものでありました。そのため、長期的に競争優位を保ち、確実に利益につなげていくにはどのようなビジネスモデルにすれば良いかを併せて検討しました。

従来とはまったく異なる付加価値をもつ質の高いアイデアを発案でき、新しいビジネスモデルに沿ったストーリー性のある100億円規模の事業計画案を作成できました

Z社は、この結果を受け、次世代移動車両へのビジネス展開を決め、組織横断のプロジェクトチームを作り開発をスタートさせました。
ビジネス展開を意思決定できた要因は、この活動で以下2点が達成されたからです。

  • 従来の延長線上にない、性能向上・コスト削減とはまったく異なる付加価値をもつ質の高い研究開発アイデアの発案。
  • 新しいビジネスモデルとあわせたストーリー性をもった100億円規模の事業化計画案の作成。

私たちコンサルタントという第三者視点と実績のあるフレームワークを活用することで、Z社は、これまでの延長線上になりがちな視点を払拭し、「自社が提供するべき価値は何なのか」を深く検討できました。

  • 記載情報は取材時(2011年9月)におけるものであり、閲覧される時点で変更されている可能性があります。予めご了承ください。
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