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経理部門にとっての「ESG」と「TCFD

コンサルタントの眼

ビジネス現場での音声認識技術の活用

スマートフォン等のデバイスで、googleアシスタントや、siriなどの音声入力機能を利用されてる読者の方も多いのではないでしょうか。

これらは、音声認識技術を利用したアプリケーションですが、昨今、音声認識技術が日進月歩で進化しており、このような音声認識技術を上記のような日常生活のアプリケーションとして使うのみならず、業務アプリケーションに組み込み、業務効率化の手段としてビジネスの現場でも活用できるようになってきました。
代表的な音声認識技術としては、Microsoft社のAzure speech to textサービス、Google社のCloud Speech-to-Textサービス、Amazon社のTranscribe等があり、各社APIを公開しているため、ユーザ側のアプリケーションからそれらのAPIを呼び出すことで、様々なアプリケーションで音声認識技術を利活用することが可能です。

音声認識技術は、主に、
1. 入力された音声を音素に分解し(音響モデル)、
2. 分解された音の情報を、単語やフレーズとして組み合わせ、日本語として構築する(言語モデル)
という2つのステップで構成されていますが、サービス提供各社のモデルの違いにより、テキスト化された結果には違いが発生します。

音声認識をビジネスの現場で活用するには、下記のようなポイントに注意し、各社のサービスが品質面で業務運用に耐えられるか、実際に試して確認することが大切です。

(1)人によって声の音質や滑舌が異なるため、様々な人の音声を正しい日本語として変換できるか。
(2)人によって話すスピードも異なる。早口な人のテキスト化は可能か、またテキスト化のスピードは実用に耐えうるか。
(3)句読点の位置、漢字の変換も含めて正しい文章を生成することができるか。

また、実際に機能を使用する場所やシチュエーションを想定した検証を行うことも大切です。

例えば、
・会議室での議事録の書き起こしに使用したいのであれば、複数の人が同時に発言するような場合に正しく各人の発言をテキスト化できるかどうか。
・コールセンター業務での使用であれば、他のオペレータの声を拾わず、必要な声のみを識別しテキスト化できるか。
・フィールドサービスマンの日報報告に使用するのであれば、外出先での利用が想定されるため、雑音が多いような環境で正しく音声を認識できるか、またどのような音声入力デバイスを使用することが可能か。

コールセンター業務や議事録作成など、ビジネスの現場でも活用され始めている音声認識技術。
経理業務や経費精算業務でも近い将来活用できるかもしれませんね。

担当:田中丸 耕治(ISID/コンサルタント)

中田雑感

経理部門にとっての「ESG」と「TCFD

公認会計士 中田清穂

こんにちは、公認会計士の中田です。このコーナーでは毎回、経理・財務にかかわる最近のニュースや記事などから特に気になる話題をピックアップしていきます。よくある、無味乾燥なトピックの紹介ではなく、私見も交えて取り上げていきますので、どうぞご期待ください。

最近、新聞報道などで、「ESG」や「TCFD」の話題が頻繁に触れられるようになっていると感じています。

「ESG」は経理部門の皆さんもほとんどご存じでしょうが、環境(Environment)、社会(Social)、ガバナンス(Governance)の頭文字を取って作られた言葉です。これら3項目をおろそかにした活動をし続ける企業が、持続的に成長し続けることは難しいでしょう。
そういった観点から、「ESG投資」として、企業の長期的な成長が見込めるかどうか、金融・投資に関して「企業を見極める物差し」の一つとなっています。2006年あたりから、投資判断をする際の観点として提唱され支持を集めてきました。

「TCFD」は、G20の要請を受けて、「気候関連」の「情報開示及び金融機関の対応」をどのように行うかを検討するため、マイケル・ブルームバーグ氏を委員長として設立された「気候関連財務情報開示タスクフォース(Task Force on Climate-related Financial Disclosures)」のことです。
TCFDは企業に対し、気候変動関連のリスクと機会に関する下記の項目について開示することを推奨しています。

(1) ガバナンス(Governance):
気候変動関連のリスクと機会に関して、どのような体制で検討し、それを企業経営に反映しているか。
(2) 戦略(Strategy):
気候変動関連のリスクと機会に関して、短期・中期・長期にわたり、企業経営にどのように影響を与えるか。またそれについてどう考えたか。
(3) リスク管理(Risk Management):
気候変動のリスクについて、どのように特定、評価し、またそれを低減しようとしているか。
(4) 指標と目標(Metrics and Targets):
リスクと機会の評価について、どのような指標を用いて判断し、目標への進捗度を評価しているか。

上記のような「ESG」や「TCFD」に対して、「自分には関係ないや」とか「これはIRの担当者が考えるべき話しであって、経理には関係ないことだ」とタカをくくっている人も少なくないと思います。

しかし、「TCFD」の正式名所をよく見ると「気候関連財務情報開示タスクフォース」なのです。「財務情報」ですよ。
経理部門にとって無関係のはずはありません。
「環境」「社会」「ガバナンス」「戦略」「リスク」といった項目が、「財務情報」にどのような影響を及ぼしているのか、そして及ぼすと予想されるのか。そういったことを経理部門がきちんと把握して表現できるようにならないと、日本企業は、経理部門が変化に対応できないことが原因で、世界の企業から取り残されていくでしょう。
投資の対象にならなくなるからです。

12月2日の日本経済新聞では「『会計外交』舞台はESG 情報開示で新たな国際組織」という見出しの記事が掲載されました。以下はこの記事の抜粋です。『国際会計基準(IFRS)をつくる国際会計基準審議会(IASB)の母体、IFRS財団が統一的なESG基準づくりをする新組織設立の提案を公表。12月末まで関係者から意見を募る。』

ESG基準が、会計とかかわるにおいがプンプン匂ってきます。
経理担当者が勉強すべきは、会計基準だけではありません。

公認会計士 中田清穂氏のホームページ

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