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株式会社 電通国際情報サービス

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ISIDでは、会計基準の国際化、決算早期化、内部統制など、さまざまな課題を抱える経理業務関係者の方々のために、その課題解決の一助となるように、本メールマガジンを発行しております。

すでに監査法人やコンサルティング会社からも色々なメールマガジンが発行されておりますが、弊社のメールマガジンは、抽象的教科書的なものではなく、実務目線での情報提供を基本にします。どうぞお役立てください。

目次

コンサルタントの眼
〜2つのコメントレター〜

5月にIASBが公表した公開草案「その他の包括利益の項目の表示」に対し、企業会計基準委員会(ASBJ)と日本公認会計士協会(JICPA)がそれぞれ9月30日付でコメントレターを出しています。今回は両者のコメント比較をしてみました。(一部、元の文章を加工しています)

  • 公開草案の提案内容1

  現在の「包括利益計算書」という表題を「純損益及びその他の包括利益計算書」に変更する。

 
 <ASBJコメント>
  同意する。

 <JICPAコメント>
  同意する。

  • 公開草案の提案内容2

  同計算書は2つの部(純損益及びその他の包括利益の項目)で表示する。
  現在認められている「2計算書方式」の選択肢は廃止し「1計算書方式」に統一する。

 <ASBJコメント>
  表示の首尾一貫性や財務諸表の比較可能性の観点から、1計算書方式のみとすることを全面的に反対するわけではない。

 <JICPAコメント>
  計算書方式の選択肢を廃止することにより表示の首尾一貫性が高まり、比較可能性が改善されると考える。


  • 公開草案の提案内容3

  その他の包括利益(OCI)の項目のうち、その後の期間で認識の中止の際に純損益に振り替えられる(リサイクルされる)ものを、純損益 に振り替えられることのないOCI の項目と区別して表示する。

 <ASBJコメント>
  リサイクリングしないOCIの項目の存在を前提とした提案については回答しない。

 <JICPAコメント>
  提案については支持するが、将来において純損益に影響を与える可能性の   あるOCI項目の累積情報についても明確に表示できるよう、所有者持分変動計算書においても、リサイクルされるOCI 項目とリサイクルされないOCI項目とに分類して表示すべきと考える。


このように比べると、ASBJのコメントには一部、歯切れの悪さ(「全面的に反 対するわけではない」など)があるのに対し、JICPAのコメントからは原則を 徹底すべしという明瞭なメッセージを感じます。このあたり、ASBJは財務諸表 を作成、報告する企業側の意向に配慮する立場で、JICPAは企業が作成した財 務諸表を監査する立場でコメントしているという立ち位置の違いがあらわれて いるように思います。財務諸表の利用者に有用な情報を提供するというIFRSの 目的からしても、IASBの指向性とJICPAの指向性には近いものがあるように感 じました。

  • 包括利益の概念について

  <ASBJコメント>
  何がその他の包括利益に表示されるべきか、また、その他の包括利益に表示された項目をどの時点で純損益に振り替えるべきかを決定
    するための徹底的な概念的議論を行うべきであると考える。

 <JICPAコメント>
  リサイクルされるOCI 項目とリサイクルされないOCI項目の区分について、会計基準設定上の概念上の根拠が必ずしも明確ではなく、財務諸表利用者に有用な情報を提供しているとはいえないと考えている。この区分については、概念フレームワークのプロジェクトで検討の上、適切な規定がなされ、それをベースに個別の会計基準で取扱いが定められるべきであると考えている。

立ち位置の違いはあるものの、この部分については両者の問題意識が共通しているようです。

担当:藤原啓之(ISIDコンサルタント/IFRS Certificate)

<関連情報>

実録!!IFRS Q&A 公認会計士 中田清穂
〜IFRSプロジェクトの進めかた〜 

こんにちは、公認会計士の中田です。

このコーナーでは、私の著書である『わかった気になるIFRS』の巻末に紹介している『IFRS質問箱』に実際に投稿された質問とその回答を中心に、このメルマガ読者の皆さんからいただいた疑問点や、ISIDのコンサルタントがお客様からいただいたご質問なども交えてご紹介しています。

学習レベルにはバラツキがあり、いろんな部署の方からのご質問があります。これまでみなさんが持たれた疑問と比べることも、意味があるはずです。また、これまでどこにも公表されていない貴重なQ&Aですので、どうぞご期待ください。

今回は、IFRSプロジェクトの進めかたについてのご質問を取り上げます。

ご質問

IFRSプロジェクトの進めかた

そろそろ本格的にIFRS対応を始めなければいけないと思っていますが、基準の動向を追いかけながらなので、いつまでにどの程度のことをしておかなければならないか、具体的な目標が決めづらい状況です。どのように進めていったらよいでしょうか。

 

回答

6月にIASBのプロジェクト計画表が見直され、一部の基準の完成スケジュールが延期になりましたが、収益、リース、負債など、一般事業会社に影響の大きい項目は2011年6月までに最終基準化される予定です。これらについては既に公開草案が出されており、現時点で大枠の方向性は見えています。

基準が完全に固まってからのスタートでは強制適用までに対応が間に合わない可能性がありますので、可能であれば公開草案ベースでのインパクト調査を進めておき、基準が最終的にFIXした時点で速やかに導入方針の決定と、実際の導入作業に入れるようにしておくことが良いと思います。

なお、IFRSへの対応は企業グループ全体を巻き込んだ中長期のプロジェクトになるため、その間にどのような遅延要因が発生するか予想しきれません。そのため、ターゲットデートは最短の可能性として、3月決算の会社であれば2015年3月期に仮置きしてスタートするのが安全です。

メルマガ事務局より

このコーナーでは読者のみなさまからのご質問を受け付けています。
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いただいたご質問にはすべてお答えする予定ですが、お答えするのにお時間がかかる場合がありますので、予めご了解ください。
g-ifrs@group.isid.co.jp 『ISID 経理財務メールマガジン』事務局

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