IFRS対応、グループ経営管理の高度化を支える連結会計ソリューション
ISIDでは、会計基準の国際化、決算早期化、内部統制など、さまざまな課題を抱える経理業務関係者の方々のために、その課題解決の一助となるように、本メールマガジンを発行しております。
すでに監査法人やコンサルティング会社からも色々なメールマガジンが発行されておりますが、弊社のメールマガジンは、抽象的教科書的なものではなく、実務目線での情報提供を基本にします。どうぞお役立てください。
目次
この連載では、連結システムベンダーとしての立場から、IFRS新基準への各社の対応実務をレポートしています。IFRSは原則主義であり、日本基準のような細かい金額規程等が少ないこともあり、新基準への対応方法次第で本社経理部や関係会社の方々の作業量に大きな差が生まれます。
他社の対応方針等を自社適用の際の一助にしていただければと思います。
尚、現状ではIFRSにのみ適用されるリースの新基準ですが、遠くない未来に日本基準にも適用される可能性が高いと考えられますので(昨今の日本基準の改正がIFRSとの差異を解消する方向でなされていることは明らか)、日本基準の会社の方にも一読いただければと思います。
担当:寺村 航(ISID/シニアコンサルタント 公認会計士)
こんにちは、公認会計士の中田です。
このコーナーでは毎回、経理・財務にかかわる最近のニュースや記事などから特に気になる話題をピックアップしていきます。
よくある、無味乾燥なトピックの紹介ではなく、私見も交えて取り上げていきますので、どうぞご期待ください。
今年2018年3月30日に公表された、新しい日本の会計基準「収益認識に関する会計基準」(以下、本稿では「新収益認識基準」)に関連して、最近気になる話が、私の耳に入ってくるようになりました。
【気になる話その1】
以下のような発言を、ある4大監査法人の公認会計士がしているそうです。
(1)新収益認識基準では、工事契約で顧客に「支配」が移転していれば、従来の工事進行基準とほぼ同じ会計処理が適用される。
(2)したがって、顧客側も「支配」が移転するにつれて、建設仮勘定を計上しなければならない。
(1)は良いのですが、(2)は間違っています。
難しい話ではありません。
新収益認識基準は、「顧客との契約から生じる収益に関する会計処理及び開示に適用される」のです(新収益認識基準第3項)。
「購入先との契約から生じる費用や資産に関する会計処理」などには適用されないのです。理解が浅いにもほどがあります。
【気になる話その2】
以下のような発言を、ある4大監査法人の公認会計士がしているそうです。
(1)新収益認識基準では、「同一の顧客と同時に締結した複数の契約が所定の要件に該当する場合には、当該複数の契約を結合し、単一の契約にしなければならない」と規定している。
(2)したがって、同一の顧客と同時に締結した複数の契約書が、営業部門などで現在作成されていれば、今後、契約書は一つにするように、営業業務の内容やフローを変えなけれならない。
これもとんでもない間違いです。
新収益認識基準は、あくまでも「会計」上の手続きを規定しているものです。
「法律」的な手続きにまで踏み込んでいるものではありません。
実際に、新収益認識基準の第27項では、以下のように規定されています。
同一の顧客(当該顧客の関連当事者を含む。)と同時又はほぼ同時に締結した複数の契約について、次の(1)から(3)のいずれかに該当する場合には、当該複数の契約を結合し、単一の契約とみなして処理する。
(1)当該複数の契約が同一の商業的目的を有するものとして交渉されたこと。
(2)1つの契約において支払われる対価の額が、他の契約の価格又は履行により影響を受けること。
(3)当該複数の契約において約束した財又はサービスが、第32 項から第34項に従うと単一の履行義務となること。
重要なのは、「みなして」という表現です。
単一の契約書にしなさいと言っているのではなく、会計処理をする上での「みなし処理」をするように要求しているのです。
経理部門のみなさんも、きちんと条文を読み、理解して、監査人の発言がオカシイなと感じたら、臆せず反論してください。このような間違った理解が、営業部門などの現場部門に無用な負担を強いることになり、企業の営業力や生産性を落とすことになりかねないことについては、断じて許せないのです。
今の日本の会計に関わる状況は、心配がいや、増すばかりです。
このコーナーでは読者のみなさまからのご質問を受け付けています。
以下のメールアドレスまでお気軽にお寄せください。
いただいたご質問にはすべてお答えする予定ですが、お答えするのにお時間がかかる場合がありますので、予めご了解ください。
g-ifrs@group.isid.co.jp 『ISID 経理財務メールマガジン』 事務局
多様な業種・規模のお客様がSTRAVISで課題解決されています。