NECキャピタルソリューション株式会社 “現場”の視点に寄り添った「Lamp」更改が、海外業務の更なる標準化と効率化に貢献

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写真左より NECキャピタルソリューション株式会社 土師範俊氏、見山晴美氏、覚知正敏氏

NECグループの金融サービス会社として1978年に創立された、NECキャピタルソリューション株式会社(以下NECキャピタル)。ICT機器や設備のリースを主軸に事業を拡大し、2012年12月にはシンガポール、2013年12月にはマレーシアへと進出、“お客様と共に、社会価値向上を目指して、グローバルに挑戦するサービス・カンパニー”をグループビジョンに掲げ、海外への事業展開を進めています。

シンガポール法人の設立当初から、海外拠点で案件管理のために導入されていたのが、ISID上海が提供するリース・ファイナンス領域向けの業務管理システム「Lamp」でした。導入から約6年後の2019年4月、海外事業の拡大と環境の変化に伴ったLampの更改プロジェクトが発足します。システムのアップデートのみならず、ユーザーとなる海外拠点や本社営業担当者、経理担当者の業務フローまでを見つめ直し、“標準化”することを目的としたNECキャピタルの業務改善プロジェクト。新型コロナウイルスの世界的な拡大という未曽有の事態によりプロジェクトが一時的に停止するという困難に直面したものの、ISID上海との二人三脚で進めた結果、2021年11月にマレーシア法人、2022年5月にシンガポール法人への導入が完了。海外業務の大幅な改善を実現できました。

グローバル・フィナンシャル・サービス本部で営業統制部長を務める覚知正敏氏は、「今回の業務改善とシステム更改によって海外拠点の営業管理業務・経理関係業務の効率化を実現しました。ISIDは東南アジア各国の商慣習にも精通し、 現場感覚をもってスピーディーな対応をしてくれました」と、成果につながった喜びを語りました。

法令や文化が異なる国で活用されるシステム

日本と海外では、案件組成のプロセスや契約条項一つとっても商慣習の違いから誤解が生まれることがあります。私たちは両国の橋渡しをする立場ですが、そうした常識の違いに難しさを感じていました。Lampは拠点ごとの対応など、フレキシブルにカスタマイズできるのが魅力です。

グローバル・フィナンシャル・サービス本部 海外事業推進部
アシスタントマネージャー 見山晴美氏

「当社には3つの強みがあります。NECグループの一員として各社と戦略的な連携が取れること、ICT機器の知見が豊富であること、幅広い金融ソリューションを提供できることです。これらの強みをもとに、当社は事業を通して社会課題を解決する、CSV(Creating Shared Value:共通価値創造)経営の実現に取り組んでいます。2012年に開始したグローバル事業は、現在4か国で事業を展開するに至っています」と覚知氏。

国内のリースや金融のマーケットが飽和状態にある現在、NECキャピタルにおいても海外事業は成長の柱の一つだといいます。一方で、他国で金融事業を展開するにあたっては、日本とは異なる規制や法令を正しく理解し、遵守しなくてはいけなかったり、現地従業員との接し方や文化の違いに慣れる必要があったりと、独自の難しさがあるそうです。そうした複雑な環境下で利用されてきたLampも、事業の拡大に 伴い使い方や機能を見直す必要が出ていました。

グローバル・フィナンシャル・サービス本部で、東京在住スタッフとしてシンガポール営業を担当する見山晴美氏は「一番大きかったのは会計業務への連携にまつわる点」だと言及します。「もともと、リース案件別の期日管理に力点を置いて導入したシステムだったため、海外拠点の業容拡大に際し、提供するリース・金融商品が多様化するにつれて、システム内ですべて対応しきれないものがでてきていました。これらに対してシステム外での対応やパッチワーク的なシステム改修により対処してきたのですが、限界を迎えてしまい業務改善の必要性が差し迫っていたのです」

複数観点による精査の上で「Lamp更改」の道を選んだ

シンガポールやマレーシアで利用するために必要な要素を、いくつもISID上海から提案いただけました。海外で使うシステムの選定において、担当者が“現場”の知見を 有する点は非常に魅力でした。

グローバル・フィナンシャル・サービス本部
営業統制部長 覚知正敏氏

「“これまでずっと使ってきたから”という単純な理由ではありません」。覚知氏は、同プロジェクトで他システムへの乗り換えではなく、Lampの更改を選んだ理由について、そう言い切ります。プロジェクトの発足当初シンガポールに駐在していた同氏は、「全社プロジェクト」の責任のもとに導入システムを検討するため、アジア各拠点にある金融他社に導入されているシステムについてもリサーチしたといいます。

「一番多かったのは、小さなベンダーに依頼して独自のシステムを開発してもらったケースです。ただ、そうした独自システムは、拡張性がなくシステム更改が難しい、ベンダー側の都合でシステムの開発者や詳しい人物がいなくなる、といった課題も出ていたようです。そこでパッケージ化されたソフトを調べたところ、例えば車のリースのように大量の案件を回していくことが目的のものが多く、当社海外拠点が主力とするリース・金融商品を個別に対応できる我々のニーズに合うものはあまりありませんでした。これまでLampを利用し我々のニーズに合わせたカスタマイズを繰り返し行う中で、ISID上海の柔軟なサポート体制は実感していました。さらにシンガポール、マレーシア、東京と国をまたいだ複数拠点で使えるシステムという観点も含めて検討した結果、新たなシステムの導入ではなく、業務の標準化に合わせてLampを更改するのがベストだという結論に達しました」。

Lampは当初、東京の支援スタッフが主体となって「契約・請求管理」等、主に営業管理業務で活用してきました。一方、会計用データの作成や承認フロー、および会計処理については、システム外での対応もしくは外部業務委託により行われてきました。そこでLampの更改と同時に、海外拠点へ新たに会計システムを導入し、Lampから出力されたデータを読み込むことで会計処理までを連携させる、包括的なプロジェクトが動くことになりました。

目指したのは業務プロセスの更なる標準化

ISID上海からは、システム的な更改作業に留まらず、「Lampをいかに活用できるか」の観点でもご提案をいただけたところが大変ありがたかったです。

業務本部
業務企画部長 土師範俊氏

業務本部で業務企画部長を担当、同プロジェクトではPMOメンバーとして中心になり、全体の推進に尽力した土師範俊氏は、また違った観点からLampを捉えていたと話します。
「当部署では標準化という視点で業務の改善を考えています。そこで、Lampというシステムの機能が当社の標準的な業務にマッチするのかについて詳しく精査しました。プロジェクトの前段として、現地法人が行っている業務プロセスの洗い出しを実施し、国内の標準的な業務との比較を通して、改善に繋がる海外業務の標準的な業務プロセスを整理しました。その上で、整理した標準的な業務プロセスに対してLampが対応できない箇所を把握しました。そうした点をISID上海に相談したところ、最新型のLampであれば当社の課題となっている箇所を解消できると回答がありました」。

フロントサイドの実務を担当した見山氏は、システムの改修中100件以上のQ&AをISID上海とオンラインで行い、「当時は社内の人間よりも頻繁に連絡を取っていた」と話します。濃密なやり取りを振り返り、同氏は「テストを繰り返す中で発覚した要件定義との齟齬や不整合への対応が、とても迅速だったことが印象的でした。小さな不具合とはいえ非常に量が多く、丁寧につぶしていかなくてはいけません。その一つ 一つにスピーディーかつフレキシブルに対応いただけ、大変助かりました」とISID上海のレスポンスを評価しました。

また、同プロジェクトの一つのポイントであった、新規導入される会計システムとの連携方法に関しては、「両システムをどのような形で連携するのが最適か、私たちでは判断に迷うところがありました。そこに対してISID上海からは、他社の事例や考え方などに基づいた提案を数パターンもらい、比較しながら協議ができました」と土師氏。さらに土師氏は、ミッションとなっていた業務標準化について「われわれが考えた標準化のプロセスをシステムに反映させる際、細かな検討や洗い出しをしきれていない部分が見つかるケースもありました。システム更改のための要検討事項として投げかけてもらえたことで、当社にとっての標準的な業務がどういうものか、より深く協議することができたと考えています」と明かしました。

一人当たり月約80時間分の業務削減へ

プロジェクトに関わるNECキャピタルの各部署、そしてISID上海が一丸となって取り組んだ結果、大きな目的とされていた業務標準化が実現し、実務のしやすさと効率化が進みました。

「定量面での効果が大きく出たのは主に会計側の業務です。Lampから会計システムにそのまま取り込めるしっかりしたデータを作成できるようになったことで、チェック体制の適正化、業務フローの効率化をはかることができました。結果として、シンガポール・マレーシア法人の経理関係の業務時間は、一人当たり約80時間/月削減されました。正直なところ当初想定していたよりも圧倒的な効果です」と覚知氏。

これまで本社と現地で一部重複していた業務フロー、承認フローの手順も適正化することができ、現地からは「申請から承認、支払いに至るまでの業務をすべてLampで完結でき、作業に慣れてからは業務効率が上がった」「それぞれが持っていた必要書類のデータをLampに一元化でき、管理がしやすくなった」との声が届いているといいます。定量・定性の両面で効果を上げた同プロジェクトは、関わったメンバーのみならず、NECキャピタル社内でも大きな評価を得て、グループビジョンの実現に貢献する全社横断プロジェクトとして社長賞の受賞に至りました。

今後のシステム活用に向けて、覚知氏は次のように展望を見据えています。「今後は、各案件のしっかりとしたデータがLampに蓄積されていくため、それらをもっと有効活用していく手立てを検討していきたい。システムとしては、使いやすく必要性の高い情報を自在に取り出し、加工できるようになるとより活用の幅が広がるため、ISID上海と相談を進めています。Lampを業務標準化の『土台』として、さらなる業務プロセスの効率化に取り組んでいきたいですね」。

2022年11月更新

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社名
         NECキャピタルソリューション株式会社
本社所在        〒108-6219 東京都港区港南二丁目15番3号 品川インターシティC棟
設立
        1978年11月30日
資本金
    払込資本金 37億7,688万円
従業員数
単独:641名/連結:812名(2022年3月末現在)
事業内容
情報通信機器、事務用機器、産業用機械設備、その他各種機器設備等のリース・割賦及びファクタリング、融資、集金代行業務 等
  • 記載情報は取材時(2022年9月)におけるものであり、閲覧される時点で変更されている可能性があります。予めご了承ください。

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