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ISIDでは、会計基準の国際化、決算早期化、内部統制など、さまざまな課題を抱える経理業務関係者の方々のために、その課題解決の一助となるように、本メールマガジンを発行しております。

すでに監査法人やコンサルティング会社からも色々なメールマガジンが発行されておりますが、弊社のメールマガジンは、抽象的教科書的なものではなく、実務目線での情報提供を基本にします。どうぞお役立てください。

目次

コンサルタントの眼
〜 ERPシステムをグローバルで展開する場合に気をつけたいポイント 〜

近年、企業のグローバル展開はますます盛んになっています。

日系グローバル企業にとって、グローバルでの数値把握、およびグローバルでの内部統制強化の観点より、本社でERPシステムを導入し、その後、海外拠点にロールアウトするケースが増えています。
そんな中、ERPシステムの中で全世界で導入実績が豊富なSAPシステムを導入・展開するケースが多いです。しかし、全世界で豊富な導入実績があるからといって安易にロールアウトできると考えるお客様が多いのも事実です。

私が過去にマネジメントしていたお客様も上記のケースに当てはまっていました。

今回は、ERPシステムによってグローバル基盤構築を検討するにあたり、気をつけて頂きたい3つのポイントを記述します。

まず、1つ目のポイントは「グローバルでの標準化」です。
グローバルで統一した経営数値をみる場合、標準化が必須です。しかし、本社の思いだけで標準化を進めてしまうと、現地法人の業務を無視してしまい、失敗するケースがあります。
グローバルで標準化を進めるにあたっては、現地の業務プロセス、及び法的要件を各拠点よりヒアリングをし、事前に把握することが重要です。

2つ目のポイントは「テンレートでの展開」です。
グローバルロールアウトを進めるにあたり、テンプレートアプローチをとるケースが多いです。しかし、テンプレートの構築時に対象拠点、および機能領域を選択する際には十分な検討が必要です。
単純に売上高や社員数などの拠点規模だけで対象拠点を決めてしまうと、後の拠点展開時にGAPの嵐となります。
テンプレート構築時には、ロールアウトの対象拠点全てに現状の業務内容、および既存システムの機能一覧をヒアリングし、全拠点で横並びの機能マトリックスの作成が重要です。

3つ目のポイントは「推進体制」です。
日系グローバル企業の海外ロールアウトプロジェクトは、日本本社が主体となり推進するケースが多いかと思います。海外ロールアウトプロジェクトは、様々な利害関係者が多く、そのことが思わぬ障壁となることがあります。
その際に、本社として利害関係を排除し、プロジェクトを推進できるメンバーを構築することが重要です。

以上が、ERPシステムを海外にロールアウトする場合に気をつけていただきたいポイントとなります。

◇ 担当:和田 行生(ISID コンサルタント)

<関連情報>

中田雑感              公認会計士 中田清穂
〜 日本経済新聞の記事から感じたこと 〜

こんにちは、公認会計士の中田です。

このコーナーでは毎回、経理・財務にかかわる最近のニュースや記事などから特に気になる話題をピックアップしていきます。
よくある、無味乾燥なトピックの紹介ではなく、私見も交えて取り上げていきますので、どうぞご期待ください。

日本経済新聞の記事から感じたこと

9月11日の日本経済新聞朝刊の「大機小機」で、「国際会計基準より大事なこと」というタイトルの記事が掲載されました。

ツッコミどころ満載です。

まずは共感できる点から・・・。

「哲学も不明確なまま国際情勢と異なる実態を取り上げ、技術論に終始しているのには違和感を感じる。」
「本来は企業にとってのメリットが説明され、監査制度や市場監督の質向上とあわせて議論されるべきだ。」
「企業には首尾一貫したストーリー性のある情報開示が求められ、財務情報と非財務情報を統合した報告の充実がカギを握っている。」
「公認会計士は根拠もなくIFRSの必要性を主張したり、制度改正を求めたりすべきではない。」

これらは全くその通りだと思います。

次に、疑問に思う点です。

「日本基準はIFRSと同等との評価を得て欧州でも認められている。コンバージェンス(歩み寄り)や相互認証で十分だ。」
この「同等との評価」とは、日本基準はIFRSが全く同じという評価ではありません。違いがまだ多くあるけれども、当初大きな差異があるとしてピックアップした項目については、日本基準の新設・改訂(後入先出法の廃止、資産除去債務、賃貸等不動産など)により差異が小さくなったので、「大きな差異はない状態になった」と評価されただけです。
さらに、この同等性評価は2008年12月に行われ、その後6年の間に、さらに同等性が向上した基準(遡及基準、退職給付会計など)もあれば、逆に相違が拡大したもの(収益認識、金融商品会計など)もあるので、現時点で同等性があると評価してもらえるかどうかはわかりません。
欧州による同等性評価は、2008年に行われたっきり、その後は定期的な見直しなど一切行われていないのです。したがって、今の時点で「相互承認で十分」という論理を展開するのは、いささか乱暴に感じます。

「のれん絡みではないが、IFRSを採用していても信用されず米国で上場廃止になる中国企業は少なくない。」
IFRSの採用と中国企業の上場廃止に因果関係があるかのような表現にも、論理の飛躍を感じます。

「本来は過去情報である決算に未来情報を含む予測・見積もりを求めるため、監査の負担も重くなる。」
IFRS導入以前に、すでに日本基準にも存在している内容です。例えば引当金の見積り計上やのれんの償却期間の予測、そして繰延税金資産の回収可能性の見積りなどです。

「例えば好況時、現金収入がなくても株主への配当や経営者への高額報酬を可能とする。」
配当と報酬の算定や決定は、会計基準と無関係ではありませんが、連動するものでもありません。配当可能額に関する規定はIFRSではなく、日本の会社法です。経営者の報酬を決定するのは、IFRSではなく、取締役会や報酬委員会です。さらに、現在の日本基準でも、現金収入がなくても利益が計上されることは枚挙にいとまがありません。例えば、外貨建資産・負債の期末時の換算手続きの結果発生する為替差益や、業績の回復によって回収可能性が高まり繰延税金資産を計上することで発生する税金収益(法人税等調整額の貸方計上)などです。
これらの利益や収益は、計上された期の現金収入を伴わず、多額の利益を計上する場合が少なくありません。

「一方で不況時は、減損や繰り延べ税金資産の取り崩しで巨額の損失が生じる。開発費や人件費の圧縮、資産の処分を余儀なくされた企業は競争力を弱める。」巨額の損失が発生するからといって、開発費や人件費を圧縮したり、資産を処分したりすることは、会計基準の問題ではなく、経営者が短期的利益をひねり出すために、長期的な価値創造を犠牲にした経営行動を取ることに問題の本質があるはずです。おまけに、「減損や繰り延べ税金資産の取り崩しで巨額の損失が生じる」のは、IFRSに限った話ではなく、コンバージェンスの結果、日本基準でも「同等に」発生する事柄です。

最後に、冒頭の共感できる部分としてあげた、
「公認会計士は根拠もなくIFRSの必要性を主張したり、制度改正を求めたりすべきではない。」について、別の側面からの感想があります。
それは、公認会計士が「根拠もなくIFRSの必要性を主張」しているとしたら、それは、彼らもビジネスである以上、当然のことだと思います。
『IFRSを任意適用すべきです。適用する場合には、弊法人のアドバイザリー・サービスをどうぞ!!』ということですね。
ただし、重大な問題は、会計監査人である公認会計士が、その企業のIFRS適用を進めることで非監査業務の報酬を得ようとすることです。
会計監査の信頼性の根幹である『監査の独立性』への疑念が発生するからです。

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