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株式会社 電通国際情報サービス

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ISIDでは、会計基準の国際化、決算早期化、内部統制など、さまざまな課題を抱える経理業務関係者の方々のために、その課題解決の一助となるように、本メールマガジンを発行しております。

すでに監査法人やコンサルティング会社からも色々なメールマガジンが発行されておりますが、弊社のメールマガジンは、抽象的教科書的なものではなく、実務目線での情報提供を基本にします。どうぞお役立てください。

目次

コンサルタントの眼
〜 メディア・コンテンツ業界における資産管理について 〜

弊社は電通のグループ会社という位置づけから、メディア・コンテンツ業界のお客様へのシステム導入にサービス提供を行うことが多くあります。
メディア・コンテンツ業界とは、映画・TV番組/楽曲等のコンテンツを作成し、そのコンテンツの二次利用でも収益を上げる企業を指します。

メディア・コンテンツ業界では、契約の管理や権利者への配分金の計算に各社固有の特色がありますが、今回はある程度普遍的な考え方を持つコンテンツ資産の管理について、経理的な観点で解説したいと思います。

コンテンツ資産の主な種類について

コンテンツ資産として資産計上するものの多くは、以下の二種類となります。

1.コンテンツの制作費用および取得費用
2.コンテンツの製作委員会への出資金
   (事業主体ではなく、事業投資のケース)
※ コンテンツを利用により減少しない非償却資産として扱う場合も稀にありますが、今回は言及しません。

コンテンツ資産の償却について

資産である以上コンテンツ資産も償却を行います。通常の固定資産のように時間の経過とともに費用化されるという考え方もありますが、コンテンツ資産は、より費用収益対応の観点で償却を行うケースが多いようです。
上記で挙げた資産種別ごとに主な償却方法としては以下の通りです。

<1.コンテンツの制作費用および取得費用>
(1)資産を最初の供用の際に一括で費用化する。
  ⇒コンテンツの二次利用を考慮しない一回限りのTV放映等が該当します
(2)収益計画に応じて費用化する。
  ⇒再放送、DVD化、ゲーム化、キャラクター販売化等コンテンツの二次利用も含めた収益計画に応じて資産額を分割し、費用化します。
このケースの場合、償却時期が異なり、償却方法も異なる場合があります。例えば、再放送は放映時の一括費用化だが、DVD化は販売予定期間での均等償却や、販売計画に応じた償却(発売直後が最も多く、その後償却率が低減する)を行う場合もあります。

<2.コンテンツの製作委員会への出資金>
(1)出資金を各期の収入に対応して費用化する。
  ⇒出資金の回収が予定されていない場合、実収入額と予定収入額の比率で出資金を費用化します。
  <1.コンテンツの制作費用および取得費用>であげた(2)のケースと同様です。

(2)出資金として計上し、持ち分に応じた事業損益を計上する。
  ⇒出資金が製作委員会終了後回収される予定がある場合、製作委員会の損益を出資金の持ち分に応じて営業外の損益を計上する。

最後に

ある程度普遍化できる経理処理であっても、コンテンツの属性や、供用形態によって複数の会計処理方式が考えられることが、メディア・コンテンツ業界における経理処理の難しさとなります。

弊社は、今後もメディア・コンテンツ業界に対する知見を持つSierとしての特色を生かし、多くのお客様のお役に立ちたいと考えております。
基幹システムや会計システムの導入にお悩みがありましたら、是非弊社にご相談いただければ幸いです。

◇ 担当:若山 茂郎(ISID/コンサルタント)

中田雑感              公認会計士 中田清穂
〜 企業の中長期的成長を阻害する会計処理シリーズ『第2弾:開発費会計』 〜

こんにちは、公認会計士の中田です。

このコーナーでは毎回、経理・財務にかかわる最近のニュースや記事などから特に気になる話題をピックアップしていきます。
よくある、無味乾燥なトピックの紹介ではなく、私見も交えて取り上げていきますので、どうぞご期待ください。

製造業などの企業にとって、研究開発は企業の命運を握る非常に重要な活動です。

研究開発に、毎期莫大な金額を支出している企業も多いと思います。
そして、市場に出して戦えるレベルにするまでに数年かかる開発案件も多いと思います。

そのような企業では、企業の中長期的価値の増大や持続的成長をするために、開発活動は、非常に重要な活動であるでしょう。

今の日本の、開発活動に関連する会計基準では、開発活動に要した支出が企業収益に貢献するのが次期以降の将来であっても、すべて支出がなされた会計期間に費用計上することが義務付けられています。

さて、だれでも知っている通り、「利益」は「収益」から「費用」を引くことで算出します。

支出した会計期間と、その結果得られる収入が異なる会計期間になる場合、費用は支出した会計期間ではなく、収入が得られる会計期間に計上するべきなのです。その場合、支出した会計期間には、費用ではなく、資産として計上し、収入が得られる会計期間になるまで資産として取り扱い、収入が得られれば、資産としていた金額を費用に振り替えて、収入が得られた会計期間に、収益から費用を引くことができて、利益が算出できるのです。

しかし、前述のように、開発に要した支出は、まだ収益が得られていないのに、資産計上が禁止されていて、支出した会計期間に全額費用計上することが義務付けられているのです。

このため、開発が完了して、製品として量産化され販売される段階になったときに、それまでかかった開発コストは、売上に対応する売上原価に含めることができないのです。

つまり、利益が適切に算出できないのです。

日本の会計基準がこのような規定になっているのは、開発が成功するかどうかわからないとか、成功しても利益が出るかどうかわからないとか、成功するかどうかや利益が出るかどうかの判断次第で費用にしたり資産にしたりできる規定になると、利益操作に利用されやすいなどといった懸念があるからです。

利益操作ができないような会計基準にすることは、制度会計上はやむを得ないことかもしれません。開発案件の内容がいかなるものであっても、開発での支出はすべてその期の費用とすることを、一律に強制することで、利益操作を防ぐことができているのです。

しかしご説明した通り、このような制度会計に準拠した会計処理で算出された利益は、適切な金額にはなりません。

簡単な例で説明してみましょう。

 (1)1年目に1億円をかけて開発を行った結果、開発は成功し、量産の目途が立った。
 (2)2年目に量産を開始して、製品1000個製造するのに、8千万円かかった。

販売当初は売れ行きが好調で製造した製品1000個はすべて完売したが、他社が開発した新製品の影響で販売を中止した。完売した製品1000個の売上高の総額は1億円であった。

制度会計では、
1年目は、1億円の赤字が計上され、
2年目は、2千万円の利益が計上されます。

これをそのまま経営情報としてしまうと、会計数値に弱い経営者は、開発を行い、2千万円の利益が得られたことで、大喜びをするかもしれません。

しかしこんなことを続けていると、儲からない開発に莫大なお金をつぎ込むことになり、企業の中長期的価値増大どころか、存続すら危うくなるでしょう。

日本企業では、開発担当役員の発言力が非常に強く、財務経理担当役員の発言力が低い企業が多いようです。このような企業では、将来利益を生まない開発に莫大な資金が投入され続けてしまう状況が生まれやすいのです。

制度会計の取り扱いとは別に、開発コストも回収できているかどうかを把握するための経営情報をきちんと作成する必要があるでしょう。
逆に、制度会計に準拠した結果だけで役員会資料などを作成すると、企業の存続にも影響するほど大きな経営判断ミスを引き起こす恐れがあると思います。

メルマガ事務局より

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g-ifrs@group.isid.co.jp 『ISID 経理財務メールマガジン』 事務局

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