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ISIDでは、会計基準の国際化、決算早期化、内部統制など、さまざまな課題を抱える経理業務関係者の方々のために、その課題解決の一助となるように、本メールマガジンを発行しております。

すでに監査法人やコンサルティング会社からも色々なメールマガジンが発行されておりますが、弊社のメールマガジンは、抽象的教科書的なものではなく、実務目線での情報提供を基本にします。どうぞお役立てください。

目次

コンサルタントの眼
〜 インメモリ化が与える経理部門への影響とは? 〜

ここ数年のITトレンドのキーワードはやはり「クラウド」「ビッグデータ」「インメモリ」ですね。皆様も必ずどこかで耳にされたことがあるはずです。ところが、これらのキーワードが実際に経理業務へ与えるインパクトやポイントをはっきりと認識されているかというと、実はそうでも無いようです。
本来は「クラウド」「ビッグデータ」「インメモリ」が密接に連携してその真価を発揮するのですが、今日は「インメモリ」にスポットをあててご紹介をしたいと思います。

まず始めに何故インメモリが可能になったか?という点です。1991年からの20年間でメモリの単価は数千分の1に下がりました。ギガバイト単価は$50,000から$20以下になったのです。これは5000万円のマンションが2万円以下になったのと同じ意味になりますから、企業向け基幹サーバーにおいても手の届く価格帯になってきたと言えます。

単純に処理が高速化するだけなんじゃないの?現状でも業務は進められるし、特に困っていないなぁという声が聞こえてきそうです。確かにインメモリ化は「レポートの処理レスポンスが改善する」「夜間バッチ処理が短縮する」といった点に論点が集約されてしまうことがありました。

ここで、とあるERPパッケージ(会計業務中心)を導入した企業様における「経理業務へ与えたインパクト」のサマリーを以下に記します。

効果の基礎となったパフォーマンス向上例

  • メンテナンス売上げのセグメント按分レポート → バッチ処理が6時間から2時間へ
  • ソフトウェア&メンテナンス請求処理 → 17%短縮
  • 資産増減レポート → 20分からリアルタイムに
  • 減価償却プロセス全体 →7 4%短縮
  • 収益、損益レポート → リアルタイムに
  • 連結決算業務 → 22日間から8.5日間に


四半期末時点で実に累計400時間もの処理時間を短縮できたそうです。更に収益性分析レポートは86%、資産原価償却74%、売上の自動未越繰延計上91%、費用の未越繰延計上42%の高速化をもたらしました。会社間取引の照合時間は70%、決算における修正転記は40%の削減となり、グループ連結も含めた決算プロセスは8.5日となっています。

パフォーマンスが良くなっただけではありません。ビジネスプロセスの品質面において改善があったそうです。具体的な変化のサマリーを以下に記します。

業務プロセスにおける具体的変化

  • 管理会計で業種セグメントに応じた収益配賦 → 翌月初処理からリアルタイムに
  • 会社間取引の相殺、消し込み → 30分からリアルタイムに
  • 売掛金、未回収債権管理 → 紙ベースのバケツリレープロセスからリアルタイムモバイル対応プロセスに
  • 販売パイプラインのリアルタイム化 → 2時間から全ユーザ同一データ参照のリアルタイムに


この企業では連結決算の早期化のためにグループ間取引(債権債務)の照合を日常業務におこなっています。ところがバッチジョブの都合で、その照合が30分毎にしか出来ませんでした。そのため不整合が発見されると現地担当者に修正指示をしてから確認まで30分毎のバッチジョブを待たなくてはなりません。修正指示を忘れないように経理担当者は法人毎の備忘録や管理用のエクセルを作成しており、これが経理部門全体に不要な管理や残業を強いる結果となっていました。
インメモリ導入後、こういった作業は無くなり、業務の効率化・迅速化だけでなく確認漏れの解消など、業務品質の向上にもつながったそうです。

経営層に与えた影響はどのようなものでしょうか?
収益性分析がリアルタイムになることで、業界セグメントごとの売上配賦処理が月中に行えるようになりました。従前は翌月5日まで待たなければならなかった翌月初の配賦処理を当月20〜24日に見て判断できることは間違いなく競合他社よりも競争優位につながることとなります。月中におけるリアルタイムな収益状況の把握は、経営層がより早い判断とアクションを取ることを可能にしました。

売り上げ10億ドル以上、世界各国14業種の企業を対象にした財務責任者へのアンケートによると40%がデータ量の増大・データ間の不整合・データ活用の複雑化が経理部門にとって課題になっていると回答したそうです。そして55%が業績管理高度化のための予測精度向上、49%がより強いキャッシュフロー管理、40%がタイムリーな意思決定に役立つ最新の業績値の可視化(指標や分析値を含む)が必要と考えているというアンケート結果もあります。多くの企業様において、経理データの増大に伴う照合の複雑化や、情報活用に苦しまれていることが反映されている結果だと思います。
皆様の現場におかれましても、システム上の制限によって今まで「出来ない」とか「無理だ」と思い込まれているため、実は煩雑になっていたり負担となっている業務があるのではないでしょうか。

インメモリ化が経理業務に与える影響は大きいと私は考えます。「処理が早くなる」だけではないメリットを企業にもたらす原動力、そして可能性を秘めていると感じます。先の企業ではモバイル端末を導入し、担当顧客の債権状況を確認して滞留債権の速やかな回収も実現しているそうです。もちろん経理担当者は即座に受注時の情報や債権の状況を確認しながら、営業と連携をとることが出来ます。

そのうち、こたつの中で連結決算を終える時代がやってくるのかも知れませんね。家でまで仕事をしたくない!という声も聞こえてきそうですが、インメモリ化によるリアルタイム処理が業務に与える影響は日常生活にも及びそうです。

◇ 担当:清田 憲史(ISID コンサルタント)

<関連情報>

中田雑感              公認会計士 中田清穂
〜 管理会計の革新的な進歩 〜

こんにちは、公認会計士の中田です。

このコーナーでは毎回、経理・財務にかかわる最近のニュースや記事などから特に気になる話題をピックアップしていきます。
よくある、無味乾燥なトピックの紹介ではなく、私見も交えて取り上げていきますので、どうぞご期待ください。

管理会計の革新的な進歩

2014年6月6日の本メルマガで、私は「管理会計の役割と実態」と題したコラムを寄稿しました。
その際、私が持つ疑問を以下のように表現しました。

  • 企業の実態に合っていない、制度会計ベースの情報で、社内の意思決定が進められているのではないか
  • それが今の日本企業の意思決定を誤らせたり、遅らせたりしているのではないか
  • そして、社内の意思決定に必要な情報とは、一体どのようなものなのか
  • その情報を作成する上で、経理部門はどのような役割が担えるのか
  • すなわち、経理部門は、マネジメントの意思決定に役立つ情報として、何を作るべきか
  • それはどのようにして作るのか


その後、日本CFO協会などの活動を通して、上場企業に勤務する経理マンの方々と意見交換をしていくと、上記の疑問は確信に変わってきています。

そして、グループ経営管理のあるべき姿について、多くの上場企業が未だに思考錯誤のさなかにある状況もわかってきました。

日本企業の管理会計の基本は、「予実管理」にあるようです。
「予実管理」のためには、まず「予算」が必要です。
さらに、定期的に(月次などで)「実績」を作成することも必要です。
そして「実績」を「予算」と比較して、その差異を詳細に分析・報告することになります。

この一連の手続きに管理会計のかなりの工数とコストがかかっています。
それは年間を通じた業務であり、その範囲は、本社経理だけでなく、事業部門や国内外の子会社にまで及んでいるからです。

かけたコストに見合うものに、何があるでしょうか。
マネジメントの意思決定にどれだけ大きな影響を与えているでしょうか。

「予実管理」が全く役に立たないという話をしているわけではありません。
「予実管理」には、相応の効果や意味があると思います。

しかし、ここにエネルギーをかけすぎてはいないでしょうか。
もっとエネルギーをかけるべきことがあるのではないでしょうか。

それは、経営意思決定に役立つことにかかわることだと思うのです。

「経理の役割は、実績を出して、予実分析をするところまででしょ!」
「経営者に役立つ情報なんて、経理じゃなくて、経営企画が考えることでしょ!」

こんな意見が大半ではないでしょうか。

それで良いのでしょうか。

もしそれで良いと仮定して、それでは、

  • なぜ日本企業のROEは、海外企業との比較で低迷しているのでしょうか
  • なぜ日本企業は、減損損失を出すと巨額になるのでしょうか
  • なぜ日本企業は、経営判断が遅いといわれるのでしょうか
  • なぜ日本の株式市場の累積リターンは、他の先進国のマーケットと比べて劣っているのでしょうか


これらの課題について、現在経済産業省の有識者会議などで真剣に議論されています。その内容は、実証研究に基づいたいわゆる「伊藤レポート」を読み込めば理解できるでしょう。

ガバナンス・コードなどが整備・運用されても、各企業の管理会計に進歩がなければ、その効果はあまり期待できるレベルにはならないでしょう。

すなわち、今まさに「今後の」管理会計のあり方を革新的に進歩させる、重大な局面に来ているのだと、私は考えています。

2月の広島でのISIDセミナーでは、私の考えをお話しすることになりそうです。
皆さんの意見交換ができる機会になればうれしく思います。

メルマガ事務局より

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以下のメールアドレスまでお気軽にお寄せください。

いただいたご質問にはすべてお答えする予定ですが、お答えするのにお時間がかかる場合がありますので、予めご了解ください。
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