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経理部門の離職を防ぐ、学生時代の英語の成績

コンサルタントの眼

クラウドのセキュリティを保護する技術

OraclePBCSというSaas型のサービスを提案する際に、クラウドに経営情報を保管するのは抵抗があるという声をいただくことがあります。一方でITの巨人であるマイクロソフトがOffice365を展開し、実際に弊社でも一部導入していますが、今後クラウド型サービスの普及は加速すると予想します。そこで今回は、不安を解消するため、クラウドのセキュリティを保護する技術について簡単に説明いたします。

クラウドのセキュリティを保護する技術としては、大まかに下記の3つがあります。これにより、自社サーバおよび社内LANの組合せと同等のセキュリティが担保されます。

1.通信の暗号化(SSL)
2.出入り口の絞込み(ファイアウォール)
3.ユーザの分別管理(マルチテナンシー)

電気信号であるデータは目に見えないため、分かりやすくするためにモノに例えて考えてみます。あなたの会社は遠隔地の貸し倉庫に、資料の入ったダンボール箱を預けています。資料を参照する際に適宜、トラックを運転して倉庫までダンボール箱を取りに行くと仮定します。

まず、トラックが平荷台の軽トラックだとしたらどうでしょう。アクション映画のイメージですが、走行中に悪意ある第三者が走行中の荷台に飛び乗って、資料を抜き取ることができます。それを防ぐため、荷台に鍵をかけられるコンテナトラックで運ぼう、というのが 1.通信の暗号化(SSL)です。SSLは、Webサーバとクライアント間の通信を暗号化するプロトコルです。
データの受信者は公開鍵と秘密鍵を予め用意し、暗号化に使う公開鍵をインターネット上で公開しておき、送信者がそれを使って暗号化したデータを自分だけが持っている秘密鍵で復号します。Webブラウザに標準搭載され、データの盗聴や改ざんをふせぐための業界標準となっています。
次に、走行中のセキュリティが守られたとしても、誰でも貸し倉庫に自由に駐車できるとしたらどうでしょう。この場合も、ユーザ認証を通過しなければいけないという関門はあるものの、悪意ある第三者がダンボールが保管された部屋に侵入して、資料を抜き取ることができます。それを防ぐため、駐車場入り口に門番を置いて、訪問者の住所と目的を確認してチェックリストに合致しない者は入れない、というのが 2.出入り口の絞込み(ファイアウォール)です。ファイアウォールは、インターネット(外部)とLAN(内部)の境界に配置し、外部から内部への不正な通信の侵入を遮断する製品です。IPアドレス・ポート番号などの種類別にルールを設定し、そのルールに従ってフィルタリング(絞込み)します。

最後に、この貸し倉庫事業は他にも利用しているユーザがいます。複数ユーザのダンボールがひとつの部屋に積まれていたとしたらどうでしょう。間違って他のユーザの中身を覗いてしまう、あるいは覗かれてしまう危険性があります。悪意ある第三者の侵入を防いだとしても、ユーザ間で情報流出事故が起きてしまっては大問題です。それを防ぐため、ユーザごとに別々の部屋を用意し、お互いに覗くことができないようにする、というのが3.ユーザの分別管理(マルチテナンシー)です。マルチテナンシーの実現方法はコストと要相談ですが、ユーザごとにスキーマ(=名前空間)を作成し、サービスに接続するためのURLのサブドメインにユーザ情報を含め、スキーマと連携させる方法が一般的だと思います。
(コスト度外視してもよいのであればユーザごとにアプリケーションを作成すればよいですが、オーバーヘッドが大きいので料金に跳ね返ってきます。)

以上のようなセキュリティ技術により、場所は離れていても自社設備と同等の安全性が担保されています。
運用面では提供会社ごとの違いはあるでしょうが、Oracleのように規模の大きい会社であれば信頼できるかと思います。
OraclePBCSに限らず、弊社ではさまざまなクラウドソリューションの導入支援をしていますので、ご興味のある場合はぜひお問合せください。

担当:上地 優貴(ISID/コンサルタント)

中田雑感

経理部門の離職を防ぐ、学生時代の英語の成績

公認会計士 中田清穂

こんにちは、公認会計士の中田です。このコーナーでは毎回、経理・財務にかかわる最近のニュースや記事などから特に気になる話題をピックアップしていきます。よくある、無味乾燥なトピックの紹介ではなく、私見も交えて取り上げていきますので、どうぞご期待ください。

日本では、英語教育にかける時間は膨大です。
中学校で3年間、高校で3年間、そして大学でも一般教養として2年間、合計すると8年もの間、必修科目として費やされます。授業を受けるだけでも大変な時間になりますが、予習・復習や進学塾での時間も含めると、本当に大変な時間を英語に費やしています。

こんなに多くの時間をかけているのに、学校教育だけで英語が話せる人はほとんどいません。

学校とは別に、英会話教室に行ったり、いきなりアメリカなどにどっぷりつかったりしなければ、英語を話せるようにはならないということについて、異論のある人はあまりいないと思います。

話せるようにはなれない学校の英語教育が、長期にわたって続けられている現実については、多くの日本人が疑問を抱いているのではないでしょうか。さらに、大学によっては、数学や国語よりも、英語の配点を高くしている入試制度にしているところが非常に多いようです。なぜ英語だけ配点が高いのか。

この疑問を晴らすお話を、先日あるセミナーで聞きました。

大学にとって、「経営上」非常に重要なポイントは、「退学者数をいかに抑えるか」ということらしいです。退学者が一人でると、年間の授業料収入が、6百万円から1千万円以上減ってしまうからです。何人も退学者が発生すると、大学経営は深刻な状況になるのです。

そして、ある調査で、入試の成績と退学者の相関関係を調査したところ、国語や数学での成績と退学者の間には、ほとんど相関関係がなかったけれども、英語の成績が優秀だった人は、退学しないという、強い相関関係があったようです。

そこで、大学は「退学者の発生を抑える」ために、英語の配点を高くして、英語の成績が優秀な人を優先して入学させているというのです。つまり、「英語の能力」を評価しているというよりも「勤勉力」を評価していることになります。言い換えれば、「あまり役にたたないとわかっていても、根気よくそれをやり続ける力」を評価しているのです。

大学に入ってつまらない授業ばかり受けていても、きちんと単位を取る人が、退学しない人なのです。

そして、就活で、企業は大学の成績の良い人を取っていれば、会社を辞めない人を採用できる確率が高まるという構図になります。

最後に、最近経理部門の現場で、新人が結構会社を辞めているという話を耳にすることが増えてきました。

ということで、今後経理部門の人員を定着させるには、「今、英会話ができる人」よりも、「大学入試の頃に英語の成績が良かった人」を配属すればよいのかもしれませんね。

しかし、本当にそれでよいのでしょうか。自社のビジネスを理解して、会計でそれを表現できる人になれるでしょうか。
いろいろ考えてみたくなる話ですね。

公認会計士 中田清穂氏のホームページ

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