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ISIDでは、会計基準の国際化、決算早期化、内部統制など、さまざまな課題を抱える経理業務関係者の方々のために、その課題解決の一助となるように、本メールマガジンを発行しております。

すでに監査法人やコンサルティング会社からも色々なメールマガジンが発行されておりますが、弊社のメールマガジンは、抽象的教科書的なものではなく、実務目線での情報提供を基本にします。どうぞお役立てください。

目次

コンサルタントの眼
〜 企業結合 Step2 〜

ASBJ 支配の喪失に関する取扱いを検討へ段階取得の適用状況の検証も企業会計基準委員会(ASBJ、西川郁生委員長)は8月23日、第250回本委員会を開催し、「企業結合(ステップ2)」に関する審議を行った。

第247回委員会において改正項目を絞り込むことが提案され、その後、具体的な対象項目の検討が行われてきた。
その審議過程で改正項目から除外することが検討されてきた「支配の喪失」に関する取扱いに関し、これまでの意見を踏まえ、改正項目に含める方向となった。

企業結合基準の改正項目がほぼ固まる

年内に公表する予定の企業結合会計基準の改正案に盛り込まれる改正項目は、「少数株主持分の会計処理」、「取得関連費」、「暫定的な会計処理」の3項目に「支配の喪失」も加えられることになりそうだ。

支配の喪失に関する取扱いは、子会社への出資比率の引き下げなどにより、子会社から関連会社になるケースや、売却等により子会社にも関連会社にも該当しなくなるケースなど、子会社等に対する支配を喪失した場合の会計処理。

支配喪失時に残存投資を時価評価するかが主な論点となっている。上記の例でいえば、子会社から関連会社になった時点で、関連会社株式を時価評価し、連結財務諸表上の帳簿価額との差額を損益として認識するというもの。ただし、「我が国の会計基準では子会社から関連会社になる場合は投資が継続しているとみており、既存持分を時価評価し損益を認識する処理は実態と合ってない」という意見がある。

改正項目がほぼ固まり、今後、改正基準の文案の検討を進めていくことになるが、支配の喪失に関する取扱いに関しては、今回の審議で下記2案が事務局から示されている。
このうち、IFRSと差額の処理が異なる案2については、否定的な意見が多かった。

案1: 連結財務諸表上、残存する当該被投資会社に対する投資(「残存投資」)は支配喪失時の時価で評価し、連結財務諸表上の帳簿価額との差額を損益として認識する。
なお、仮に、残存投資を支配喪失時の時価で評価し、差額を損益とする方向性で検討する場合、残存投資を時価評価したことにより認識される損益は売却持分に係る損益とは性質が異なることから、別の科目で区分表示(又は注記により開示)してはどうか。

案2: 連結財務諸表上、残存投資は支配喪失時の時価で評価するが、帳簿価額との差額は、支配喪失時においてはその他の包括利益に計上する。この結果、純資産の金額は、国際的な会計基準と同様になる。なお、仮に支配の喪失に関して上記の取扱いを採用した場合には、段階取得の処理についても整合性の観点から合わせて見直すべきかどうかも検討することが考えられるがどうか。

また、公開草案の公表に合わせて、平成20 年改正基準の適用状況のレビューを別途行うことも提案された。支配の喪失と裏表の関係にある段階取得の取扱いについては、当該改正時にIFRSと合わせていることから、その適用状況を検証する。
段階取得の処理の検討過程において、残存投資を評価する際の時価の算定には操作可能性があり得るという懸念点が指摘されたが、支配の喪失において段階取得と同様の考え方を採用するとより一層の操作可能性が懸念されるという意見が出されているため。

◇ 担当:本池 浩( ISIDコンサルタント )

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中田雑感              公認会計士 中田清穂
〜 iPS細胞と資本市場 〜

こんにちは、公認会計士の中田です。

このコーナーでは毎回、経理・財務にかかわる最近のニュースや記事などから特に気になる話題をピックアップしていきます。
よくある、無味乾燥なトピックの紹介ではなく、私見も交えて取り上げていきますので、どうぞご期待ください。

iPS細胞と資本市場

この度の山中教授のノーベル賞受賞のニュースは、とても誇らしくうれしいニュースです。このニュースでの、山中教授の受賞時のインタビューで『死の谷』という言葉が飛び出てきました。

『死の谷』とは何でしょうか。

医薬の分野での研究は、大きく段階分けすると以下の3段階に分けられます。

 (1)基礎研究

 (2)臨床研究

 (3)応用研究

ちなみに、今回山中教授が受賞したiPS細胞の研究成果は、まだ(1)の「基礎研究」段階でのものです。

研究にはすべての段階でお金がかかります。

そして、(1)の「基礎研究」や(3)の「応用研究」には、経済産業省、文部科学省、厚生労働省などからの助成金があります。
また、「応用研究」段階では、臨床研究での膨大な試験データに基づいて、実用化が見えていることから、大手製薬会社からの資金供給もあります。
その効果もあって、「基礎研究」と「応用研究」に関する研究成果を発表する日本の論文の数は世界的にトップクラスです。

しかし、(2)の「臨床研究」の段階での論文数は、世界的に低レベルです。
その理由は、十分な資金がないからです。

まず、国などからの助成金がほとんどありません。
また、実用性が確実ではないので製薬会社からの資金もほとんどありません。

(1)の「基礎研究」や(3)の「応用研究」には、研究資金があるのに、(2)の「臨床研究」にはほとんどないことから、(2)の「臨床研究」段階が『死の谷』と呼ばれているのです。

臨床試験には、莫大な費用がかかり、またいつまでやれば実用化のめどが立つかもわからない段階です。このことから、助成金も出しにくいし、企業も手を出しにくいということのようです。

ここで「資本市場」とのかかわりがあるのです。

基礎研究が終わった段階で、ベンチャー企業が資本市場で不特定多数の投資家から資金を集めて、臨床研究活動に出資する動きがあります。

今回の山中教授のiPS細胞の研究も、臨床研究をきちんと行わないと、宝の持ち腐れになるか、他国に油揚げをさらわれてしまうのです。
政府や製薬会社に任せていられないのか、山中教授のもとには寄付が寄せられているようです。しかし、寄付金でカバーできるレベルではありません。

アメリカでは、3段階について一貫した助成金が交付できる組織があるのですが、今の日本では、このような変革が迅速に期待できないように思います。
したがって、資本市場でベンチャー企業が資金調達しやすいようにしていくことも意味があるように思います。

しかし今、日本の資本市場は、上場コストの上昇、不正会計、3会計基準の併存など大きな課題が山積しています。
実際この分野でのベンチャー企業の数も減っているようです。

このように、「資本市場の活性化」は、日本の医薬の世界にも影響がある重要な問題であることを再認識した次第です。
世界に認められたiPS細胞の研究成果が、難病で苦しむ人に役立たなければ、こんなにくやしいことはありません。

 

公認会計士 中田清穂氏のホームページ
http://www.knowledge-nw.co.jp/

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