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遡及・修正再表示

ISIDでは、会計基準の国際化、決算早期化、内部統制など、さまざまな課題を抱える経理業務関係者の方々のために、その課題解決の一助となるように、本メールマガジンを発行しております。

すでに監査法人やコンサルティング会社からも色々なメールマガジンが発行されておりますが、弊社のメールマガジンは、抽象的教科書的なものではなく、実務目線での情報提供を基本にします。どうぞお役立てください。

目次

コンサルタントの眼
〜「複数帳簿」に関する議論の現状〜

IFRSに関する典型的な議論に、IFRS基準とローカル基準で複数の帳簿を持たなければならないかどうか、というものがあります。

これは、特に固定資産の減価償却についてよく議論されますが、多くの実務家は以下のような理由から税法ベースの減価償却をIFRSでも継続できることを望んでいるようです。

  • 日本のほとんどの企業では税法ベースで減価償却が行われている
  • 「損金経理要件」があるため、税法と乖離した償却計算を行うことは税務上デメリットとなる
  • 仮に税法とIFRSと2系統で償却計算を行うことは実務的に大きな負荷がかかる

しかしこの点について、日本公認会計士協会(JICPA)が6月15日に公表した、「会計基準のコンバージェンスと確定決算主義」を読むと、JICPAとしては必ずしもそのように考えていないことが分かります。

結論から見ると、当報告書では「損金経理要件を廃止」することを提言しており、IFRSに合わせて税法を変えるべきだという考えを示しています。つまり税法に合わせてIFRSを適用することに否定的であるといえます。

その理由として様々なことが記述されているのですが、そのうち興味深い記述を以下に列挙します。

  • 損金経理要件を廃止するデメリットとされる「課税所得計算における恣意性の排除」は金融商品取引法による厳格な規制と会計監査により担保できる
  • フランスでは損金経理要件を廃止していないため、税務とIFRSとの乖離によるデメリットが実際に生じている
  • ドイツでは損金経理要件を廃止した例がある
  • 会計(IFRS)が将来予測に役立つことを目指している以上、現行の税法との乖離は必然であり不可避である

これらはあくまでもJICPAとしての意見で、日本の税務当局がその通り対応を行うかどうかは、もちろん現時点では分かりませんが、各社がIFRS対応を進める上では、きちんと固定資産の利用状況と償却方法との乖離度合いに関する調査を行うことが無難といえるのではないでしょうか。

担当:桑原正博(ISIDコンサルタント)

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実録!!IFRS Q&A 公認会計士 中田清穂
〜遡及・修正再表示〜

こんにちは、公認会計士の中田です。

このコーナーでは、私の著書である『わかった気になるIFRS』の巻末に紹介している『IFRS質問箱』に実際に投稿された質問とその回答を中心にコラムを作成します。また、今後このメルマガ読者の皆さんからいただいた疑問点や、ISIDのコンサルタントがお客様からいただいたご質問なども交えてご紹介していく予定です。

学習レベルにはバラツキがあり、いろんな部署の方からのご質問があります。これまでみなさんが持たれた疑問と比べることも、意味があるはずです。また、これまでどこにも公表されていない貴重なQ&Aですので、どうぞご期待ください。

今回は、遡及・修正再表示についてのご質問を取り上げます。

ご質問

遡及・修正再表示?元帳の修正まで必要か?

過年度遡及修正に付いて教えて下さい。
会計方針変更、表示方法変更や過去の誤謬の修正時には、

  • 前年度以前の決算処理を再度行う必要がある。
  • つまり、貸借対照表や損益計算書だけでなく、総勘定元帳や各種補助元帳も全ての辻褄を合わせる必要がある。

と言う事でしょうか?

回答

必須ではありません。
当期の財務諸表と比較するための財務諸表が表示できればそれで良いのです。(この場合、「財務諸表」には、注記も含みます。)ただし、前年以前の財務諸表を作り直す場合に、一度作成した財務諸表を基礎として、それに修正仕訳などを加味するレベルではすまないような場合には、過去の仕訳を入れ直す(あるいは赤黒仕訳を投入する)ことで、総勘定元帳や各種補助元帳を作り直して残高試算表も作り直して、財務諸表を作り直す必要がありうると思います。

例えば、有形固定資産について過去設定した耐用年数が間違っていたことが判明したら、過去に遡って減価償却計算をやり直さないといけなくなります。
この場合、過去の各期の差額を計算して、差額について修正仕訳を作成することができれば一度作成した財務諸表を基礎として、それに修正仕訳などを加味するレベルですむことになります。

しかし、固定資産システムが月次バッチでしか仕訳を生成できない仕組みの場合、固定資産システムに正しい耐用年数を入れ直して、各月のバッチを回し直して、元帳や試算表を作成し直すしかないようなケースもありうるでしょう。
なので、総勘定元帳や各種補助元帳も全ての辻褄を合わせることは必須ではありませんが、必要になる場合もあるということになります。

また、過去の誤謬の修正の場合には、間違ったことから過去の税金を払いすぎたことがわかると、修正申告のために法定帳簿を作り直す実務もあるようです。

ご質問

遡及・修正再表示?重要性の基準はあるか?

前年以前の財務諸表の再作成の要否に関して、重要性の判断があると思いますが、何らかの目安はあるのでしょうか?
どうぞ宜しくお願い致します。

回答

残念ながらありません。
各企業が重要性の判断基準を作成し、監査法人と協議して了解を得て、その基準をもとに毎期決定することになります。

メルマガ事務局より

このコーナーでは読者のみなさまからのご質問を受け付けています。
以下のメールアドレスまでお気軽にお寄せください。

いただいたご質問にはすべてお答えする予定ですが、お答えするのにお時間がかかる場合がありますので、予めご了解ください。
g-ifrs@group.isid.co.jp 『ISID 経理財務メールマガジン』事務局

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