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IFRS対応、グループ経営管理の高度化を支える連結会計ソリューション

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株式会社 電通国際情報サービス

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ISIDでは、会計基準の国際化、決算早期化、内部統制など、さまざまな課題を抱える経理業務関係者の方々のために、その課題解決の一助となるように、本メールマガジンを発行しております。

すでに監査法人やコンサルティング会社からも色々なメールマガジンが発行されておりますが、弊社のメールマガジンは、抽象的教科書的なものではなく、実務目線での情報提供を基本にします。どうぞお役立てください。

目次

コンサルタントの眼
〜 昨今のクラウドファーストにおける基幹(会計)システムの移設検討について 〜

この連載では、連結システムベンダーとしての立場から、IFRS新基準への各 社の対応実務をレポートしています。IFRSは原則主義であり、日本基準のよ うな細かい金額規程等が少ないこともあり、新基準への対応方法次第で本社 経理部や関係会社の方々の作業量に大きな差が生まれます。
他社の対応方針等を自社適用の際の一助にしていただければと思います。
尚、現状ではIFRSにのみ適用されるリースの新基準ですが、遠くない未来に 日本基準にも適用される可能性が高いと考えられますので(昨今の日本基準 の改正がIFRSとの差異を解消する方向でなされていることは明らか)、日本 基準の会社の方にも一読いただければと思います。

■現在のクラウド化について

企業のインフラ環境のクラウド化が始まって数年が経過しています。
総務省発表の情報通信白書によると、平成29年通信利用動向調査(企業編) における2,592社の回答では、2015年時点で約4割の企業がクラウドサービ スを利用しており、2018年現在は、利用企業はさらに増加傾向にあると考え られます。
特に、世界的企業であるAmazon、Microsoft、Googleなど多くの企業がハー ド面でのクラウドサービスの提供を加速している状況から、今後も利用は増 加傾向にあります。加えて、現在サーバーOSであるWindows Server2008は、 2020年1月14日でサポートが終了する通達が出ています。

上記を踏まえると、企業の根幹である基幹システムのOSバージョンアップ、 刷新などに伴い、クラウド化は更に進むと考えられます。

■システムクラウド化の問題とは

クラウド化を検討するにあたり、各クラウドサービスの制限でOSやDBのバージョンがある程度決まってしまう弊害があります。
例えば、SAPなどの基幹システムをクラウド環境に移管する場合、OSやSQLServerのバージョンに制約が発生する場合です。そのために、システムバージョンアップを行うことになり、現行環境と新環境の動作検証作業が必要となります。加えて、基幹システムは使用機能が多いため、ソリューションバージョンアップをすると、業務的なテストを含め、確認作業が発生します。システム部門だけで動作検証を実施するには手が足りなくなり、経理部門へテスト依頼を行わなければならなくなる場合等の問題も出てきています。

■問題解決に向けた解決手段とは

前述のように、OSのバージョンアップ対応やバージョンアップ後の動作検証など、クラウド化における検討・確認事項は多岐に渡ります。そのため、第三者の目として、各業界のお客様から弊社にご相談を頂く機会が増加しています。

業務テストに注目すると、SAPの移行は、弊社では「Panaya」を使用し、現行と新環境の比較作業を実施しています。(Panayaとは、Panaya,Inc.が開発し特許を取得している、大規模システムのコード解析技術を活用したSAPアプリケーションのアップグレード支援サービス) 
弊社は多くのプロジェクトで「Panaya」を使用し、テスト実行支援とテスト結果エビデンスの自動取得をすることで、工数の削減、環境間の差異の洗い出しと、環境移設における障害逓減を行ってきた実績があります。

■クラウド化の提案について

弊社は、2011年頃から海外ベンダーであるAWS(AmazonWebService)環境の製品または商品提供を行い、お客様環境のクラウド化に寄与してきています。最近はMicrosoft提供のAzureを利用したお客様の環境移設や、基幹システムであるSAPのクラウド化等の作業も実施しています。
特にSAPに関しては、2025年でECC6.0バージョンのサポートが終了すると通達が出ている状況ですので、今後S/4HANAへのバージョンアップを見込んで、以下の観点でクラウド環境への移設を決意されるお客様が増えています。

  • 柔軟に最新のハードを選択できる
  • 5年毎のハード調達が不要
また、データセンタにて社内インフラや基幹システムを管理しているお客様では、クラウドへの移設検討がかなり進行しています。弊社への相談も増加傾向にあり、今年度に入り既に複数社の切り替え対応を実施しています。

■最後に

今後、現行アプリケーションを運用して行きたいが、ハードの新規買い替えを検討されるようであれば、是非クラウド化の選択肢をご検討いただければ幸いです。

担当:岩瀬 剛志(ISID/コンサルタント)

中田雑感              公認会計士 中田清穂
金融庁金融審議会ディスクロージャーワーキング・グループ報告
〜 資本市場における好循環の実現に向けて 〜

こんにちは、公認会計士の中田です。

このコーナーでは毎回、経理・財務にかかわる最近のニュースや記事などから特に気になる話題をピックアップしていきます。
よくある、無味乾燥なトピックの紹介ではなく、私見も交えて取り上げていきますので、どうぞご期待ください。

2018年6月28日、金融庁金融審議会のディスクロージャーワーキング・グループは、『資本市場における好循環の実現に向けて』と題する報告(以下本稿では「本報告」といいます)を、麻生金融担当大臣に提出しました。

この中で、まず残念に感じたことは、四半期開示制度義務化の「廃止」が先送りされたということです。

先送りの理由として、以下の項目があげられています。

  • 中長期の視点で投資を行う観点からも進捗確認の意義を認める見解が大勢であるほか、現状、非財務情報など中長期的な企業価値向上の観点から特に重視される情報の開示が必ずしも十分とは言えないこと
  • 半期・四半期のみならず、重要な企業情報の開示が全体として適時に行われる枠組み・ガバナンスが必ずしも十分とは言えないこと
  • 情報開示により市場の価格形成がより効率的に行われるようになっているとの指摘があること
  • このような状況において、例えば、四半期開示を任意化した場合、開示の後退と受け取られて我が国の資本市場の競争力に影響を及ぼしかねないと 考えられること
最も重大なことは、第1点目と第4点目です。
四半期開示の問題について、指摘されている事実はあるものの、「非財務情報など中長期的な企業価値向上の観点から特に重視される情報の開示」が不十分である状況で、四半期開示がなくなると投資家にとって、「開示情報の後退」となる。
このことは、日本の資本市場に海外投資家の資金を呼び込む上で重大な問題になるのです。

この点については、事実であると認めざるを得ないでしょう。
私としては納得するほかありません。

四半期開示が、日本企業の経理現場を疲弊させて、ひいては、企業経営に必要な情報を作成する時間や工数を奪うことで、日本企業の中長期的な成長を阻害する要因の一つになり得るとは思います。したがって、四半期開示義務化は廃止するべきだという考えに変わりはありません。

しかし、経理現場に余裕を持たせたところで、「非財務情報など中長期的な企業価値向上の観点から特に重視される情報の開示」が十分に見込めないのであれば、経理現場をただ楽にさせただけで、日本企業の中長期的成長に何の効果もなく、結局日本経済にも何の役にも立たないのであれば、そんな制度改正をする必要はないということになるでしょう。

さて、本報告では、MD&A情報(有価証券報告書における「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」に該当)について、欧米の開示制度を引き合いに出しながら、以下のような表現があります。
「MD&A は、経営者視点からの情報を提供し、投資家の企業に対する理解を深めるための、経営の根幹に関わる、経営者の認識が問われる情報であることから、経営のトップレベルが早期から関与し、経営者としての説明責任を果たしていくことが求められる。」
この表現の中で、開示担当者として違和感を持つのは以下の部分でしょう。

  • 経営者視点からの情報を提供
  • 経営者の認識が問われる情報
  • 経営のトップレベルが早期から関与
  • 経営者としての説明責任を果たしていく
これらの表現に違和感を覚えるのは、今の有価証券報告書を始めとする開示情報に、「経営トップがきちんと関与している企業は非常に少ない」からではないでしょうか。

しかし、投資家はまさにこのような情報を必要としているのであり、欧米では、こういった情報が開示できているのです。

日本の上場企業で本報告の要求を満たす情報を開示できる企業は、非常に少ないでしょう。これこそ、深刻な問題だと感じています。
開示するどころか、社内にも存在していないと推察されるからです。
具体的には、

  • 「成長投資・手許資金・株主還元のバランス」に関して経営陣の考え方は明文化されているでしょうか?
  • 「資本コストに対する企業の意識」も具体的に明文化されているでしょうか?
明文化されていないとすると、社内の意識は共有されていない可能性が非常に高いといえるでしょう。そうなると、会社は組織として、「成長投資」とか「資本コスト」を「意識していない」ということになります。
欧米ではほとんどありえないでしょう。
会社が成長しないからです。
利益が出ていても、そのうち競争に負けるからです。

これは、日本企業が、いきなり減損損失を計上して、結局海外企業や投資ファンドに買収されている現象の根幹にある問題だと思います。

したがって、本報告にきちんと準拠して対応できるかどうかは、単に開示制度に対応するなどといった、形式的な問題ではなく、企業が中長期的に成長できる企業かどうかという、非常に本質的な問題なのだと思います。

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g-ifrs@group.isid.co.jp 『ISID 経理財務メールマガジン』 事務局

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