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IFRS対応、グループ経営管理の高度化を支える連結会計ソリューション

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株式会社 電通国際情報サービス

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ISIDでは、会計基準の国際化、決算早期化、内部統制など、さまざまな課題を抱える経理業務関係者の方々のために、その課題解決の一助となるように、本メールマガジンを発行しております。

すでに監査法人やコンサルティング会社からも色々なメールマガジンが発行されておりますが、弊社のメールマガジンは、抽象的教科書的なものではなく、実務目線での情報提供を基本にします。どうぞお役立てください。

目次

コンサルタントの眼
〜 グループ経営管理高度化への検討 〜

企業活動のグローバル化に伴い、「グループ経営管理の高度化」は大きな課題となっています。私が担当させていただいている管理会計の領域では
A.グループ共通の管理セグメントで横串を通した予算実績管理
B.毎年の中期計画ローリング、年初予算と月次実績を前提とした月次予算 見直し
など、管理業務サイクルの早期化が課題の一例としてあげられます。

課題検討の過程をどう区切るかは様々ありますが、
1) 細分化と順位付け、2) 標準化、3) システム化アプローチ とした場合に、その検討内容を考えてみます。

1) 細分化と順位付け

大きな課題をそのままを見ていては解決の糸口が見えづらいため、まずは細分化します。上記A、Bの課題を例に考えてみます。

A-1 横串比較が必要な管理セグメント軸の定義(例:市場、製品、顧客)
A-2 予算実績対比が必要な管理セグメント粒度の定義
  (例:市場軸における、アジア地域、日本、都道府県)
B-1 各種業務データの編成方法、収集方法
B-2 各業務実施スケジュールの見直し

上記の通り、分けていくことができます。この中には、目標に即したあるべき優先順位と、既にシステム化されている等の理由から付ける優先順位があります。両者を考慮してこれから取り組む順位を定めます。

2) 標準化

1) で細分化した課題の中には、解決の前提として標準化が求められるものがあります。科目体系、管理セグメント、組織単位、業務フロー、データ収集や報告用のフォーマットなどが考えられます。
しかし、例えば特定仕向け国専用の製品があり標準製品セグメント体系に当てはまらないなど、企業活動のグローバル化が生む多様性と標準化は衝突してしまう面があります。
その際には、目標のために必要であるという観点と、システムとして合理的であるという観点から、標準化する範囲、多様性を認める範囲を定めます。

3) システム化アプローチ

1)、2)を前提に、これからシステム化する領域、順位、手段を検討します。
例として、A-1について考えてみます。

Step1:管理連結システムに標準の市場・製品軸を設け、連結レベルの横串 比較を実現
Step2:本社向け予算実績管理システムに標準の市場・製品軸を設け、個社 レベルの横串比較基盤を構築
Step3:Step2で構築した予算実績管理システムををグループ各社に展開し、個社レベルの横串比較を実現

などの案が考えられます。
早期に業務効果を出すためには、取り組み順位が高く、標準化した範囲をいかに素早くシステム化するかが重要です。一方で、取り組み順位が低い、または、多様性を認めた範囲に対してどういった業務的なケアを用意するかも重要です。

上記は課題検討の一部となりますが、弊社ではこのような検討支援をさせて頂いておりますので、必要の際にご用命いただければ幸いです。

◇ 担当:鈴木 裕介(ISID/コンサルタント)

中田雑感              公認会計士 中田清穂
〜 企業の中長期的成長を阻害する会計処理シリーズ『第3弾:減損会計』 〜

こんにちは、公認会計士の中田です。

このコーナーでは毎回、経理・財務にかかわる最近のニュースや記事などから特に気になる話題をピックアップしていきます。
よくある、無味乾燥なトピックの紹介ではなく、私見も交えて取り上げていきますので、どうぞご期待ください。

日本の会計実務では、営業赤字が2年続くと減損処理をする必要があるかどう かの検討が必要となります。

減損会計は、ある資産から
「将来に収入が得られない」ことが予想された場合に、
「資産として計上する価値がない」部分の金額を、
費用として処理する会計処理です。

「資産として計上する価値がない」というのは、会計マターです。
しかし「将来に収入が得られない」というのは、本来、経営マターです。

つまり、減損会計は、経営上のリスクを会計の問題として取り上げていること になります。経営の実態を表す会計処理をすることで、取得原価会計のみの財 務情報よりも、有用な情報が提供されることになります。

これは財務諸表を有用にするという観点からは、高く評価すべきことでしょ う。ただ日本の経営者にとっては、減損処理をすると、役に立たない資産の 購入や収益性の低い事業の買収をしたと思われるのを嫌って、できるだけ減 損処理をしなくて済むような考え方や態度をとる企業が少なくないようです。

さらに私が問題視しているのは、このような「財務諸表」を作成する際の対応 ではありません。「経営情報」を作成する際の対応の方が、より深刻な問題で あると考えています。

冒頭の一節を繰り返すと、日本の会計実務では、営業赤字が2年続くと減損処 理をする必要があるかどうかの検討が必要となります。

つまり、2期連続赤字が「減損の兆候」になるのです。

さてここで、日本企業の多くは「制管一致(又は財管一致)」の考え方で経 営情報を作成している企業が圧倒的多数といわれています。

「制管一致」は、制度会計に準拠した会計処理で作成した実績をベースに、 役員会資料等の経営情報を作成する考え方です。

経営情報を制度会計に準拠した数値で作成すると、今回のテーマである「減損 会計」の場合、巨額の損失が発生する可能性やその金額が、2期連続営業赤字 になるまで認知されません。

その資産や事業が主要ビジネスの一つである場合、容易に撤退や大幅な事業の 縮小は難しいでしょう。ある年に営業赤字になったとしても、すぐには撤退や 事業縮小の判断はせず、もう数年様子を見ようということになりがちではない でしょうか。

そして翌年度も営業赤字になった際に、いきなり巨額の損失計上が、役員会資 料に表現されて、経営会議に動揺が走ることになるのです。

営業赤字になった最初の年度では、減損損失を計上する必要は「制度会計上は」 ありません。しかし、今後の利益や現金回収能力をきちんと予測して、もしそ の期に減損処理をしたらこのくらいの損失額になるということを加味して経営 情報を作成したら、経営陣にその事実やリスクを、早めに認知させることがで きるでしょう。

これは「経営スピード」の問題です。
ただ、減損損失の額によっては、企業の存続すら危ぶまれる事態になるので 「持続可能性」の問題にもなりうるでしょう。

私は、シャープが鴻海に買収された事案について、この減損会計の問題がある と考えています。

4300億円が投じられたシャープの堺工場は、竣工(2009年)の2年後の2011年 に操業度を50%に落とし、巨額の減損処理を迫られました。
操業度を落とす1年前の2010年には、2011年に入るとエコポイント制度やデジ タルへの完全移行という「特需」が終わり、液晶パネルの市場が1800万台から 900万台に半減することを予想する役員がいました。
つまり、市場が半減することを知っている役員がいたにも関わらず、操業度を 1年間落とさなかったということです。
その結果、最新鋭の堺工場や倉庫では、液晶パネルの在庫がみるみる膨れ上がれ、 適正在庫は1か月程度のところ、3.4か月にまでになってしまったのです。

シャープは、「操業度を落とす」という経営判断を、減損会計に組み込まれて いる「会計判断」で行ってしまったのではないでしょうか。
そしてその体質が、買収されるまで変わることがなかったのではないでしょう か。

「制管一致」というのは、「会計判断」で「経営判断」を行うということだと 思います。とても危険な考え方ではないでしょうか。

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