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IFRS対応、グループ経営管理の高度化を支える連結会計ソリューション

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ISIDでは、会計基準の国際化、決算早期化、内部統制など、さまざまな課題を抱える経理業務関係者の方々のために、その課題解決の一助となるように、本メールマガジンを発行しております。

すでに監査法人やコンサルティング会社からも色々なメールマガジンが発行されておりますが、弊社のメールマガジンは、抽象的教科書的なものではなく、実務目線での情報提供を基本にします。どうぞお役立てください。

目次

コンサルタントの眼
〜 地域統括会社 〜

 今回は、グループ・マネジメントと地域統括会社について考えてみたいと思います。地域統括会社は、「各国、各地域の制度やニーズに細かく対応するために、グループ本社機能の一部(人事・労務、販売・マーケティング、金融・財務・為替・税務など)を切り出して各地域ごとに設置された会社」と定義しておきたいと思います。

 人事・労務は、雇用や源泉所得税に関する各国の規制への対応やグローバル人材の育成を機能として保有するもので、人材育成では、ヨコガワ・リーダーシップ・インスティチュート、ソニー・ユニバーシティなどが知られています。
 販売・マーケティングは、地域で異なる製品ニーズの差を掘り起こし、製品開発につなげるとともに、物流や販売チャネルを維持する機能です。
 金融・財務・為替・税務では、大きなものではシェアード・サービスの提供や為替リスクの集中管理のほか、実効税率引き下げと各国の税制のインセンティブの活用などの各国税制対応などが挙げられます。

 持株会社化が進み、すべてを持株会社(=グループ本社)で、きめ細かく対応できなくなることと、グループ経営戦略として最終的にマルチ・ナショナル戦略あるいはトランス・ナショナル戦略を採用する場合の現地化による分散を進めていくこと、これらのために地域統括会社を活用し、意思決定機能の一部を地域の実情に合わせて地域統括会社に委譲する必要が出てくると思われます。

さらに、人件費等のコストや税務上の有利性(税率、パイオニア・ステータスの認定など)を勘案して、地域統括会社ではなく、グループ本社を海外に置く動きも今後活発化し、その際には、一旦、日本での上場をやめて、改めて日本市場に外国企業として上場するなどということも考えられているようです。

いずれにしても、地域統括会社は売上とコストさらにリスク管理の面から、組織形態のあり方の問題を投げかけています。売上は、地域ニーズにあった製品開発や販路開拓、コストは製造コストのほか、シェアード・サービスなどの事務処理コストや実効税率を考慮した税金コストを含みます。リスク管理の面からは、円高に代表される為替リスク、税務トラブルや税務調査に対応する税務リスクなどが挙げられますが、今後、何らかの形で地域の状況を吸い上げる意味での地域統括会社の重要性を再認識する必要があると思われます。

【注】 マルチ・ナショナル戦略 :各国ごとの差別化で優位を築こうとする戦略。権限は分散化し、世界レベルでの調整力は弱い。
トランス・ナショナル戦略:売上コストの同時マネジメントを実現しようとする戦略。経営資源は海外子会社に分散するものの、世界レベルでの調整機能は強い。
パイオニア・ステータス :当該国に進出するパイオニア・ステータス認定企業を税制面等で優遇する制度。国によって異なるが、一定期間の課税免除、投資税額控除、繰越損失の繰越控除などで有利になるような制度。

 

◇ 担当:井上順一( ISIDプリンシパル / 公認会計士 )

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中田雑感              公認会計士 中田清穂
〜 気になるIFRS任意適用の動き 〜

こんにちは、公認会計士の中田です。

このコーナーでは毎回、経理・財務にかかわる最近のニュースや記事などから特に気になる話題をピックアップしていきます。
よくある、無味乾燥なトピックの紹介ではなく、私見も交えて取り上げていきますので、どうぞご期待ください。

気になるIFRS任意適用の動き

今年はアメリカの大統領選を控えて、時期大統領が決まる来年の年明けまではアメリカもIFRSの適用について正式な結論は出さないというのが、大方の意見のようです。

そうなると、日本の金融庁も今年中にはIFRSの強制適用の適否やその範囲について、明確な結論は出さない可能性が相当程度高いと言われています。

しかし、年末までこのまま何の動きもないかというと、そうではないと思います。その根拠は、IFRS財団のモニタリング・ボードのメンバーの選出が、来年初めに予定されているからです。

IFRS財団のモニタリング・ボードは、IFRS財団の評議員の選任過程に参加し、評議員の選任を承認する組織です。
IFRS財団は、IASBやIFRS解釈指針委員会のメンバーを指名する組織ですので、このIFRS財団の評議員を選出する組織であるモニタリング・ボードは、今後のIFRSの方向性を決める上で大きな影響力を持つことになると言えるでしょう。

モニタリング・ボードの現在のメンバーは、以下です。
1.ECのメンバー
2.IOSCOの新興市場委員会議長
3.IOSCO専門委員会委員
4.日本の金融庁長官
5.SEC委員長

このほかに、バーゼル銀行監督委員会委員長がオブザーバーとして参加しそうです。
ここに金融庁の「席」があるのです。

日本がIFRSを適用しないと、IFRSに発言する「席」を失うと言われているその「席」とは、モニタリング・ボードの席です。

IFRS財団は、2012年2月9日、「IFRS財団のガバナンス見直しに関する最終報告書」を公表しました。
本報告書の中で特に注目すべき点は、モニタリング・ボードのメンバーを、その資本市場でIFRSを採用しており(採用を確約している場合も含む)、かつIFRS財団に資金を拠出している国・地域の代表者に限定することとしています。

来年初めのメンバー選定にあたって、韓国や中国が、この「席」をねらっていると言われています。
韓国はすでに上場企業に対して全面的にIFRSを強制的に適用させています。
中国は、IFRSをほとんど同一の「新会計準則」を上場企業とさらに大規模企業に、IFRSでの報告を義務付けています。

日本はまだ、任意適用の企業が10数社という状況です。

このような背景から、自見前金融担当相の「任意適用を拡大させる」(辞任時の記者会見)とか松下新金融担当相の「任意適用を積み上げる」(閣議後記者会見)といった発言に至ったのだと思います。
さらに、金融庁が調査を委託したオックス・フォードレポートでも任意適用を拡大させる必要性について、言及があります。

残された時間は数カ月しかありませんが、金融庁が年末までにどのようなパフォーマンスを見せるのか、目を離さないようにしたいところです。

 

公認会計士 中田清穂氏のホームページ
http://www.knowledge-nw.co.jp/

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