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IFRS対応、グループ経営管理の高度化を支える連結会計ソリューション

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株式会社 電通国際情報サービス

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ISIDでは、会計基準の国際化、決算早期化、内部統制など、さまざまな課題を抱える経理業務関係者の方々のために、その課題解決の一助となるように、本メールマガジンを発行しております。

すでに監査法人やコンサルティング会社からも色々なメールマガジンが発行されておりますが、弊社のメールマガジンは、抽象的教科書的なものではなく、実務目線での情報提供を基本にします。どうぞお役立てください。

目次

コンサルタントの眼
〜 IFRS適用時の管理会計への影響 〜

2017年3月期までの1年間で、新たに37社がIFRSを適用した連結財務諸表を公表しており、IFRSを適用もしくは検討している企業は、継続して増加傾向にあります。
弊社にもIFRS適用を考えている企業様からIFRS対応に関する問い合わせが増えてきています。そこで、今回はIFRS適用時の管理会計への影響について、ご紹介させていただきます。

IFRS適用後には、投資家や株主の外部の利害関係者から、連結財務諸表の業績評価は従来と異なる尺度で評価されることとなるため、内部の管理会計の業績評価に関してどのように取り扱うのか、具体的には、IFRS適用後の予算管理や中期経営計画を含めた管理会計をどのように構築・運用するかについて、検討が必要となります。具体的には、財務会計と管理会計の関係、特に財務会計と管理会計の一致(財管一致)をどこまで図るかなど、管理会計に関してもIFRS適用による影響は避けられません。

しかし、外部公表する連結財務諸表でIFRS適用を行うからといって、簡単に管理会計にもIFRSを適用するということができるわけではなく、以下の観点を考慮して、IFRS適用後の管理会計の実現方法を検討する必要があります。

連結グループに属する個々の会社(特に国内会社)の個別財務諸表については、税務申告などの関係から従来どおり、日本基準で作成する必要があります。
そのため、個々の会社単位では、「日本基準による業績評価」を行うこととなり、各社に帰属する業績評価の責任は、意識的には従来から変更は生じません。
一方で、グループ全体の連結財務諸表では、外部公表に合わせた「IFRSによる業績評価」を行う必要があるため、企業グループの中に「日本基準による業績評価」と「IFRSによる業績評価」が混在することとなります。この点は、個々の会社で「IFRSによる業績評価」が実現可能か否かにより、どのように管理会計を行うかが、ポイントとなります。

また、管理会計における指標についても検討が必要となります。「日本基準による管理会計指標」としては、一般的には損益計算書項目を使用した指標(経常利益や当期純損益)が多く、ROE、ROAなど貸借対照表項目を使用した指標が最近注目されているものの、まだまだ貸借対照表項目を使用した指標は軽視されている傾向にあります。
一方、「IFRSによる管理会計指標」として、IFRS適用後には、IFRSの特徴である資産・負債アプローチを重要視されており、株主価値向上の観点からROE、ROAによる業績評価を行うことが必要になるのではないかと考えます。
IFRSによる管理会計指標については、日本基準で使用していたからという理由のみで継続して損益計算書項目を使用した指標を利用するのは、少し考え直す必要があるかも知れません。

これらの点を踏まえて、IFRS適用後の予算管理や中期経営計画を含めた管理会計をどのように構築・運用するかについて、検討を行う必要があります。

管理会計以外にもIFRS対応に関して、ご興味・ご関心のある方は、弊社 担当営業までお問い合わせください。

◇ 担当:山田 和輝(ISID/コンサルタント)

中田雑感              公認会計士 中田清穂
〜 株主総会開催日程の後ろ倒しの動き 〜

こんにちは、公認会計士の中田です。

このコーナーでは毎回、経理・財務にかかわる最近のニュースや記事などから特に気になる話題をピックアップしていきます。
よくある、無味乾燥なトピックの紹介ではなく、私見も交えて取り上げていきますので、どうぞご期待ください。

今年6月のこのメルマガでも触れた「株主総会開催日程の後ろ倒し」について動きが出て来たので、再度触れます。

日本の多くの上場企業は、有価証券報告書の提出・作成を、株主総会後にしています。これは、欧米の状況と比較すると、異常な状況だと指摘されてきました。
有価証券報告書は一体、誰のために作成するのか?
建前は、投資家や株主のためです。
しかし、実態として株主総会の後に提出されても、株主はそれを見て株主総会に挑むことはできない状況です。実質的に、有価証券報告書は株主のために作っていることにはならないのです。
では、誰のために作っているのか。
答えは簡単です。
金融庁のために作っているのです。金融庁の管轄である金融商品取引法で、作れと言われているから作っているのです。
したがって、株主総会の後に有価証券報告書を提出しても、何の疑問も持たない経理関係者が非常に多いのです。「形式主義」ここに極まれり!ですね。

このような状況が今後も続くと、株主総会で有益な議論ができないこととなり、上場企業の株主による監視力は弱まり、上場企業がさらに不健全になっていくことが懸念されているのです。
そのような事態を回避するために、安倍政権の日本再興戦略(2015)で指示されたことにより金融庁金融審議会で審議が行われました。
2016年4月には、金融庁金融審議会の答申が提出され、株主総会の開催日程を後ろ倒しにすることで、有価証券報告書を株主総会までに、株主にじっくり読み込めるようにしようということになりました。
この答申を受けて、2017年3月には、改正税法が国会で成立しています。
株主総会の開催日程と税制の改正の関係はお分かりかと思いますが、日本は「確定決算主義」ですので、株主総会の承認を受けた決算書を申告書に添付する必要があります。
申告書の提出期限は、原則として期末日から2か月以内ですが、上場企業は法務日程上、株主総会を期末日の3ヶ月後に開催する企業が多いので間に合いません。
そこで、申告書の提出期限を1か月延長して、期末日から3か月以内に提出できる状況にしていました。 しかし、今後さらに株主総会が期末日から3か月を超えた後に開催されると、3ヶ月という期限内には、「確定した」決算書を申告書に添付できなくなります。
そこで、税制を改正して、延長期間を延ばしたのです。従来1ヶ月延長できたものを、4ヶ月も延長できるようにしたのです。
したがって、上場企業はすでに株主総会の開催日程を後ろ倒しにしようと思えばできる状況になっているのです。
ただし、条件があります。定款を変更する必要があるのです。
国税庁が平成29年8月に公表した「確定申告書の提出期限の延長の特例(法人税法第75条の2 第1項第1号)の適用を受ける場合の申請書の記載例」には以下の記載があります。
『会計監査人を置いている場合で、かつ、定款等の定めによりその事業年度以後の各事業年度終了の日の翌日から3月以内にその各事業年度の決算についての定時総会が招集されない常況にあると認められる場合(法75 の2?-):この場合の延長期間は、その定めの内容を勘案して4月を超えない範囲内において税務署長が指定する月数の期間とされました。』
(以下のサイトを参照)
http://www.nta.go.jp/shiraberu/ippanjoho/pamph/hojin/kakutei_entyo_kisairei.pdf

したがって、今後株主総会の開催日程を後ろ倒しするためには、まず定款を変更しなければならないのです。 私の印象としては、できる状況になったからといって、実際に株主総会の開催日程を後ろ倒しにする上場企業はすぐには表れないだろうと考えていました。
ところが、『週刊経営財務』(No.3327 2017年9月25日発行)によると、以下の2社が定款を変更し、株主総会の開催日程を後ろ倒しにすることにしたようです。

(1)ニイタカ(業務用洗剤ビジネス)
(2)東和フードサービス(椿屋珈琲店等を展開)

他社が対応した後に、その事例を参考にして対応する企業が多い中で、珍しい企業だと思います。
しかし、「企業と投資家の対話促進」を重要課題として、安倍政権を始め、金融庁、法務省、経済産業省、東京証券取引所、さらには国税庁まで巻き込んだ、ビッグプロジェクトとなっている施策の重点項目の一つが「株主総会開催日程の後ろ倒し」なのです。
したがって、「株主総会開催日程の後ろ倒し」を法的に義務付けることはないとは思いますが、ガバナンスコードのような「ソフト・ロー」の手口で、上場企業に迫る動きが出てくるように感じています。
つまり、社内にニーズがなくても、外圧で対応が迫られるようになるかもしれないと思うのです。


メルマガ事務局より

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g-ifrs@group.isid.co.jp 『ISID 経理財務メールマガジン』 事務局

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