IFRS対応、グループ経営管理の高度化を支える連結会計ソリューション
ISIDでは、会計基準の国際化、決算早期化、内部統制など、さまざまな課題を抱える経理業務関係者の方々のために、その課題解決の一助となるように、本メールマガジンを発行しております。
すでに監査法人やコンサルティング会社からも色々なメールマガジンが発行されておりますが、弊社のメールマガジンは、抽象的教科書的なものではなく、実務目線での情報提供を基本にします。どうぞお役立てください。
目次
IFRSプロジェクトの現場ではプロフォーマFSと呼ばれる試算ベースのIFRS財務諸表を作成することが当初の計画に織り込まれているケースが多いようです。
経営層としては分かりやすい金額的影響を知りたいでしょうし、何より会計に関するプロジェクトですので金額インパクトを知ることは当然のようにも思います。
しかし、いくら試算とは言え一通り財務諸表を作成するということですからそれなりの労力が必要となり、明確な目的意識を持たないと中途半端に終わったり、ほかのタスクを優先させて結局作らないということにもなりかねません。
そこでプロフォーマFSを作成する目的について改めて考えてみたいと思います。
1) 金額的影響を詳細に見る
自社で売上がXX億円減りそうだ、といった想定は差異分析が進めば大体は各自の頭の中にイメージできるのだと思いますが、財務諸表という形で示されると、それが仮の数字であってもなんとなくリアリティを帯びてきます。(そのため一人歩きの懸念もあるのですが)
また、金額的影響について勘定科目間の関連も明確することができます。
2) 会計方針の決定度合いを確かめる
IFRS調整の仕訳を切るには会計方針を決める必要があります。IFRS会計方針が明確でない場合は、とりあえず仮で方針を決めて調整仕訳を切る形になりますが、ここで仮決めとした方針が多い場合は将来的に決めなければならない会計方針がまだ多く残っているということになります。決めたつもりでも意外と決まっていない方針が多かったりすることもあります。
3) 業務への影響をはかる
IFRS調整の仕訳を切るには影響金額の試算が必要になり、決算関連資料をひっくり返したり、関連部門へデータ取得の依頼をかけることになりますが、単純に言うとその時に必要な作業はIFRS適用時においてもやらなければならない業務ということになります。データが取れなかったり、影響額の計算が複雑なものはIFRS適用に際して改善すべき課題ということになり、IFRS適用までの間にスケジュールを決めて取り組んでいくことになります。
このようにプロフォーマFSを作成することは様々なメリットがありますが、一度作って終わりということではなく、自社のIFRSプロジェクトの進み具合を図る一種のベンチマークとしてとらえ、何度か改良を重ねながら作っていくという進め方もあるのではないかと思います。
担当:桑原正博( ISIDコンサルタント )
こんにちは、公認会計士の中田です。
このコーナーでは、私の著書である『わかった気になるIFRS』の巻末に紹介している『IFRS質問箱』に実際に投稿された質問とその回答を中心に、このメルマガ読者の皆さんからいただいた疑問点や、ISIDのコンサルタントがお客様からいただいたご質問なども交えてご紹介しています。
学習レベルにはバラツキがあり、いろんな部署の方からのご質問があります。これまでみなさんが持たれた疑問と比べることも、意味があるはずです。
また、これまでどこにも公表されていない貴重なQ&Aですので、どうぞご期待ください。
今回は前回、前々回に引き続き、マネジメントアプローチによる開示の注意点について取り上げます。
企業のトップが経営判断をおこなう際、経営上の意図があって、経済合理性の面だけから見れば必ずしもベストとはいえない意思決定をする場合もあるかと思います。マネジメントアプローチでこのような意思決定が開示されるようになると、経営者が善管注意義務違反等に問われるリスクはこれまで以上に高まるのでしょうか。
従来の日本基準による開示制度では、経営者の判断やそのプロセスがわかりやすい制度ではありませんでした。しかし、IFRS適用後は、経営者の判断やそのプロセスを重要な会計方針の開示や注記の開示により、見えやすくなります。したがって、以前よりは、経営者の判断間違いは糾弾されやすくなるとは思います。
しかし、善管注意義務に問われるのは、相当程度企業経営にインパクトのあるケースになると思われますので、確率的な数値は高まるとは言えますが、実際に追及される対象となる可能性は低いと思われます。
ただ、経営上非常に重要なインパクトを与える経営判断を行う際には、リスクに関する情報を十分に収集して、その情報の範囲で適切な判断を緊張感を持って行うことは非常に重要になると思います。
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