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目次

コンサルタントの眼
〜 制管一致に関するシステムの考慮点 〜

昨年11月のメルマガで制管一致について取り上げましたが、ここでは、システム側における、制管一致に関する考慮点について筆者の考えをご紹介させていただければと思います。

システムにおける、制度会計・管理会計の区分

単体会計システムと連結会計システムそれぞれで考慮する必要がありますが、ここでは単体会計で見ていきたいと思います。
単体会計システムでは、主に制度会計を目的とした総勘定元帳、仕訳を管理するサブシステム(GL)があり、その総勘定元帳上に、管理会計の情報も保持するか、保持する場合、制度と管理を同一の情報として保持するのか、別々に保持するのか、もしくは差分として保持するのか、様々であります。
このことは、SAPやOracle EBSといったERPや国内の会計パッケージにおいてもまちまちであり、それぞれの製品の特長となっていることが多いかと思います。さらには、そのERPシステムの機能をどこまで使っているか、生産管理や原価計算といったシステムとどのように連携しているかでパターンが分かれてきます。

上記の形態としては、主に以下のようなパターンがあるかと思います。

  A.同一元帳管理
   制度会計と管理会計を完全に同一元帳で管理

  B.別元帳、一部同期
   財務会計と管理会計で共通の仕訳は双方に同時転記する
   管理会計のみの仕訳(配賦など)は、管理会計元帳にのみ転記

  C.一部差分管理
   結果は同一元帳で管理されるが、管理会計のみで保持する情報は別管理

  D.制度会計の元帳のみ
   制度会計の元帳のみが元帳管理されている
   原価計算結果は、別システムやExcel上で管理されており、結果のみが転記される

上記のような分類をしてみると、日本基準とIFRSの元帳をどう管理するのかというIFRSのシステム対応の分類と類似していることに気づきます。

制管一致がシステムの構造上保証されるのはパターンAですが、そもそも、制度と管理で何が一致していなければならないのかの定義があいまいだと、評価が出来ません。
どの方法が良いというわけではなく、いずれの方法も、メリット・デメリットがあり、細かく見ていかないといけません。

制度会計、管理会計で一致すべきもの、一致しないものの区分

そもそも、制管一致といっても、何が一致していなければいけないのか、逆に言うと何は一致してなくても良いのか、を明らかにしないとメリット・デメリットが見えてきません。

  a.管理粒度の違い(例:部門別損益管理)
   管理会計の合算が、制度会計となる
   制度会計の情報に部門の情報を付加することで、同一ソースとすることができる
   上記、パターンA、Bが適している

  b.時間軸の違い(例:製造原価計算)
   財務会計には、売上計上時に売上原価としてまとめて転記される。
   期首・期末の仕掛品や製品?商品の棚卸の残高を考慮する必要がある。
   原価差異は、期末にまとめて按分計算するケースが多い。
   パターンC、Dが比較的適している

  c.制度報告のみ必要な情報 (例:決算整理仕訳)
   長期・短期の振替などの決算整理仕訳
   税効果会計、など管理会計では見ない情報
   パターンAでは管理会計では見ない情報も入る。

上記のように、細かく見ていって、何を一致させるべきなのか、どこは一致しなくても良いとするのか、その方針によってシステムの対応パターンも変わってきます。

制管一致にむけて

では、制管一致のためにシステムではどうすればいいかというと、あたりまえのことですが、「制度と管理で、一致すべき情報については、単一のものとして管理し、構造上不一致が起きないようにする」ことに尽きるのかと思います。
言うは易し、で大変なことです。
具体的には、何が一致しているべきかを、勘定連絡図やデータフローなどを用いて紐といていき、明らかにしていくことが必要になってきます。
その上で、構造上一致すべきところはずれないようにするのがシステム側で必要なことなのかと思います。

まず現状の把握として、システムの構造上はどのようになっているのか、一致すべき情報とそうでない情報が、現在どのシステムでどのように管理されているのか確認してみることも必要なのではないかと思います。

◇ 担当:菅田 裕之(ISIDコンサルタント/米国公認会計士)

<関連情報>

中田雑感              公認会計士 中田清穂
〜 会計基準は会議室でできるんじゃない!現場でできるんだ!! 〜

こんにちは、公認会計士の中田です。

このコーナーでは毎回、経理・財務にかかわる最近のニュースや記事などから特に気になる話題をピックアップしていきます。
よくある、無味乾燥なトピックの紹介ではなく、私見も交えて取り上げていきますので、どうぞご期待ください。

会計基準は会議室でできるんじゃない!現場でできるんだ!!

今回のコラムのタイトルの発言は、IASB理事である鶯地隆継氏が、2014年2月5日に開催されたASBJオープンセミナーにて発せられたものです。

IFRSという会計基準(財務報告基準)は、とかくロンドンのIASBの一室で決められているように思われがちです。

しかし、基準が完成するまでのプロセスにおいては、討議資料(ディスカッションペーパー)や公開草案などを公表して、広く意見を求めて、一つひとつの意見を丁寧に吟味した上で作り上げられていきます。

このプロセスで、実際に決算を行っている企業(財務報告作成者)や投資家など、『現場』の意見が取り入れられているということになります。

また、基準が完成し適用が開始された後にも、「適用後レビュー」というプロセスがあります。

この「適用後レビュー」というのは、基準を策定する際にも、『現場』の意見を聞いたうえで策定したものの、新規や大幅な変更が行われた規定の影響を評価するためのもので、以下の2点を検討します。
(1) 議論が多かった論点が実際にどうであったか。
(2) 基準策定時には予想されていなかったコストや問題点が発生しなかったか。

基準が策定されるプロセスで、その内容に反対であった人たちに、基準適用後に再度修正するための意見を発信する機会があるのです!

この「適用後レビュー」が実施される際には、まず最初に「情報要請」というフェーズがあります。「情報要請」というのは、上記2つの検討ポイントについて、広く世界から実態報告や意見を求めるものです。

ここで注目すべきは、この「情報要請」のフェーズでIASBに報告するためには、「実際にIFRSを利用した経験があること」が必要です。

当たり前と言えば、当たり前のことです。

IFRSで決算をしたこともないのに、実態報告などできるわけがありません。

すなわち、今回のコラムでタイトルにした「会計基準は会議室でできるんじゃない!現場でできるんだ!!」という鶯地氏の言葉は、ここからきているのです。
これは、「IFRSを使ってもいないのに、IFRSに文句を言うな」という意味だと、私は理解しました。

現在、日本はIFRSに関して、強制適用にはしないまでも、任意適用を積み上げて、IASBへの発言力を増大させようという戦略を進めています。

しかし、日本において、上場企業の決算の『現場』で、IFRSが顕著に利用されていないと、日本の戦略はその目的を達成できない恐れがあるということを、鶯地氏は懸念されているのでしょう。

メルマガ事務局より

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