IFRS対応、グループ経営管理の高度化を支える連結会計ソリューション
ISIDでは、会計基準の国際化、決算早期化、内部統制など、さまざまな課題を抱える経理業務関係者の方々のために、その課題解決の一助となるように、本メールマガジンを発行しております。
すでに監査法人やコンサルティング会社からも色々なメールマガジンが発行されておりますが、弊社のメールマガジンは、抽象的教科書的なものではなく、実務目線での情報提供を基本にします。どうぞお役立てください。
目次
IFRSになると企業間の比較可能性が損なわれるという意見を目にします。確かに会計処理に複数の選択肢を認めるとか(例えば固定資産の原価モデルと再評価モデル)、同じ固定資産でも耐用年数が異なる可能性があるとか、企業毎に特有である管理会計の区分にもとづく開示を求める(マネジメント・アプローチ)など、異なる企業の財務諸表を単純には比較できないというデメリットはあると思います。ただ、それをもってIFRS導入の意味まで否定するかのような一部の否定論者の意見には違和感を感じます。
そもそもIFRSにおける比較可能性とはどういうことなのか、概念フレームワークにあたってみたいと思います。
フレームワークの第39項から始まる「比較可能性」という部分では、
と書かれています。ここで問題なのは「異なる企業間においても一貫した方法で」というところです。究極的には類似の事象に対する会計処理の選択肢を無くすというのがIFRSの目指すところなので、これはある意味、原則論といえます。
一方、現実的には実務上やその他の要求によりある程度の選択肢を残さざるを得なくなっているというのがIFRSの実情であり、そこが否定論者の攻撃対象にもなっているわけですが、これに関連して、フレームワークの第40項には次のような記述があります。
このようにIFRSでは類似の事象について企業間で会計方針が異なり得ることを認めたうえで、その場合でも各企業が採用している会計方針を開示し、財務諸表の利用者がその情報を読み解いて判断することで比較可能性は確保できると考えています。つまり、IFRSでは必ずしも、異なる企業が同じ会計方針、同じ勘定科目、同じ体裁での開示をおこなうというような意味での比較可能性を求めているわけではないことに注意が必要です。
考えてみれば投資家がどの株式に投資するかを判断する際には全く業種の異なる企業同士を比較することもありえるわけで、その場合、例えば商社と銀行とメーカーの財務諸表や経営指標を単純比較するようなことはナンセンスです。
そうではなく、それぞれの企業が将来、どれくらいの収益(究極的にはキャッシュフロー)を生みそうかの予測がしやすくなれば、投資家にとってはより有用な企業間比較ができるのではないでしょうか。
IFRSの導入によりそのような比較が容易になるのかについてはこれから実務面も含めた検証が必要でしょうが、マネジメント・アプローチでの開示を求め、投資家が経営者の行動を予測できるようにするという発想はまさにこのような指向性からきているのものと考えられます。
担当:藤原啓之( ISIDコンサルタント / IFRS Certificate)
こんにちは、公認会計士の中田です。
このコーナーでは、私の著書である『わかった気になるIFRS』の巻末に紹介している『IFRS質問箱』に実際に投稿された質問とその回答を中心にコラムを作成します。また、今後このメルマガ読者の皆さんからいただいた疑問点や、ISIDのコンサルタントがお客様からいただいたご質問なども交えてご紹介していく予定です。
学習レベルにはバラツキがあり、いろんな部署の方からのご質問があります。これまでみなさんが持たれた疑問と比べることも、意味があるはずです。また、これまでどこにも公表されていない貴重なQ&Aですので、どうぞご期待ください。
今回は、IFRS適用後の決算業務についてのご質問を取り上げます。
IFRSでは有形固定資産の減価償却方法、耐用年数、残存価額について毎期見直すことが求められていますが、実務的にどのようにおこなえばばよいかというイメージがわ
きません。
全ての資産について毎期見直しをおこなうのは困難と考えられますが、何か良い方法はありますでしょうか。
毎期、全ての資産を網羅的に見直すのではなく、見直しが必要となる何らかの事象が発生した資産について見直しの検討をおこなうことが考えられます。
例えば事業計画の変更によって使用期間や稼働方法に影響を受ける資産については見直しが必要だと思います。それ以外でも、除売却時に多額の処分損益が発生した資産があった場合、同種の資産の耐用年数や残存価額の設定が適切でないことが考えられます。また、用途や使用場所の変更があった資産については経済的便益の費消パターンが変化している可能性があります。
このような「見直しの検討が必要な場合」をあらかじめ決めておき、固定資産管理などのシステム上でフラグが立つようにしておくと対応しやすいと思います。
なお、実務上、重要性の低い資産については個々の資産ごとに検討するのではなく、類似の資産をグルーピングして検討することも考えられます。
このコーナーでは読者のみなさまからのご質問を受け付けています。
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