IFRS対応、グループ経営管理の高度化を支える連結会計ソリューション
ISIDでは、会計基準の国際化、決算早期化、内部統制など、さまざまな課題を抱える経理業務関係者の方々のために、その課題解決の一助となるように、本メールマガジンを発行しております。
すでに監査法人やコンサルティング会社からも色々なメールマガジンが発行されておりますが、弊社のメールマガジンは、抽象的教科書的なものではなく、実務目線での情報提供を基本にします。どうぞお役立てください。
目次
2013年10月のIFRS任意適用要件の緩和によって、IFRSの任意適用企業数は着実に増加しており、現在、IFRS適用済及び適用決定会社数は90社を超えています。また、今後適用を検討されている会社も多いと思います。
今回はシステム導入を視野に、今後IFRS導入を検討されている企業の経理、及びシステムのご担当者向けに、財務会計システムに求められる要件をご紹介いたします。
IFRS導入時、財務会計システムには大きく以下の6つの論点があげられます。
以下、それぞれの論点に対するポイントを記述します。
複数基準対応のポイントは3つあり、IFRS導入後も何らかの形で複数基準への対応が必要となります。
尚、複数基準へのシステム対応としては、一帳簿方式(差分調整方式)と複数帳簿方式がありますが、それぞれの特徴は以下となります。
< 一帳簿方式(差分調整方式) >
一つの基準の帳簿を作成し、異なる基準については調整記帳を行って財務諸表を作成する方式です。本方式では、例えば、売上における出荷基準と検収基準の相違のように基準差を容易に把握できるケースの場合、優位性がありますが、金融商品の公正価値の算定のように、複雑な計算をしないと基準差が把握できないケースの場合、決算時の作業負荷が高くなります。
< 複数帳簿方式 >
複数帳簿方式とは、基準毎に帳簿を作成し財務諸表を直接出力する方式です。
複数帳簿方式では、基準毎のデータをダイレクトに保持していますので、データのトレーサビリティに優れ、決算締め前に基準差を把握できるというメリットがあります。
また、決算時の作業を平準化できる為、業務効率性という観点で優れていますが、一方でシステム導入時にコストが掛かります。
実際にシステムを導入する際には、基準差(調整記帳)の想定ボリューム、決算スケジュール、システムへの影響等を鑑みて慎重に検討する必要があります。
仕訳登録についてですが、殆どの仕訳は共通となり、もし複数帳簿を保持する場合には、二重入力を排除する仕組みが必要です。
例えば、経費の申請、支払といった仕訳は基準間で共通となりますので、これらの共通の仕訳を各帳簿にコピーする仕組みが必要です。
IFRSの基準はまだ変更される可能性があり、内容によってはインターフェイスを変更する必要があります。変化に対応する為には、プログラミング開発により作り込んだ機能ではなく、インターフェイスを設定で変更できる機能やルールベースで仕訳を自動生成する機能が求められます。
また、複数帳簿を保持する場合には、異なる会計基準に従った複数の仕訳を生成する機能が必要になります。
財務諸表は、各基準に準拠した様式で出力できる帳票作成機能が必要です。
また今後、法制度改正、基準の変更により様式が変わる可能性があり、変化に対応した、容易に変更可能な拡張性のある帳票出力機能が求められます。
こちらもインターフェイスと同様に、設定で変更できる機能があれば尚良いです。
IFRSでは膨大な量の記載が要求され、ある事例によると日本基準の1.5倍になったというケースもあります。業務の効率化を目的として、システムには注記の元データを抽出するデータ検索の仕組みが求められます。
また、注記では各種増減表の作成も求められ、残高から明細、明細から原始データに遡る仕組みも必要となります。
最後に連結システムとの連携についてですが、連結決算において、日本基準とIFRSの財務諸表の作成は避けられない状況にあり、連結決算を効率化する仕組みが必要です。連結データの転送においても極力自動化する仕組みが求められます。
以上、今回は財務会計システムという狭い範囲に限定して記述しましたが、今後のIFRS導入、及びシステムの導入を検討されている場合において参考になれば幸いです。
◇ 担当:山岸 功義(ISID/コンサルタント)
こんにちは、公認会計士の中田です。
このコーナーでは毎回、経理・財務にかかわる最近のニュースや記事などから特に気になる話題をピックアップしていきます。
よくある、無味乾燥なトピックの紹介ではなく、私見も交えて取り上げていきますので、どうぞご期待ください。
電子帳簿保存法(以下、電帳法)が2015年9月末に改正されたことをご存知の方は多いと思います。今回の電帳法改正で、請求書や領収書等のエビデンスを紙保存ではなくスキャナ保存が"断然"導入しやすくなりました。
その最大のポイントは、3万円ルールが撤廃されたことです。
従来の電帳法では、請求書、領収書及び契約書等のエビデンスについて、紙ではなくスキャンファイルによる保存が認められてはいたものの、3万円未満のエビデンスに限定されていました。
したがって、営業などの現場で「3万円未満だからこの領収書の"紙"保存は不要」とか「3万円以上だからこの領収書の"紙"保存が必要」といった判断や手続きが必要でした。このため、現場の混乱や税務調査などでの指摘を避けるために、「すべて紙で保存しておこう」ということになっていたのです。
その結果、国税関係書類のスキャナ保存を申請する件数は、この10年間で130件あまりしかありませんでした。
今回の電帳法改正で、この「3万円ルール」が撤廃されたことで、国税関係書類のスキャナ保存が一気に広がることが予想されています。
ただし、今回の電帳法改正を、実際に間接コストの削減などに活かすには、
などが総合的に絡んできます。
したがって、この絶好のチャンスをどう生かせばよいのか、どこまで効果があるのかなどについて、はっきり理解できていない経理関係者の方も少なくないようです。
今回の電帳法改正を生かすと以下のようなメリットがあります。
少なくともa)のコストダウンについては、皆さんの会社で概算を算出することができるでしょう。
ちなみに、今回の電帳法改正による国税庁のメリットは、「調査の効率化」です。紙を探すより、スキャンファイルと検索する方が圧倒的に調査の効率が良いのです。
「国税庁が喜ぶような対応はしたくない」という気持ちもわかりますが、大切なことは自社でのメリットですね。
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