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ISIDでは、会計基準の国際化、決算早期化、内部統制など、さまざまな課題を抱える経理業務関係者の方々のために、その課題解決の一助となるように、本メールマガジンを発行しております。

すでに監査法人やコンサルティング会社からも色々なメールマガジンが発行されておりますが、弊社のメールマガジンは、抽象的教科書的なものではなく、実務目線での情報提供を基本にします。どうぞお役立てください。

目次

コンサルタントの眼
〜 予算と実績はなぜ乖離するのか 〜

3月決算の会社は、予算達成のための追い込みの時期だと思います。しかし、年初の予算を確実に達成できる会社はごく少数なのではないでしょうか。
今回はなぜ予算と実績が乖離するのか、予算を立案する側の視点で考えてみたいと思います。なお、今回は単年度の年初予算にフォーカスして考えます。

一般的に以下の流れで年初予算は作成されます。(事業部制組織を想定)

  • 1.中(長)期経営計画を元に年初予算の基本方針を作成(取締役会)
  • 2.基本方針を元に年初予算の具体的方針を作成(経営企画)
  • 3.各事業管理部門への予算作成依頼(経営企画)
  • 4.現場部門への予算作成依頼(事業管理部門)
  • 5.予算作成。事業管理部門への上申(現場部門)
  • 6.事業部全体の予算作成。経営企画への上申(事業管理部門)
  • 7.全社予算作成(経営企画)
  • 8.全社予算の承認(取締役会)

簡潔に記載しても上記のようになりますが、さらに複雑な事業構造の会社では、より多段階での情報のやり取りが発生します。予算の根拠数値を作成する現場部門と、それを確認する経営層との間には様々な階層があり、結果として「伝言ゲーム」になってしまい、お互いの意図が伝わらないまま予算が確定してしまうのではないでしょうか。

当然、容易に達成可能な予算では事業の成長はないため、ある程度現場が奮闘せざるを得ない予算を立てることが必要だと思います。しかし、あまりに予算と実績が乖離すると株価への影響もあり、現実的な努力で実現可能な予算を立てる必要があると思います。

そのためには、全社の数値をまとめる経営企画が現場から上申される数値の妥当性を判断し、経営層に正しく情報を伝える必要があると思います。そのためには、ビジネスの実態を正しく理解し、上申される数値の背後にある情報を読み取る力が必要です。ジョブローテーション・教育研修・社内交流会等の様々な手段を用いて、現場を理解することが、確度の高い予算作成につながるのではないかと思います。

ちなみに私が前職で所属していた某大手電機メーカーでは、新卒で本社系の管理部署に配属されるとそこで定年を迎え、現場部門に配属されると現場部門で定年を迎えるということが通例でした。(私は末端の営業マンでした)
本社管理部門と現場部門のコミュニケーションはほとんどなく、予算と実績が大幅に乖離するのは日常茶飯事でした。おそらく本社管理部門では現場から上がってきた数値を、「単なる数値」としてしか見ていなかったのではないかと思います。

 

◇ 担当:藤井一夫(ISIDコンサルタント/米国公認会計士)

<関連情報>

中田雑感              公認会計士 中田清穂
〜 単単分離? 〜

こんにちは、公認会計士の中田です。

このコーナーでは毎回、経理・財務にかかわる最近のニュースや記事などから特に気になる話題をピックアップしていきます。
よくある、無味乾燥なトピックの紹介ではなく、私見も交えて取り上げていきますので、どうぞご期待ください。

単単分離?

今回のタイトルは、「単単分離」です。
「連単分離」ではありません。

最近有形固定資産の減価償却方法を、定率法から定額法に変更する企業が急増しています。

資産を取得した当初は、定率法の方が定額法よりも減価償却費が多く計上できます。
そしてその結果当初の利益を、より少なくすることで、企業の課税所得を抑えて、法人所得税を抑えることができます。
つまり「税務メリット」があるということです。

定率法を定額法に変更すると、このような税務メリットが受けられません。

したがって、定額法に変更した企業は税務メリットを上回る何らかのメリットがないと、定額法に変更する意味がありません。
逆に何らかの目的で、定額法に変更したくても、税務メリットが受けられなくなることで、定額法への変更を躊躇している企業も多いようです。

「何らかのメリット」には、今後のIFRS対応だけでなく、定額法の方が資産の利用実態に合っているために、経営判断に利用する情報として適切であるということがあるようです。

特に製造設備について、購入当初から廃棄するまで、安定的に稼働する企業においては、定額法で減価償却費を計算する方が、企業活動の実態に合っているということです。

しかし、現在の日本の税制では、会社法で要求されている計算書類(決算書)で、費用として処理していないものについては、それ以上の費用処理が税法で認められていても、課税所得を減らしてはいけないという鉄則(損金経理要件)があります。

例えば、税法では、今期1億円の費用計上が許されている場合でも、決算書の利益を算出するための費用として8千万円しか計上していなければ、課税所得を計算する場合でも、8千万円しか費用(損金)にできません。
税法ではあと2千万円認められるからといって、決算書の利益を2千万円減額して課税所得を少なくし、その結果支払う税金を抑えることはできないのです。

このままでは、経営情報として不適切なだけではなく、主に投資家が利用する有価証券報告書に、企業活動の実態に合った財務情報を載せることもできなくなります。

有価証券報告書には、企業グループ全体の財務情報として連結財務諸表が記載されますが、企業グループトップの親会社単体の財務諸表も記載する必要があります。

そこで、私は、有価証券報告書に記載する財務諸表と、会社法で義務付けられている計算書類の会計処理を変えることはできないかと考えています。
つまりこれが、「単単分離」の考え方です。

例えば、有形固定資産の減価償却方法について、会社法計算書類では定率法を、有価証券報告書では定額法を採用する、ということです。

そうすれば、会社法計算書類を基礎として計算される税金も抑えることができますし、有価証券報告書には、企業の活動実態に合った財務情報が記載できるのです。

これまで、決算・開示の実務を行ってきた経理担当者や監査人にとって、考えたこともないアイデアではないでしょうか?

「本当にそんなことしていいの?」といった疑問の声が聞こえてきそうです。

しかし、逆に会社法計算書類と有価証券報告書の単体財務諸表を同じものにしなければならないという規定はありません。

「そんなことをしたら、株主総会の招集通知に記載する会社法計算書類を見た株主が、有価証券報告書の単体財務諸表を見て、『どっちがほんとの利益なんだ』と怒りませんか?」という心配の声も聞こえそうです。

確かに、同じ企業に二つの結果が出てきたら混乱するかもしれません。

しかし、現在の日本の会計制度では、「連単分離」ということで、同じ企業(企業グループ)について、異なる会計処理を強要する事態になっているのですから、すでに制度的に混乱させている状況にあると言えるかもしれません。
現在日本の株式市場では、日本基準、米国基準、国際財務報告基準(IFRS)の3つの会計基準で連結財務諸表を作成することが認められている状態で、全く規律のない状況です。
無法地帯ともいうべき状況です。

それなら「単単分離」くらいどうってことないじゃないか!!というのは、あまりにも乱暴でしょうか。

 

公認会計士 中田清穂氏のホームページ
http://www.knowledge-nw.co.jp/

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