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公認会計士による研修制度での不適切行為

コンサルタントの眼

連結会計とジョブ型雇用

テレワーク・リモートワークが急速に拡大し、従来の日本企業的な雇用形態
である「メンバーシップ型雇用」から「ジョブ型雇用」にチェンジするまたとない機会となっています。
今回は、ジョブ型雇用と社内の連結会計スキルの棚卸について、ご紹介したいと思います。

1. ジョブ型雇用とメリットデメリット
ジョブ型雇用とは、ジョブを特定してそのジョブの専門性を持った人材を雇用する雇用形態です。新卒で一括入社したあと、全社的な研修を受けて配属が決定する従来の日本企業的人材獲得方法とは逆の方法と言えます。欧米ではこのジョブ型雇用が主流ということもあり、現時点では、先進的で好意的に見られることが多いですが、一般的なメリットデメリットには以下のようなものがあります。

<メリット>
・専門性の高い人材を採用でき、即戦力として活躍してもらうことができる
(雇用者側)
・決まっているジョブの専門性をさらに高めることができる(労働者側)

<デメリット>
・育成のメソッドが内部に蓄積されない(雇用者側)
・専門スキルがないと報酬が低くなりやすい(労働者側)

2. 連結会計スキルはジョブ型雇用とマッチするか
連結決算の開示が求められるのが、そもそも上場企業が中心であることを考えると、連結会計の知識や、連結システムの操作経験などは希少性のある専門スキルです。よって、連結会計担当はジョブ型雇用と非常にマッチしやすい職種だと考えられます。実際、連結会計の部署は他社から中途で来られた方や、監査法人から転職された方が多くいらっしゃる印象があります。

3. スキルの見える化
ジョブ型雇用と連結会計スキルに親和性があったとしても、ジョブ型雇用へ移行するかは各社で異なります。ジョブ型雇用の導入!とまではいかずとも、ジョブ型雇用の盛り上がりを以下の3点の見える化に活用されてはいかがでしょうか。

・連結会計に必要なスキル(資本連結、CF、セグメント情報、開示関係など)
・現在のメンバーのスキル
・連結会計に必要なスキルと現在のメンバーのスキルのマッチング

この3点を整理していただくことで、現在、不足している範囲と将来的に手薄になる範囲を明確にすることができます。従来は、全員で物理的に同じ場所で作業するのが当たり前で、すぐフォローできる体制がありました。そのため、上記3点が曖昧でも問題は生じる蓋然性は高くなかったと思います。現在ではテレワークにより、一人で作業することが増加しているため、メン バーのスキルを見える化しておくことは(特に連結決算全体を管理する立場の方にとっては)、決算を組むための非常に重要なことだと言えます。
また、上記の3点を見える化する際に、同時に検討が必要なこととして「自社でその人員をまかなうのか、外部にリソースを求めるのか」ということがあります。連結経理としてのコア業務を再定義して、コア業務ではないと判断したものは、外部リソースを活用するのも1案です。

弊社では連結経理のBPO業務を実施していますので、外部リソースの活用をご検討している場合は、是非ご相談ください。

担当:大形 浩祐(ISID/コンサルタント)

中田雑感

公認会計士による研修制度での不適切行為

公認会計士 中田清穂

こんにちは、公認会計士の中田です。このコーナーでは毎回、経理・財務にかかわる最近のニュースや記事などから特に気になる話題をピックアップしていきます。よくある、無味乾燥なトピックの紹介ではなく、私見も交えて取り上げていきますので、どうぞご期待ください。

2020年9月10日付の日本経済新聞Web版で、「会計士の研修不正、広がる波紋オンラインで二重受講」という見出しで記事が掲載されました。

記事にある「研修」というのは、「継続的専門研修(CPE)制度」のことです。「公認会計士の職業倫理や監査技量の向上」を目的としています。このCPEは、監査法人に勤務する公認会計士だけでなく、企業で経理業務に携わる公認会計士や独立して活動する公認会計士も対象となります。そして、全ての公認会計士が、毎年必要な「単位」を取得することが義務付けられています。

したがって、記事にある、日本公認会計士協会手塚会長のコメントにあるように、研修は「監査という公益に資する会計士制度の根幹をなす」位置づけとなります。

しかし、現実はどうでしょうか。

現在の研修内容は、研修の目的である「公認会計士の職業倫理や監査技量の向上」に効果的でしょうか。毎年「単位」を取得した公認会計士が、きちんとした職業倫理を持ち、監査技量を向上させているでしょうか。
甚だ疑問があります。

もしこのCPE制度が効果的であると仮定するならば、最近の不正会計事案での監査法人の「独立性」を疑わせるようなことは起きないはずです。少なくとも頻発はしないでしょう。

当然私も毎年40単位を取得する必要があります。
例えば、書籍を読んで、200字の感想文を書けば、「5単位」取得できます。
8冊読んで感想文を提出すれば、OKです。
意味が感じられません。義務なので仕方なく対応しています。

こんな制度で、不正が行われたからといって、目くじらを立てて処罰するなど、滑稽に感じます。

そんなことより、「きちんとした職業倫理を持ち、監査技量を向上させる」研修制度を、根本的に作り直すことの方が、より重要だと思います。

クライアントのビジネスを理解していないとか、会計基準の表面的な適用はできるが本質を理解できていない、などといった、今の公認会計士への厳しい評価に対して、効果的に対応できる研修制度が必要なのだと思います。

公認会計士 中田清穂氏のホームページ

メルマガ事務局より

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