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IFRS対応、グループ経営管理の高度化を支える連結会計ソリューション

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株式会社 電通国際情報サービス

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ISIDでは、会計基準の国際化、決算早期化、内部統制など、さまざまな課題を抱える経理業務関係者の方々のために、その課題解決の一助となるように、本メールマガジンを発行しております。

すでに監査法人やコンサルティング会社からも色々なメールマガジンが発行されておりますが、弊社のメールマガジンは、抽象的教科書的なものではなく、実務目線での情報提供を基本にします。どうぞお役立てください。

目次

コンサルタントの眼
〜 実務対応報告第18号の平成30年改正案の概要 〜

この連載では、連結システムベンダーとしての立場から、IFRS新基準への各社の対応実務をレポートしています。IFRSは原則主義であり、日本基準のような細かい金額規程等が少ないこともあり、新基準への対応方法次第で本社経理部や関係会社の方々の作業量に大きな差が生まれます。
他社の対応方針等を自社適用の際の一助にしていただければと思います。
尚、現状ではIFRSにのみ適用されるリースの新基準ですが、遠くない未来に日本基準にも適用される可能性が高いと考えられますので(昨今の日本基準の改正がIFRSとの差異を解消する方向でなされていることは明らか)、日本基準の会社の方にも一読いただければと思います。

■改正の経緯

企業会計基準委員会(以下、「ASBJ」)が2018年5月28日、実務対応報告公開草案第55号(実務対応報告第18号の改正案)「連結財務諸表作成における在外子会社等の会計処理に関する当面の取扱い(案)」等(以下「本公開草案」という)を公表しました。

実務対応報告第18号は、「在外子会社がIFRSを適用している場合,一定の修正を条件として当該子会社の連結財務諸表を連結決算手続き上利用することができる」ことを定めた連結会計のための規定です。当実務対応報告が公表された(2006年)時点の内容は,あくまでも在外子会社に対象範囲を限ったものでしたが、IFRSの任意適用が日本で認められたことで、国内子会社についても範囲に含める旨の改正が2017年3月に行われました。

本公開草案は、2006年から現在までに新規に公表・改正されたIFRSや米国基準の反映を目的として議論がなされ、現在の「のれんの償却」等4項目に加えて「資本性金融商品の公正価値の事後的な変動をその他の包括利益に表示している場合の組替調整」を修正項目とすることが提案されています。今週の7月30日にコメントの募集が終了しましたので、今後最終的な議論の後、公表されることになります。
適用時期は、平成31年4月1日以後開始する連結会計年度の期首とし、早期適用等も認められる予定です。

■本公開草案のポイント

本公開草案は、日本基準の連結財務諸表作成にあたり以下の提案を行っています。
  • 在外子会社等が国際財務報告基準(IFRS)第9号「金融商品」(以下、「IFRS第9号」という。)を適用していること
  • 資本性金融商品の公正価値の事後的な変動をその他の包括利益に表示する選択をしていること
  • 上記2つの要件を満たす場合、当該資本性金融商品の公正価値の変動から生じる利得や損失(すなわち取得原価と売却価額の差額)はその他の包括利益に計上される
  • 売却等があった場合でも純損益への組替調整(リサイクリング)はIFRS上行われない
  • 持分法適用関連会社において実務対応報告第18号に準じて連結財務諸表を作成する場合には、子会社と同様、当該修正を行うこと
また、適用時期においてはIFRS第9号の早期適用か否かで異なる取扱になっているので、こちらも注意していただきたいと思います。
  • すでにIFRS第9号の適用を在外子会社等が行っている場合は、平成30年改正の実務対応報告第18号の公表日以後、最初に終了する連結会計年度及び四半期連結会計期間
  • 上記以外は、平成32年4月1日以後開始する連結会計年度の期首又は在外子会社等が初めてIFRS第9号を適用する連結会計年度の翌連結会計年度の期首

担当:寺村 航(ISID/シニアコンサルタント 公認会計士)

中田雑感              公認会計士 中田清穂
〜 新会計基準「収益認識」での混乱が始まった 〜

こんにちは、公認会計士の中田です。

このコーナーでは毎回、経理・財務にかかわる最近のニュースや記事などから特に気になる話題をピックアップしていきます。
よくある、無味乾燥なトピックの紹介ではなく、私見も交えて取り上げていきますので、どうぞご期待ください。

今年2018年3月30日に公表された、新しい日本の会計基準「収益認識に関する会計基準」(以下、本稿では「新収益認識基準」)に関連して、最近気になる話が、私の耳に入ってくるようになりました。

【気になる話その1】
以下のような発言を、ある4大監査法人の公認会計士がしているそうです。

(1)新収益認識基準では、工事契約で顧客に「支配」が移転していれば、従来の工事進行基準とほぼ同じ会計処理が適用される。
(2)したがって、顧客側も「支配」が移転するにつれて、建設仮勘定を計上しなければならない。

(1)は良いのですが、(2)は間違っています。
難しい話ではありません。
新収益認識基準は、「顧客との契約から生じる収益に関する会計処理及び開示に適用される」のです(新収益認識基準第3項)。
「購入先との契約から生じる費用や資産に関する会計処理」などには適用されないのです。理解が浅いにもほどがあります。

【気になる話その2】
以下のような発言を、ある4大監査法人の公認会計士がしているそうです。

(1)新収益認識基準では、「同一の顧客と同時に締結した複数の契約が所定の要件に該当する場合には、当該複数の契約を結合し、単一の契約にしなければならない」と規定している。
(2)したがって、同一の顧客と同時に締結した複数の契約書が、営業部門などで現在作成されていれば、今後、契約書は一つにするように、営業業務の内容やフローを変えなけれならない。

これもとんでもない間違いです。
新収益認識基準は、あくまでも「会計」上の手続きを規定しているものです。
「法律」的な手続きにまで踏み込んでいるものではありません。
実際に、新収益認識基準の第27項では、以下のように規定されています。

同一の顧客(当該顧客の関連当事者を含む。)と同時又はほぼ同時に締結した複数の契約について、次の(1)から(3)のいずれかに該当する場合には、当該複数の契約を結合し、単一の契約とみなして処理する。

(1)当該複数の契約が同一の商業的目的を有するものとして交渉されたこと。
(2)1つの契約において支払われる対価の額が、他の契約の価格又は履行により影響を受けること。
(3)当該複数の契約において約束した財又はサービスが、第32 項から第34項に従うと単一の履行義務となること。

重要なのは、「みなして」という表現です。
単一の契約書にしなさいと言っているのではなく、会計処理をする上での「みなし処理」をするように要求しているのです。
経理部門のみなさんも、きちんと条文を読み、理解して、監査人の発言がオカシイなと感じたら、臆せず反論してください。このような間違った理解が、営業部門などの現場部門に無用な負担を強いることになり、企業の営業力や生産性を落とすことになりかねないことについては、断じて許せないのです。

今の日本の会計に関わる状況は、心配がいや、増すばかりです。

メルマガ事務局より

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いただいたご質問にはすべてお答えする予定ですが、お答えするのにお時間がかかる場合がありますので、予めご了解ください。
g-ifrs@group.isid.co.jp 『ISID 経理財務メールマガジン』 事務局

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