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新リース会計基準の開発動向

コンサルタントの眼

実録:今日からできる働き方改革!(続編)

■はじめに

前回2017年2月に「実録:今日からできる働き方改革!」と題して私の所属しているグループにおける働き方改革の取り組みを紹介させて頂きましたが、あれから2年の間にさらにさまざまな施策にチャレンジしてきましたので、その一部について共有させて頂きます。

ここで紹介する取り組みは全社的な施策ではなく、一つのチームで実践したものですので、読者の皆様のチームにも適用できるものであれば、是非試して頂ければと思います。

前回ご紹介させて頂いた取り組みは以下の3つでした。

・ビジネスチャットツールの導入
・事務派遣の採用
・パワーランチの導入

今回は以下の取り組みを紹介致します。

■組織の活動を可視化する共同作業管理アプリケーション『Wrike』の導入

我々は、お客様へのシステム導入のために、必要なタスクやその進捗状況をプロジェクト単位で管理しています。今まではこれを各プロジェクト管理者がExcelなどのローカルのツールで管理していたため、以下のような課題がありました。

1.管理者は進捗状況を最新にするために、口頭・メール・ファイルの授受などの方法で各メンバーとやりとりをする必要があり、時間がかかる
2.プロジェクト全体の進捗状況や、各メンバーの負荷状況を確認するための情報の整形に時間がかかる
3.複数のプロジェクトに関わるメンバーの負荷状況や、プロジェクト以外の組織としてのタスクを確認する方法がない

特に3点目はチーム全体の活動を可視化できていないということであり、今後の業務効率化のために、必ず解決したい問題と考えていました。そこで、約1年前に導入したのが共同作業管理アプリケーションであるWrikeです。
Wrikeの主な特徴は以下のとおりです。

1.タスクの予定・実績をクラウド上で統合管理
2.外部の様々なアプリケーションと連携可能(Office365・G Suite・Slack・JIRAなど400以上)
3.統合された情報を用途に応じた形式・粒度で参照可能
(ガントチャート・個人別の作業負荷状況・カンバン方式のToDoリストなどの形式を組織単位、プロジェクト単位などの粒度で確認できる)

Wrikeの導入効果としては、まず各メンバーはどこからでもWrikeにアクセスし、リアルタイムで状況を更新できるようになり、管理者と各メンバーとの間のやりとりの時間が削減されました。
また、外部アプリケーションとの連携によりタスクの登録も一部自動化されています。例えば我々は、JIRAというサービスを利用して開発作業を管理しているのですが、JIRAからその情報を連携しており、開発関連のタスクはWrikeに自動登録されます。
そして一番効果を実感しているのが、この統合されたタスク予定・実績を用途に応じて様々な形式と粒度でリアルタイムに参照できることです。例えば我々はマトリクス型組織を採用していますが、プロジェクトの単位か機能別チームの単位かを簡単に切り替えながら、進捗状況や負荷状況を確認することができるようになりました。これにより、複数のプロジェクトに跨る要員のタスク管理や、各プロジェクト管理者と機能別チームリーダのコミュニケーションが円滑になりました。

さらにまだ活用できていないWrikeの機能として、ワークフロー機能があります。例えば見積作業のワークフローをテンプレートとして定義し、見積作業のリクエストを上げると、自動的に定義に従ってWrike上に必要なタスクが依存関係付きで起票されます。我々の場合ですと、見積は営業部門と技術部門を跨ぐ作業になるため、それぞれの部門のタスクが起票されることになります。これにより業務は標準化され、部門間のコミュニケーションも円滑になります。現在、我々の周辺の部門はWrikeを使用し始めたばかりなので、定着したところでこのワークフロー機能も活用したいと考えています。

経理の現場においても、例えば請求書支払い業務のように各部門と協働する業務にWrikeを使用すれば、業務を可視化し各部門とのコミュニケーションを円滑にできる可能性があります。
弊社は2019年5月よりWrikeの正規代理店となりましたので、ご興味があれば弊社担当営業にご用命頂ければと思います。

■真の働き方改革と今後の展望について

我々のチームでは、Wrike導入以外にもナレッジ管理、マトリクス組織、1 on 1など様々な施策を導入し効果をあげています。3年前にとにかく始めてみたチーム主導の働き方改革ですが、今思うことは、働き方改革は業務効率化がゴールではないということです。この変化が目まぐるしい現代において、我々の仕事は正しい方向に向いていないことが多々あります。気づかないうちに、やらなくていいことや本質からずれたことに時間を費やしています。
例えば、お客様からシステム運用に手が回らないから人手を貸して欲しいと依頼があったとします。ここでただ人手を捻出し、運用を代行してるだけで終わってしまっては本質的な問題は改善されず、また繁忙期に同じ依頼がきてしまうでしょう。しかし、ここでなぜ人手が足りていないのかということに目を向け、それを解決する仕組みを提案できたらどうでしょう。
それはお客様にとっても我々にとっても付加価値の高いことであり、我々が本来目指すべきところです。これまでの効率化により生まれた時間を使い、チームとして正しい方向に向かうための本当の働き方改革に着手したいと考えています。

具体的には以下のような取り組みを実施していきます。
(ティール組織を参考にしています)

・ビジョンを明確にする。(ビジョン:我々は付加価値の高い仕組みを作りそれを顧客に届けるチームになる)
・メンバー全員、業務時間の10%を新しい仕組みづくりの時間にあてる
・発案者は、仕組みづくりの状況を他のチームメンバーに共有しアドバイスはもらうが、意思決定は発案者が行う

この取り組みを通じて自分たちのビジョンを実現し、真の働き方改革を達成していくつもりです。またどこかで取り組み結果をご報告できればと思います。

担当:五島 圭祐 (ISID/コンサルタント)

中田雑感

新リース会計基準の開発動向

公認会計士 中田清穂

こんにちは、公認会計士の中田です。このコーナーでは毎回、経理・財務にかかわる最近のニュースや記事などから特に気になる話題をピックアップしていきます。よくある、無味乾燥なトピックの紹介ではなく、私見も交えて取り上げていきますので、どうぞご期待ください。

2019年5月28日に開催された、企業会計基準委員会(ASBJ)の会議の様子を、ASBJのサイトにあるWebキャストで見ました。
その最大の目的は、新しいリースの会計基準が、IFRS第16号「リース」を丸呑みするのか、IFRS第16号「リース」とは別の草案を一から作るのか、その方向性を探るためでした。
基本的には、全てのリースを資産・負債計上するという方針は3月のASBJで決定されています。
その時にIFRS第16号の最大のポイントの一つである「リースの識別」について、そのまま日本基準に取り込むのか、「リースの識別」に関する部分は取り込まずに、従来通り「リース契約が存在する」ということを前提に会計基準を開発するのか、というところに、私は大変関心を持っています。

もう少し具体的に説明すると、従来の会計基準では、リース会計の対象になるのはまず「リース契約がある」ということを前提にしています。
しかし、IFRS第16号「リース」の場合は、リース契約の形をとっているかどうかにかかわらず、その取引が、まず「リースであるのか」という識別手続きから始めなければいけないということです。

したがって、「リース契約でなくてもリース会計の対象になり得る」ということです。その識別の手続きについては、5つのプロセスに沿って、「リースなのかそうでないのか」を判断していくということになります。
例えばリース契約ではないけれども、事実上それは「借りていることになる」というものも、リース会計の対象になるということです。
もっと具体的に説明すると、部品メーカーに対して、製造装置を買わせて、その製造装置で、いつ・どれくらいの数量を作らせるかは自社が指示し、その生産物は、全量自社で買い取るというような場合、その部品メーカーに買わせた製造装置は「借りていることになる」ということになるのです。

Webキャストで見てみると、決定された事項はまだ何もありません。
ただIFRS第16号「リース」とは別の会計基準を一から作るとしても、「リースの識別」や「リース期間」など重要な論点については、IFRS第16号と同様の内容にすることは避けられないだろうというような意見がありました。

ということは、これからできる新しいリース会計基準はIFRS第16号を丸呑みしようとすまいと、「リースの識別」や「リース期間」、この二つの論点については、ほぼほぼIFRS第16号と同じ内容になってしまうことが予測されます。

まだまだこのリース会計の策定動向については目が離せません。
実務対応にかなり手間がかかる会計基準ですから、早め早めにこの同行を押さえて、重要な論点の内容がほぼほぼ固まってきたタイミングで、対応し始められるようにしておくべきでしょう。

公認会計士 中田清穂氏のホームページ

メルマガ事務局より

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