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監査法人によるアンケート調査

コンサルタントの眼

明細レベルでの予算管理

昨今、詳細なレベルで予実管理を行いたいというご要望を良く耳にします。 投資案件単位、プロジェクト単位、経費の支出理由単位など、予算を立案する単位が年々詳細化しているように感じます。

本日は「明細」レベルでの予算管理システムを導入する際の考慮点をお話したいと思います。

予算管理システム導入のトレンドとして、今までは管理部署など取りまとめ部門での集計、分析作業の効率化に主眼が置かれていましたが、昨今では、予算の見える化を行うために、「明細化」を実施する、あるいは予算統制のために明細レベルで統制をかけて強化するという流れになっています。例えば、現場部署では、設備投資は明細レベルで各社予算化や執行管理がされていると思いますが、その範囲のシステム化、または、経費などの範囲までシステム化ニーズが広がってきているということだと思います。

しかし、実際には管理部署と現場部署では管理したい予実の体系、粒度が異なることが多いです。

例えば、経費の予算の場合、現場部署が管理している経費の明細は(基準の金額×10日分の交通費)といったある程度細かい粒度の金額を積み上げて予算立案を実施しますが、実際にシステムに登録する際には、管理部が分析したい単位(△月分)といった月別のサマリ情報で登録されたとします。

その場合、実績は日別で経費が発生しますが、予算では月別のサマリ値であるため、予実の差異分析を実施した際に、予算を入力した時の根拠情報は予算システムには登録されずに現場部署内で保管されている為、管理部署と現場部署とでやり取りが発生し、煩雑な作業となっていることもよく聞く話です。

どちらの部署も明細単位で管理したいニーズはあるものの、管理部署主体の考え方でシステム化を行った結果、サマリ情報でしか予実分析できないシステムが多いのが現状です。

これらのニーズ、課題が顕在化してきた為、明細管理できる予算システムを検討されるお客様が増えておりますが、予算を明細レベルまでに落としたシステムにするには以下の点を考慮する必要があります。

(考慮点)
 ・明細情報を集約する為、管理部署が管理したい集約の粒度と現場部署の管理したい明細の粒度を統一できるか。
 ・用途や目的等の明細情報を検索のキーにできるか。
  (コメント入力だけだと検索はできない。)
 ・現場部署がシステムに明細情報(用途や目的等の情報)を登録し集約できるか。

(期待される効果)
 ・個人で所有している予算根拠資料をシステムに登録し、予算の可視化ができ、妥当性を検討できる。
 ・明細レベルを入力されたデータを集約した結果を管理部署で確認できるため、予実差異の分析が容易となる。

予算情報を明細に管理する上での期待される効果や考慮点をいくつか挙げましたが、今後、予算管理システムのキーワードとしては、「煩雑なExcel業務からの脱却」「データの集計」「業務、計算方法、帳票や入力フォーマットの統一」だけでなく、「明細レベルで分析」「予算統制の強化」ということがキーワードになってきます。

弊社では経営管理領域のソリューションを複数取り扱っておりますので、課題、お悩みをお持ちの場合は、弊社を通じて、情報収集、ご相談頂ければ幸いです。

担当:平野 由佳理(ISID/コンサルタント)

中田雑感

監査法人によるアンケート調査

公認会計士 中田清穂

こんにちは、公認会計士の中田です。このコーナーでは毎回、経理・財務にかかわる最近のニュースや記事などから特に気になる話題をピックアップしていきます。よくある、無味乾燥なトピックの紹介ではなく、私見も交えて取り上げていきますので、どうぞご期待ください。

以前、2018年9月18日のこのコラムで、「監査法人への苦情」というコラムを書きました。

今回も監査法人に関するコラムです。

監査法人は、監査品質の維持・向上を目的として、定期的に関与先企業に「アンケート」を実施しているようです。
アンケートは、監査の実施時間、関与先とのコミュニケーション、報酬など多岐にわたるもののようです。
監査法人が自ら監査現場の実態を把握し、関与先の意見や満足度を確かめる
ことは、とても意義のある話です。
アンケート結果を生かして、課題を把握して、監査現場での問題を改善していくことにつながれば、目的である「監査品質の維持・向上」につながることは間違いないでしょう。

しかし、「監査法人への苦情」で触れた、以下のような苦情が浮き彫りになっているかどうかは疑問が残るところです。

(1) 監査担当者が変わるたびに同じ説明をしなければならない。
(2) 決算がほぼ終わった段階で監査法人内の審査で、事前の合意を反故にされるケースが頻発している。
(3) 国際会計基準(IFRS)を採用しているが、担当会計士では判断できず、 監査法人内に聞いて返答してくることが多い。
(4) 不備もないのにサンプリング件数が年々増加しているが、増やされる理由が全く説明されない。
(5) 監査計画の説明が大雑把過ぎる。

疑問を感じた理由は、2つあります。

1つは、監査法人がアンケート調査を行い、課題を把握して、監査現場での問題を改善しているのであれば、上記「苦情」が全く改善されていないことはないはずです。ということは、アンケート結果が、何らかの原因で生かされていないのではないかということになります。

2つめの疑問は、複数の経理担当者に聞いたところ、監査法人のアンケートには、本当のことを答えにくいという意見が大変多かったのです。
本当のことをアンケートで答えると、担当会計士は監査法人内の品質管理本部などに呼び出され、聞きとがめられて、評価が下げられてしまうということを、担当会計士本人から聞いてしまったので、とても本音での回答ができないということです。

そうであるならばこのアンケートの実質的な意味は失われ、「監査品質を維持・向上するための対応はしていますよ。」というパフォーマンスにしか過ぎないと言えるでしょう。

これは私が数人の現役経理担当者に聞いている話にすぎません。
したがって、監査法人ではない、第三者機関から、監査法人の実態調査をしようと考えています。

もしそのようなアンケートが、みなさんの所に来たら、ぜひご協力ください。もしかしたら、アンケート結果の集計結果や分析結果を解説する、「ヒミツ」のセミナーを開催するかもしれません。

公認会計士 中田清穂氏のホームページ

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