ソフトバンク株式会社 SAP ERPをダウンタイム45時間でMicrosoft Azureに移行 パフォーマンスの強化で月次のバッチ処理時間を半分に短縮

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写真左より 北澤勝也氏(ソフトバンク株式会社 テクノロジーユニット コーポレートIT本部 本部長)、堀口大輔氏(同 エンタープライズシステム統括部 ERPシステム部 ERPサービス課 課長)、
益子智弘氏(同 エンタープライズシステム統括部 ERPシステム部 ERPサービス課)、二瓶良介氏(同 エンタープライズシステム統括部 ERPシステム部 システムデザイン課)、
小枝康二(ISID エンタープライズIT事業部 EITコンサルティング1部 グループリーダー)、内藤和紀(同 コンサルタント)

移動体通信事業、ブロードバンドサービス、固定通信事業を軸としたビジネスを展開するソフトバンク株式会社。財務/管理会計のシステムにSAP ERPを利用している同社は、オンプレミス環境でインフラを運用してきましたが、長年の利用でパフォーマンスの低下が見られたことからMicrosoft Azureへの移行を決断。ISIDをパートナーに採用し、SAP ERPシステム(3.3TB DB) を45時間のダウンタイムで移行しました。移行により月次のバッチ処理が従来の半分になるなど期待どおりの効果を得ることができました。

15年以上オンプレで運用してきたSAP ERPをAzureに移行してパフォーマンスの強化へ

ISIDをパートナーに選んだ理由は、ダウンタイムを48時間に抑えるという必須要件に対応できたことです。

テクノロジーユニット
コーポレートIT本部
エンタープライズシステム統括部
ERPシステム部 ERPサービス課 課長
堀口大輔氏

ソフトバンクグループの中核事業会社として、通信事業を軸にした情報革命に挑むソフトバンク。経営を支える財務会計システムは、2003年にSAP R/3を導入して以来、SAP ERP(ECC6.0)にアップグレードしながら15年以上にわたって利用してきました。インフラは自社のデータセンターを活用し、オンプレミス環境で運用してきましたが、2019年にサーバーの保守期間が終了することから、2017年頃から新たなインフラへの移行を検討しました。

そこで同社が目指したのは、パフォーマンスの向上です。テクノロジーユニット コーポレートIT本部 エンタープライズシステム統括部 ERPシステム部 ERPサービス課の堀口大輔氏は次のように語ります。
「長年の利用でデータ量が増加し、夜間バッチなどの処理速度が低下していました。その課題を解決するために、インフラ基盤の刷新が急務となっていました」

同社はRFPを作成する前のステップとしてISIDに相談。リスクを考慮しながら作成したRFPを複数のITベンダーに提出し、各社から提案を受けた中から新たなインフラにMicrosoft Azure(以下、Azure)を採用しました。Azureを選択した理由は、SAP ERPの稼働に必要な機能やマネージドサービスが充実していることと、Windows Serverとの親和性の高さ、さらにピークに応じてリソースが拡張できる柔軟性と、安価にDR環境が構築できることでした。事前のPoCで、パフォーマンスの低下が激しかった固定資産関連の月次レポート処理が、半分以下の時間に短縮できたことも決め手になりました。
移行のパートナーには改めてISIDを指名しました。堀口氏は「ISIDをパートナーに選んだ理由は、ダウンタイムを48時間に抑えるという必須要件に対応できたことです。多くのベンダーが躊躇する中でISIDからは確実な解決策の提案がありました。加えて、Azureへの移行実績やノウハウを評価して採用を決めました」と語ります。

3.3TBのデータを短期間に移行し45時間のダウンタイムを実現

ISIDの協力を得ながらサーバーやストレージのスペックを調整し、最終的にベーシスの移行だけで38時間まで短縮することができました。

テクノロジーユニット
コーポレートIT本部
エンタープライズシステム統括部
ERPシステム部 ERPサービス課
益子智弘氏

プロジェクトは2019年8月にキックオフ。
2020年8月後半の2日間で本番環境を移行し、新環境に切り替えています。移行時は時間短縮を優先してアプリケーション(ECC6.0)の改修はせず、ベーシスとインフラのみを最新化する方針としました。

その中で実施した独自の工夫は、本番機の前段階となる中間機をAzure上に構築し、2ステップで移行したことです。同ERPサービス課の益子智弘氏は次のように語ります。
「中間機上でベーシスのバージョンを上げて、さらにSQL Server2008からSQL Server2016にアップグレードしました。中間機上でDB暗号化やSQLのエラーチェックを実施し、トラブルなく本番機に移行することができました。こうした対応ができたのもサーバーを一時的に立てて、開発が終われば停止できるクラウドならではのメリットです」

ソフトバンクにおけるAzure利用のモデルケースとなり、今後の活用に貢献することができました。

テクノロジーユニット
コーポレートIT本部
エンタープライズシステム統括部
ERPシステム部 システムデザイン課
二瓶良介氏

48時間のダウンタイムを実現するために、Azure上のサーバーやストレージのチューニングを徹底したこともポイントです。
「開発初期の検証では4TBのデータベースのデータ移行に108時間かかることがわかりました。そこでデータを3.3TBにアーカイブするとともに、ISIDの協力を得ながらサーバーやストレージのスペックを調整し、合計3回のパフォーマンスチューニングを実施した結果、最終的にベーシスの移行だけで38時間まで短縮することができました」(益子氏)

基幹システムのインフラとして初めてAzureを導入するソフトバンクにとって、全社的な調整も発生しました。プロジェクトを主幹するERPシステム部隊だけでなく、インフラやネットワーク全体を統括する部隊や、セキュリティーを統括する部隊とも協議しながら運用ルールを定めています。同システムデザイン課の二瓶良介氏は次のように語ります。
「IT本部内にAzureに関するノウハウがなく、運用のためのドキュメント類も未整備でしたので、安全に利用する方法を組織横断的に検討しました。結果的に、ソフトバンクにおけるAzure利用のモデルケースとなり、今後の活用に貢献することができました」

数十時間を要していた固定資産関連の更新処理を半分以下に短縮

今回はSAP ERPでの固定資産の管理単位の詳細化によるデータ急増への対応のために、スピーディにハードウェアが調達できて、スケーラブルに拡張できるAzureを採用しました。

テクノロジーユニット
コーポレートIT本部 本部長
北澤勝也氏

Azureに移行後、SAP ERPは安定稼働を続けています。懸念事項だったパフォーマンスは大幅に強化され、これまで数十時間を要していた月次の固定資産関連の更新処理は半分以下に短縮されました。インフラコストやハードウェアの運用管理面においてもメリットが得られているといいます。
「クラウドによって、月次処理のピークに合わせてリソースを拡張したり、サーバーを使わない時間帯は落としておいたりすることができるため、コストの最適化を実現しています。オンプレミスのサーバーのように調達時の必要性能の詳細な見積もりも不要で、ハードウェア障害対応などの運用・保守からも解放されました。今後はリソースの利用状況を見ながら、定額料金(リザーブドインスタンス)への移行も検討しています」(益子氏)

今回のプロジェクトを機に、今後はソフトバンク全体でクラウドシフトを加速させていく方針です。同本部長の北澤勝也氏は次のように構想を明らかにしています。
「今回はSAP ERPでの固定資産の管理単位の詳細化によるデータ急増への対応のために、スピーディにハードウェアが調達できて、スケーラブルに拡張できるAzureを採用しました。今後も自社のデータセンターとクラウドの両方を、適材適所で活用していく予定です」

SAP ERPの更新を機に、クラウドの本格活用に踏み出したソフトバンク。5G、IoT、AIを軸に新たなビジネスの創出を目指す同社にとって欠かせない基盤となりそうです。

 

2021年5月更新

ソフトバンク株式会社

ソフトバンク株式会社(東証一部:9434)は、「情報革命で人々を幸せに」というソフトバンクグループの経営理念の下、ライフスタイルやワークスタイルに変革をもたらす、さまざまな通信サービスやソリューションを提供 しています。スマートフォンを中心とした魅力的なサービスや5Gネットワークで通信事業を強化するとともに、AIやIoT、ビッグデータなどの活用や、グローバルに事業を展開するグループのテクノロジー企業群とのコラボ レーションにより、革新的な新規事業を創出し、さらなる事業成長を目指しています。

  • 記載情報は取材時(2020年11月)におけるものであり、閲覧される時点で変更されている可能性があります。予めご了承ください。

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