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株式会社 電通国際情報サービス

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ISIDでは、会計基準の国際化、決算早期化、内部統制など、さまざまな課題を抱える経理業務関係者の方々のために、その課題解決の一助となるように、本メールマガジンを発行しております。

すでに監査法人やコンサルティング会社からも色々なメールマガジンが発行されておりますが、弊社のメールマガジンは、抽象的教科書的なものではなく、実務目線での情報提供を基本にします。どうぞお役立てください。

目次

コンサルタントの眼
〜 連結会計システムにおける日本基準とIFRSのデータの持ち方 〜

個別会計システムにおいて、日本基準とIFRSのデータを別々に持ついわゆる二重帳簿方式が話題に上りますが、連結会計システムの場合、日本基準とIFRSのデータをどのように持つのが良いのか取り上げてみたいと思います。

連結会計システムにおいても、日本基準とIFRSのデータの持ち方として、まったく別々に持つ二重帳簿方式と、日本基準に対してIFRSのGAAP差異だけを加えてIFRS数値を作成する差分方式の2種類が大別して考えられます。
(差分方式の対応の仕方には、いくつか考えられますが、今回は触れません)

会社の範囲が異なる、期ズレがあるなど日本基準とIFRSで大きくデータに相違がある場合は、議論の余地なく二重帳簿方式になります。
逆にどの程度の差なら、差分方式が可能でしょうか。例として収益認識のみに差異があり、個社の数値上では、1仕訳のみでGAAP差異が済むケースで考えてみたいと思います。

差分方式なので、すでに日本基準での連結財務諸表等は作成されており、それにIFRS修正を施していくという手順になります。

まず、個社の数値をIFRSベースに修正する仕訳を対象会社分、起こします。
海外子会社がある場合、その収益認識修正の仕訳は為替レートを考慮した上で円貨仕訳を起こす必要があります。たとえば売上/売掛金という仕訳だとすると期中平均レートと期末日レート仕訳なので、円貨の仕訳には為替換算調整勘定が発生します。

少数株主持分がいる100%出資でない子会社の場合、収益認識差異により利益に差異が発生することから少数株主持分調整の仕訳が発生します。

これらの発生した仕訳については、セグメント報告を行っていれば、セグメントへ分ける作業が発生します。また、キャッシュフロー計算書においても、これら仕訳分の調整が必要になってきます。さらに、翌年度になれば、差異調整仕訳に対する開始仕訳を起こす必要が出てきます。

以上のGAAP差異が1つだけの例で考えても、連結会計上の手続きは思ったほど単純ではありません。国内子会社かつ100%子会社のみ存在する場合、差分方式が可能と言えそうですが、そうでない場合は、二重帳簿方式の方が連結会計システムのさまざまな機能が活用でき、作業手続上スムーズだと思われます。

連結会計システムは、個別会計システムのように日々の業務で使われるものではなく、あくまでも「決算」のために使われるシステムというところに、特徴があります。個別会計システムにおいて、二重帳簿方式は、その業務負荷の高さから、採用を見送るケースが見られますが、連結会計システムにおいては、むしろ、二重帳簿方式の方が、決算業務負荷が少ないと言えそうです。

むろん、最適な方式は、それぞれの会社ごとに異なるため、IFRSシステム環境構築前に十分に検討が必要であることは、言うまでもありません。

担当:本池浩( ISIDコンサルタント )

<関連情報>

中田雑感              公認会計士 中田清穂
〜 税率変更の落とし穴 〜

こんにちは、公認会計士の中田です。

昨年までの「実録!! IFRS Q&A」にかわり、本号から新コーナーの連載をスタートします。

このコーナーでは毎回、経理・財務にかかわる最近のニュースや記事などから特に気になる話題をピックアップしていきます。
よくある、無味乾燥なトピックの紹介ではなく、私見も交えて取り上げていきますので、どうぞご期待ください。

税率変更の落とし穴

平成23年12月2日に「改正法人税法」及び「復興財源確保法」が公布されたことにより、税効果会計の手続きが従来よりも複雑になります。
最も重要だと思われるのが、「繰延税金資産及び繰延税金負債を計算する際に使用する税率」に関するものでしょう。

みなさんよくご存知の通り、「税効果会計に係る会計基準」では、「繰延税金資産及び繰延税金負債を計算する際に使用する税率」は、「回収又は支払が行われると見込まれる期の税率」です。
この税率は、「当年度の課税所得に適用する法定実効税率」ではないことから「将来実効税率」といわれます。

今回の「改正法人税法」では、この「将来実効税率」が複数算出されるところが大きな特徴であり、決算実務を複雑にする大きな要因となります。
なぜなら、これまでの日本の決算実務においては、「将来実効税率」が複数になることがなかったので、繰延税金資産及び繰延税金負債を計算するためのエクセルシートやソフトウエアがそのままでは利用できなくなってしまうからです。

したがって、年次決算を迎えるまでに、繰延税金資産及び繰延税金負債を計算するしくみと対応方法(エクセルシートの改善や手作業での補正など)を整理しておくと良いでしょう。

また、四半期と違い、年次決算では、税効果会計に係る注記が必要となるのでこの注記への対応も整理しておくべきでしょう。

ここで間違えやすいと思われるのが、いわゆる「税率差異の注記」で開示する「法定実効税率」です。
この注記例が、個別財務諸表の場合は「個別財務諸表における税効果会計に関する実務指針」の説例7の2にあります。
連結財務諸表の場合は「連結財務諸表における税効果会計に関する実務指針」の説例6の2にあります。

上記二つの例を意識して読めばわかるのですが、この「税率差異の注記」で開示する「法定実効税率」は、「繰延税金資産及び繰延税金負債を計算する際に使用する税率」である「将来実効税率」ではありません。
正しくは、「当年度の課税所得に適用する法定実効税率」なのです。
このことは、上記二つの実務指針の説例の中に示されている注を読めば理解できるはずです。

この「税率差異の注記」が、「繰延税金資産及び繰延税金負債を計算する際に使用した税率」と「税効果会計適用後の法人税等の負担率(名目税率)」の差異の開示だという勘違いをしている人が多いので、ぜひ気をつけていただきたいと思います。

公認会計士 中田清穂氏のホームページ
http://www.knowledge-nw.co.jp/

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以下のメールアドレスまでお気軽にお寄せください。

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