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IFRS対応、グループ経営管理の高度化を支える連結会計ソリューション

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株式会社 電通国際情報サービス

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ISIDでは、会計基準の国際化、決算早期化、内部統制など、さまざまな課題を抱える経理業務関係者の方々のために、その課題解決の一助となるように、本メールマガジンを発行しております。

すでに監査法人やコンサルティング会社からも色々なメールマガジンが発行されておりますが、弊社のメールマガジンは、抽象的教科書的なものではなく、実務目線での情報提供を基本にします。どうぞお役立てください。

目次

コンサルタントの眼
〜 連結決算業務の早期化・効率化への対応 〜

私は連結会計ソリューションの提供に携わっておりますが、経営者へのタイムリーな業績報告、コスト削減といった観点から「決算業務の早期化・効率化」を課題とするお客様が多くいらっしゃいます。そこで、今回は「決算業務の早期化・効率化」を取り上げます。

2016年6月21日に公表された「平成28年3月期決算短信発表状況の集計結果について」の平成28年3月期の決算短信発表までの平均所要日数は、39.4日(前年同期39.9日)と近年、同様の水準で推移しており、決算早期化を本当の意味で実現させた企業は、少ないのではないかと感じています。
しかし、「決算業務の早期化・効率化」は、ただ早ければいいというわけではなく、無理や無駄をなくして効率的に決算業務を行うことで正確性も担保するのが、本来の目的です。また、業務効率化により捻出された余裕時間を有効に活用して、グループ会社やグループ全体の業務分析を行うなど、付加価値の高い業務を行うことで、企業価値の向上、経営資源の有効活用にもつながります。

実際に連結決算業務の早期化・効率化の課題として、以下がよく挙げられます。

  • 子会社決算の遅れによる子会社からの連結パッケージの提出遅れ
  • グループ間の債権債務照合に時間を要する
  • 非定型の連結処理が複雑である
  • 開示資料の作成が煩雑となっている
  • 経理部以外の部署からの開示根拠資料の入手に時間を要する
  • 監査法人への対応に時間を要する
上記の課題のうち、「子会社決算の遅れによる子会社からの連結パッケージの提出遅れ」の解決方法の例を紹介いたします。子会社決算の早期化の仕組みづくりの手法として、ハードクローズによる決算手法があります。
ハードクローズによる決算手法とは、決算手続の前倒し作業を実施することをいい、具体的には、12月決算の会社の場合に、10月末時点までの数値を決算と同程度の水準で確定させ、その時点から期末日時点までを調整(ロールフォワード)するという方法となります。
この手法は、子会社と親会社の決算月が同じである場合、子会社の数値が確定するのを待っており、グループ全体の連結決算が遅れる可能性がある等の場合に、グループ会社の重要性に応じて、このような手法が採用されます。
なお、ハードクローズ手法による決算業務は、会計監査を行う監査法人との調整が必要となる場合(特に重要な子会社で行う場合)がありますので、ご留意ください。

また、その他の課題についても連結決算業務の仕組みづくりを行っていくことが必要となりますが、弊社 連結ソリューションを活用することにより、上記課題を解決することが可能です。
「決算業務の早期化・効率化」について、ご興味・ご関心のある方は、弊社までお問い合わせください。

◇ 担当:山田 和輝(ISID/コンサルタント)

中田雑感              公認会計士 中田清穂
〜 企業の中長期的成長を阻害する会計処理シリーズ『第1弾:未実現利益』 〜

こんにちは、公認会計士の中田です。

このコーナーでは毎回、経理・財務にかかわる最近のニュースや記事などから特に気になる話題をピックアップしていきます。
よくある、無味乾燥なトピックの紹介ではなく、私見も交えて取り上げていきますので、どうぞご期待ください。

制度会計には、企業の中長期的成長に関連しているものがあります。
今回から数回に分けて説明したいと思います。

第1弾は、未実現利益です。

このメルマガの読者の方々は、連結決算に関わっておられる方が多いようですが、最近は、連結決算とは全く関係ない方も増えているようです。
そこで、まず「未実現利益」とは何かについて、少し解説をしておきます。

企業がいくつかの子会社を傘下にして「企業グループ」を形成していることが多くあります。
たとえば、以下の3つの企業からなるグループがあるとします。
A社とC社はB社の子会社です。

(1) 製造会社(A社):原材料を仕入れて完成品を製造する。
(2) 親会社 (B社):製造会社A社から完成品を仕入れて、販売会社C社に販売する。
(3) 販売会社(C社):親会社から完成品を仕入れて、一般顧客に販売する。

そして、3社の取引が以下のような金額で行われたとします。

1. A社は、50円の原材料を仕入れて、人件費を含む間接費など20円をかけて製品を完成させる。したがって、製造原価は70円となる。
2. この完成品をA社は80円でB社に販売する。
3. この完成品をB社は100円でC社に販売する。
4. この完成品をC社は105円で一般顧客に販売する。

各社がこの完成品を販売すると、各社の売上総利益(粗利)は以下になります。
(1) A社:10円
(2) B社:20円
(3) C社: 5円

ここで、B社を親会社とする企業グループが、3月末を決算日とする企業であったとして、A社が2月に製造した完成品がB社に販売され、さらにB社からC社に販売されたけれども、3月31日時点では、まだC社から一般顧客には販売されず、C社の倉庫に保管されている状態にあります。

A社とB社の損益計算書には、それぞれ、10円と20円の売上総利益が計上されますが、C社には売上がないので、利益も計上されません。
そして、C社の貸借対照表には、100円の棚卸資産が計上されます。

各社の財務諸表は、上記のようになりますが、B社を親会社とする「B社グループ全体の財務諸表」すなわち「B社を親会社とする『連結財務諸表』」は、以下のようになります。

『連結財務諸表』は、A社、B社およびC社を、一つの活動体としてとらえた財務諸表です。

したがって、A社で製造した完成品がまだC社の倉庫にあって、企業グループ外の顧客には販売されていない以上、「企業グループ」の売上にはなりません。したがって、『連結損益計算書』には、売上も利益も計上されません。

また、『連結貸借対照表』には、70円の棚卸資産が計上されます。企業グループを一つの活動体として見ると、50円の原材料を仕入れて、人件費を含む間接費など20円をかけて完成させた製品が、3月31日時点で倉庫に保管されている状態だからです。

個々の会社では、A社で10円、B社で20円の利益が計上されますが、企業グループ全体では、まだ利益は計上されないのです。

言い換えれば、個々の会社での利益は「実現しています」が、企業グループとしての利益は「実現していない」のです。
このように、個々の会社では実現しているものの、企業グループとしては実現していない利益を、連結会計では「未実現利益」といいます。

長くなりましたが、「未実現利益」の説明はここまでです。

連結決算の担当者は、毎期毎期、各社の期末在庫に含まれている「未実現利益」を計算して、連結貸借対照表の棚卸資産の計上額を確定しているのです。

「会計的」なお話はここまでで、極めて一般的な話であって、何も問題はありません。

しかし、「ビジネス」としてこの話を考えてみたときに、何かおかしいと感じませんか?ほとんどの連結決算担当者の方々は、全く違和感を感じないでしょう。

もし同じものを複数の会社ではなく、実際に一つの会社として製造・販売したとしたらどうでしょうか。

50円の原材料を仕入れて、人件費を含む間接費など20円をかけて完成したもの(製造原価70円)を105円で売ることになります。35円の利益です。

しかし、このビジネスが激しい価格競争に直面している場合、こんなに儲からないかもしれません。そうしたら、当然価格を下げることになるでしょう。
もし一つの会社でのビジネスで1円でも利益を出すとしたら、71円まで下げて販売活動ができます。

しかし、前述した3社からなる企業グループの場合、市場と直面して販売活動をするC社は、1円でも利益を出すとしたら、101円までしか値下げできません。同じ製品を71円まで値下げできる会社と、101円までしか値下げできない会社とでは、どちらに「価格競争力」があるでしょうか?

「未実現利益」が多額である企業グループでは、この「価格競争力」が低下している可能性があります。「価格競争力」の低い企業は、そのビジネスを長く持続させることはできないでしょう。

私は、多額の「未実現利益」は、企業の中長期的な成長を阻害しているシグナルであることを意味していると考えています。

ここから、連結決算担当者の方々に向けて、マニアックな話をしてみましょう。

もし、上述の例で、C社がグループ全体のビジネスを考慮して、100円を下回る価格、例えば90円で販売を続けたとしたら、どうなるでしょう。
今の日本の会計基準では、C社での営業赤字が2期続くと、減損処理の対象になる可能性が非常に高くなります。仮にC社で減損処理をした場合、まだ親会社では利益が出る水準ですから、C社の個別決算で計上した減損損失を、連結決算手続きで取り消す会計処理を行うことになります。
C社での減損処理の手間や負担、そして、連結決算担当者の手間や負担を考えると、ばかばかしい話だと思います。

会計処理をする現場としては、致し方ない話ですが、グループ内の価格設定が不適切であることの証かもしれませんね。もし親会社が儲けすぎない価格で子会社に販売すれば、減損に係る無駄な手続きは発生せず、子会社としても健全な営業活動と業績評価ができることになるでしょう。

このように、決算手続きを漫然としか行っていない経理担当者は、ビジネスを理解することはできないと思います。

メルマガ事務局より

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g-ifrs@group.isid.co.jp 『ISID 経理財務メールマガジン』 事務局

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