IFRS対応、グループ経営管理の高度化を支える連結会計ソリューション
ISIDでは、会計基準の国際化、決算早期化、内部統制など、さまざまな課題を抱える経理業務関係者の方々のために、その課題解決の一助となるように、本メールマガジンを発行しております。
すでに監査法人やコンサルティング会社からも色々なメールマガジンが発行されておりますが、弊社のメールマガジンは、抽象的教科書的なものではなく、実務目線での情報提供を基本にします。どうぞお役立てください。
目次
さて、今回はITの世界で盛り上がっているビッグデータについてお話しをしましょう。
ビッグデータって何でしょうか?今までのデータとどう違うのでしょうか?
読者のみなさんの仕事に何か関係あるのでしょうか?
ビッグデータとは、文字通り「ビッグなデータ」なのですが、多くは、「従来の技術では容易に扱えなかったような大量で複雑なデータの集合体」という感じです。例えば、鉄道系ICカードの乗車履歴や、センサーからリアルタイムに収集される情報、インターネット上のサイトに蓄積されるつぶやき、コミュニティサイトやブログへの書き込み、サイトでの購買履歴に加えてクリックした履歴、天文学的大気科学的な測量情報、ゲノミクス(遺伝子解析)などなど。最近では、画像解析も進んでいます。企業や研究者の方々は、従来の技術ではコストや処理性能、収集方法などの問題によって分析をすることができなかったデータを、何か価値のある事実を発見するために、日々分析しています。
なぜ、今までできていなかったものができるようになり、急激に普及してきたのでしょうか。大きくは、3つの技術革新が背景にあります。
ビッグデータってこんなことまでやるのかと思われた方もいるかもしれませんが、どう価値を生み出すのか考えてみましょう。機械に埋め込まれたセンサーは、何のためにどんな情報を集めるのでしょうか。機械の振る舞いや動作を解析し、故障しやすい動作のパターンを発見、故障を予知するような事例が知られています。
インターネットサイトの回遊性(どのような順序でクリックしていったか)の分析は、顧客の嗜好を把握し、買いやすいサイトの開発や商品の品揃え、顧客への商品の紹介をするために役立ちます。実は、目的や実現したい価値はシンプルで、今までもやりたかったことなのです。売上を伸ばしたい、コストを削減したい、顧客満足度を上げたいなど。
「スモールデータ」なんて言葉はありませんが、ビッグデータの対極にあるものとして、「従来の技術で容易に扱うことができる程度の少量で簡単なデータの集合体」としてみましょう。「少量で」というのは程度があるとして、最も古くからコンピュータに蓄積されてきた情報の代表格は、会計情報だと思います。はたして、会計情報は、ビッグデータの世界で勇猛果敢に価値を生み出すよう解析されているような事例に比べて、十分に活用できているのでしょうか。
会計に携われる方であれば、会計の趣旨は、「金銭や物品の出納を、貨幣を単位として、記録、計算、管理等すること」という考え方に納得してもらえると思います。
実際には金銭の記録、計算までが中心で、管理という点では十分な活用が進んでいないのではないかと思います。世の中は「ビッグデータ」の活用が進んでいるのに、古くから企業内に眠っている「スモールデータ」としての会計情報の活用は進んでいないということでしょうか。管理会計と言う言葉も普通に使われますが、何らかの判断や意思決定に会計情報を使うと言う点では、まだまだ十分に普及しているとはいえません。ビッグデータに目を向ける前に、スモールデータとしての会計情報の分析、活用を考える方が現実的かもしれませんね。
みなさん、日々、会計情報を、目標を伴った意思決定に使いこなせていますか?
機会があれば、会計情報と企業目標という観点でまたお話したいと思います。
◇ 担当:川村 竜二(ISIDコンサルタント)
こんにちは、公認会計士の中田です。
このコーナーでは毎回、経理・財務にかかわる最近のニュースや記事などから特に気になる話題をピックアップしていきます。
よくある、無味乾燥なトピックの紹介ではなく、私見も交えて取り上げていきますので、どうぞご期待ください。
平成26年1月14日に、金融庁から「財務諸表等の用語、様式及び作成方法に関する規則等の一部を改正する内閣府令(案)」等(以下、「本改正案」という。)が公表されました。
当該改正は、平成25年6月20日に企業会計審議会から公表された「国際会計基準
(IFRS)への対応のあり方に関する当面の方針」(以下、「当面の方針」という。)
を踏まえ、金融商品取引法における単体開示の簡素化を図るためのものです。
コメント募集期間は、平成26年2月14日(金)まででした。
「当面の方針」は、IFRSへの対応を主目的とした審議会の答申でした。
しかし、IFRSの適用をするうえで負担が増大することに配慮して、単体開示を簡素化しようという経緯で、IFRSを全く適用しない企業も恩恵が受けられる形になりそうです。
ほんの一例ですが、以下のような注記項目が、連結財務諸表を作成している企業は、すべて単体での開示が不要になります。
(1) リース取引に関する注記
(2) 資産除去債務に関する注記
(3) 研究開発費の注記
(4) 減損損失の注記
(5) 一株当たり純資産額の注記
(6) 一株当たり当期純損益金額に関する注記
(7) 潜在株式調整後一株当たり当期純利益金額に関する注記
さらに、私が注目しているのは、今回のテーマである、「製造原価明細書」の開示免除です。この開示免除ができる条件が、「連結財務諸表上セグメント情報を注記している場合」となっているのです。
連結財務諸表で「セグメント情報」を開示すれば、なぜ「製造原価明細書」を作成しなくても良いのか、今のところその根拠がまったくわからない状況です。
本件に関して、公益社団法人日本証券アナリスト協会企業会計研究会が、2014年2月14日に金融庁宛に提出した文書「『財務諸表等の用語、様式及び作成方法に関する規則等の一部を改正する内閣府令(案)』等について」で、「現行の【セグメント情報】は製造原価の開示を企図したものではなく、【製造原価明細書】の代替とはなりえない」ことを理由に、「製造原価明細書」の開示免除に反対のコメントを記載しています。
至極もっともなコメントです。
今回の「製造原価明細書」の開示免除は、未だに単一ビジネスであることを理由にセグメント情報を開示していない企業に対して、セグメント情報の開示を促す以外に理由が見当たりません。
そうだとすると、かなりな「チカラ技」という感じです。
そもそも今回の単体開示簡素化全体が、IFRS適用を促すための「エサ」的なもので、IFRSをテーマとする審議会の答申に盛り込まれたこと自体が「チカラ技」なのです。
そして、もっとも「チカラ技」を感じるのが、今回の改正の適用予定が、2014年3月期(なんと今期!!)からだということです。
「当面の方針」が昨年6月に公表され、半年後に改正案が公表され、コメント期限が翌月(2月)で、その翌月(今月!!)には施行される予定で、今年の6月に提出する有報に適用されるという、猛スピードです。
はっきり言って異常です。
私は、2016年(3年後)までにIFRSの任意適用企業を数百社に拡大したいというスケジュール感と、無関係ではないと考えています。
このコーナーでは読者のみなさまからのご質問を受け付けています。
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