三菱商事株式会社様

三菱商事株式会社様 インタビュー 〜POSITIVEで戦略的人材活用を目指す〜
「多様性を束ね、活かす」経営の実現には
連結の視点で可視化できる
人材情報プラットフォームが不可欠だった。

約80カ国に200を超える拠点を持つ日本最大の商社である三菱商事株式会社(以下三菱商事)は、2011年1月に子会社1社を含む約7千人を対象として、新人事システムを稼働させました。多様性を束ね、多様性を活かすという経営戦略を支える人材活用の基盤として採用されたのが、株式会社電通国際情報サービス(以下ISID)の統合人事ソリューション“POSITIVE”です。その詳細を、同社人事部長の藤田潔氏に伺いました。

三菱商事株式会社 人事部長
藤田 潔 氏
業種 総合商社
導入パッケージ POSITIVE (統合HCMソリューション)

「束ねる人材」と「活かす人材」の2軸で育成・強化を図る

三菱商事株式会社は、エネルギー事業や金属など6つの事業グループに、ビジネスサービスと地球環境事業開発の2部門を加えた体制の下、500社を超える連結対象会社を持つ企業グループです。単体で約6千人、連結ベースでは約6万人もの多国籍人材が働いています。2010年度に開始した3カ年の中期経営計画では、「多様性を束ねる経営」と「多様性を活かす経営」を基本方針に掲げ、多様な事業を束ねるリーダー人材や多様な事業推進に必要な人材を、将来を見据えて質・量ともに確保していくことが、人材面での大きなテーマとなっています。

同社の人材戦略について、人事部長の藤田潔氏は次のように語っています。
総合商社である当社は、実に様々な事業を展開しています。商材やビジネス形態が全く異なるので、事業特性やそれぞれの業務に求められるスキルも自ずと違ってくる。事業毎に必要とされるスキルを持った人材をしっかり育てていく、これが『多様性を活かす』ということです。さらに、それぞれの事業を前線で引っ張る幹部候補を計画的に育成し登用する、これを『多様性を束ねる』人事と位置付けています。この二つの軸で人材の育成・強化を図っています。(藤田氏、以下同じ)

事業毎の人材登用にも連結の視点が求められる

総合商社ならではの多角的な事業展開を支える人材を、この二つの軸で育成・強化していこうとする同社にとって、人事システムは重要な情報基盤となります。しかし藤田氏は、「従来のシステムでは、思い描いている人材情報の活用は困難だった。」と言います。

三菱商事では、本社の人事部のほかに各事業グループに人事担当部門を置いています。本社の人事部が提供する人事評価の枠組みに従って、各事業グループが各々の基準で評価を行う仕組みとなっており、個々の社員の評定や処遇も各事業グループで行われます。前述の二つの軸による人材強化を推し進めるには、各事業グループの幹部が配下の人材情報を把握し、柔軟に活用できることが人事システムに求められる大きな役割となります。しかし従来の人事システムは人事管理の実務効率化を主眼に構築されており、情報の照会や検索といった観点では課題がありました。
当社は歴史のある会社だけに、人事管理に求める要件も複雑です。追加開発を繰り返した従来のシステムは、いわゆるスパゲッティ状態で、ニーズに合わせた修正を行おうとしても、複雑すぎて手に負えない状況でした。そこで、システムの保守期限切れを機に、これまで統一したパッケージで構築していた給与系のシステムとは切り離し、三菱商事の人材情報プラットフォームとして、新たな人事システムを導入することを決めたのです。

三菱商事が人事システムの刷新を決定した背景には、同社を取り巻く経営環境の変化もありました。
まず第一に、事業の多様化が進み、各事業グループがより事業の実態に合わせた人事管理を行う必要が出てきたこと。第二に、事業グループによっては実際のビジネスが事業子会社にシフトしており、連結ベースでコア人材を把握・管理する基盤が必要となったこと。第三に、特に国内の連結子会社の場合、規模が小さいため独自の人事管理システムをもっていないケースもあり、人事部門として子会社向けのパッケージを提供する必要が出てきたことです。

連結ベースの人材マネジメントを実現する“POSITIVE”を採用

三菱商事が新たな人事システムとして採用したのが、ISIDの統合人事ソリューション“POSITIVE”でした。“POSITIVE”が評価されたポイントは大きく三つあります。

1.人事情報の照会・検索が容易で、戦略的活用が可能

“POSITIVE”は人事情報の照会・検索が容易にできる機能を備えています。各事業グループの幹部や人事担当部門が、必要な情報にいつでも直接アクセスできる操作性と利便性が評価されました。

2.高い業務適合率により導入・運用負荷とコストを軽減

“POSITIVE”は大手企業の人事部門で必要とされる業務機能を網羅し、きめ細かい設定が可能なため、業務適合率が高く、導入時の個別開発を最小限に抑えることができます。導入後も新規項目の追加や、簡易な帳票の作成はユーザー側で対応できるため、システム維持にかかる運用コストの低減も可能です。

3.連結ベースの人材管理を実現する拡張性と信頼性

“POSITIVE”は、制度や運用が異なる複数企業を一つのシステムで管理できるマルチカンパニー機能を有しており、大規模な企業グループで多数の導入・運用実績があります。連結ベースの人材マネジメントを実現する拡張性と信頼性が、高く評価されました。

POSITIVEの画面イメージ
「評価履歴」「研修受講履歴」などの条件を指定して検索することで、ユーザーが必要な情報に即座にアクセスできる

導入は順調に進み、新人事システムは当初計画どおり2011年1月に稼働を開始しました。
複雑な人事管理の要件に加えて、給与系業務を関連会社にアウトソースしているなど、業務運用にも独特な面がありましたが、ISIDのメンバーは業務を良く理解し、要求どおりのシステムを期日までに立ち上げてくれた。これはプロジェクト責任者としては非常に重要なポイントです。“POSITIVE”は全機能をWebシステムで提供している点も、導入のしやすさと使い勝手の観点から評価しています。

グローバル人事の在り方をどう定義するかが今後の課題

新人事システムの稼働開始から半年以上が経過し、三菱商事の新たな人事情報基盤は整いました。しかし、連結という観点での人材情報の投入と活用はこれからの段階です。
単体ではユーザー教育も終え、順調に運用され始めています。子会社にも順次展開していく予定ですが、社数が多く本社のフォローも必要なので、ある程度時間はかかるでしょう。

またその先には、三菱商事グループとして、グローバル人事の在り方をどう定義していくか、という大きな課題があると藤田氏は語ります。
海外の事業投資先までも含めた当社グループのコア人材情報を、各事業を率いる本部長クラスがいつでもアクセスできるプラットフォームとして一元管理していきたい。ただ、海外の事業投資先がどこまで情報を入れるのか、情報の更新管理をどう行うのか、という運用面を整備し、納得して使ってもらう工夫が必要です。そのためには、三菱商事のグローバルでの人材管理をどう定義するか、ITガバナンスをどこまで効かせるのかを明確にしていかなければなりません。

あらゆる業種でビジネスのグローバル化が加速し、グローバルベースでの戦略的人材活用が企業の成長を大きく左右する状況下で、人事管理システムにもグローバルの視点が求められています。
ISIDでは、ユーザー企業を取り巻くこうした経営環境の変化に対応し、多くのお客様のニーズにお応えするため、連結ベースでの人材管理機能の強化をはじめ、今後も企業の戦略的人材活用を支える“POSITIVE”のさらなる機能向上に取り組んでまいります。

藤田 潔 氏 プロフィール

1983年三菱商事入社、人事第一部所属。1996年新設のヒューマンリンク株式会社に出向。研修所の立ち上げ、採用責任者、厚生施設リストラを担当。1998年欧阿中東三菱(ロンドン)に赴任。欧州、中東の支店、現地法人関連の総務人事を担当。2002年ヒューマンリンク株式会社に出向、同年10月に同社代表取締役に就任。2009年4月三菱商事人事部長に就任。

三菱商事株式会社様

  • 商号
    三菱商事株式会社
  • 本社所在地
    東京都千代田区丸の内二丁目3番1号
  • 創立
    1954年7月1日(設立:1950年4月1日)
  • 代表者
    代表取締役社長 小林 健
  • URL
  • 資本金
    2,035億9,807万6,906円(2011年3月31日現在)
  • このサイトに記載されている社名・商品名・サービス名等は、それぞれの各社の商標または登録商標です。
  • 記載情報は取材時(2011年8月)におけるものであり、閲覧される時点で変更されている可能性があります。予めご了承ください。