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IFRS対応、グループ経営管理の高度化を支える連結会計ソリューション

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株式会社 電通国際情報サービス

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ISIDでは、会計基準の国際化、決算早期化、内部統制など、さまざまな課題を抱える経理業務関係者の方々のために、その課題解決の一助となるように、本メールマガジンを発行しております。

すでに監査法人やコンサルティング会社からも色々なメールマガジンが発行されておりますが、弊社のメールマガジンは、抽象的教科書的なものではなく、実務目線での情報提供を基本にします。どうぞお役立てください。

目次

コンサルタントの眼
〜 「J-IFRSで元帳三重化?」 〜

IFRS強制適用が延期になり、最近では企業会計審議会にて「J-IFRS」の議論がされており、強制適用のみならず、任意適用においてもその時期や何に対応するのかの基準の対象まで定まらない状況となってきました。

各社様におかれましては、IFRS適用時期の目処が立たない今、経理決算業務のIFRS適用時の業務見直しや次期会計システムの更改などによるシステム準備をどのように進めていくか悩んでいらっしゃるご担当者様も多いかと想定します。

そこで、今回は筆者が単体会計システム、ならびに連結会計システムのIFRS対応を支援させていただいた経験をもとに、上記のような状況で単体決算や連結決算の業務システム対応準備をどのように進めていくべきなのか、少しでもヒントになることを、筆者の意見としてご紹介させていただければと思います。

IFRSの収益認識や有価証券などの各領域における、個別の論点については自社への適用方針を検討し、会計方針を決まらないと、具体的な業務システム側の対応は決まりません。したがって、現状の状況を踏まえると、将来決定するであろう会計方針に対する準備として、決算業務やシステムの高度化が必要になると考えます。

典型的な高度化の例として、総勘定元帳や連結元帳の複数基準対応があげられます。その方法は、元帳を完全に多重化するケース、基準間の差分仕訳のみを管理するケース、他には勘定科目で対応するケースなどが考えられます。

ここで、将来的にもし日本基準、Pure-IFRS、J-IFRSの3つの基準に、元帳多重化で対応するとなると、元帳が三重化することになります。日本国内ではJ-IFRSで開示、グローバルでの比較可能性のためにPure-IFRSでも開示するというケースです。

可能性としてはそういったことも考慮しておく必要もあるかと思います。
その場合、二重化までなら許容できた場合でも、三重化までするとなると実務上やシステム上は冗長となるので、採用はしづらくなると思います。
そこで、例えば元帳多重化は日本基準とIFRS元帳の2つとして一部カーブアウトしたJ-IFRSとPure-IFRSとの差分をIFRS元帳の中で管理するといったようなことも考えることが必要となってきます。
そのため、システム上は元帳の多重化だけでなく、仕訳の差分コントロールにも対応できるようになっていることが、望ましいと言えるかと思います。

もう1つの高度化の例としては、会計システムへの仕訳取り込みや自動仕訳起票の機能の充実があります。例えば柔軟な仕訳アップロード機能や、外部システムから連携した情報から自動的にIFRS差分仕訳を生成するようなしくみがあげられます。それにより、将来の会計方針決定に対して、周辺業務やシステムから必要な情報を収集して、会計システム側に取り込む準備をすることができます。

将来決定するであろう個別のIFRS論点に対応するには、こういった元帳管理や仕訳管理の高度化をしておくことが、今できることとして考えられることかと思います。

決算業務としては、差分仕訳の起票・承認のタイミング、職責、各元帳の締めスケジュール等を、高度化されたシステム上で実現することを考えていくことになります。

経理財務担当者におかれましては、将来のIFRS対応を見据えて上記のようなことを業務システム側で検討されているかどうか、確認してみることも必要ではないでしょうか。

◇ 担当:菅田 裕之(ISIDコンサルタント/米国公認会計士)

<関連情報>

中田雑感              公認会計士 中田清穂
〜 J-IFRSの意図 〜

こんにちは、公認会計士の中田です。

このコーナーでは毎回、経理・財務にかかわる最近のニュースや記事などから特に気になる話題をピックアップしていきます。
よくある、無味乾燥なトピックの紹介ではなく、私見も交えて取り上げていきますので、どうぞご期待ください。

J-IFRSの意図

IFRSをめぐる議論が活発になってきました。
金融庁は、今年の3月から毎月、企業会計審議会を開催し、IFRS任意適用の要件緩和など、具体的な項目の検討を行い、異論のない項目から実際に法制化する動きになっています。

また、政権与党となった自民党でも、最近は毎週のように金融調査会・企業会計小委員会を開催し、我が国のIFRS対応について、JICPAの山崎会長、日本取引所の斎藤CEO、IFRS財団の藤沼氏などから事情を聴取しています。この委員会では、議員から「日本でIFRSを強制適用するとしたらどのタイミングがよいか」といった質問もあるようです。(週刊経営財務No.3116)

こういった動きの中で私が注目しているのは「J-IFRS」といわれるものです。J-IFRSの考え方は、今年4月23日に開催された企業会計審議会で、金融庁の栗田課長が示した考え方です。

以下、少し長いのですが、金融庁のサイトにUPされている議事録から栗田課長の発言内容を抜粋します。

<以下抜粋、「」は筆者>

それでは、具体的にどういう点が当面検討の課題となってくるかということでございますけれども、(中略)
ピュアなIFRSを念頭に置いている現行の指定国際会計基準のほかに、我が国においても「個別基準を一つ一つ検討して採択するプロセス」を設ける必要があるのではないか。
(中略)
この論点に出ております「個別基準を一つ一つ検討して採択するプロセス」を設けると、その結果としては、「エンドースメントしたIFRS」というものができるということになるわけでございまして、(中略)
やはりこの「エンドースメントしたIFRS」というのがどうしても必要になってくるのではないかというふうに考えております。

<抜粋以上>

この議事録で栗田課長が示した「個別基準を一つ一つ検討して採択するプロセス」及び「エンドースメントしたIFRS」については、5月28日に開催された企業会計審議会では「J-IFRS」という言葉で表現されていたようです。
議事録の流れでは、委員の意見であることを前面に出してはいますが、金融庁はこの「J-IFRS」による対応をかなり積極的に考えているように感じます。

4月の審議会の議事録の抜粋にも「どうしても必要」と言っていますし、5月28日には、資料まで作成し、「J-IFRS」のメリット・デメリットをまとめて、審議会での意見をうながしています。

その意図はなんでしょうか。

「J-IFRS」では、IFRSの個々の基準ごとに日本に適しているかどうかを判断し、ASBJなどが認めた個々のIFRSを日本企業が適用していくことになります。

ポイントは、「適さない」とされた基準がその後ほとんどなくなっていくと、結局、いわゆる「ピュアIFRS」を適用することになる、ということです。

金融庁の目標は、やはり「全面強制適用」でしょう。
それが、IFRS財団のモニタリングボード・メンバーの要件を満たす、もっともわかりやすい状況だからです。

しかし、今の日本の状況では「全面強制適用」は不可能に近い状況です。

したがって、「日本企業でも採用しやすい部分だけを認めたJ-IFRSを作るから、みなさんできるだけこのJ-IFRSを採用してください」ということで、J-IFRSの採用企業を増加させていきたいのではないでしょうか。

そして、当面「適さない」としてカーブアウトしたIFRSについて、しばらくたって認めていくことで、結果的に「ピュアIFRS」を全上場企業が採用している状況にしていきたいのではないでしょうか。

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