シチズン時計株式会社 公式会員サイトの機能拡張でD2Cマーケティングの実現へ

  • 顧客接点改革
  • クラウド
写真左より 伊藤駿史氏(シチズン時計株式会社 情報システム部 デジタル推進課) 滝沢淳一氏(同 情報システム部 IT環境課 課長) 朝野貞恵氏(同 営業統括本部 事業企画部)

1918年の創業以来、1世紀以上の歴史を積み上げ、今日も国内3大時計メーカーの一角を占めるシチズン時計(以下、シチズン)。求める部品を作るため加工機まで内製する徹底したものづくりと磨き上げられた職人技でブランドを築き、高級腕時計からスマートウォッチまで多彩な商品を世界約140の国と地域で販売展開しています。 2019年、シチズンは自社商品のユーザーとのつながりを強め、そこから得た情報をマーケティングや製品開発に生かすためSalesforce Experience Cloudをベースにした公式会員サイト“MY CITIZEN”を立ち上げました。
しかし、立上げ後の機能拡張フェーズでは、当初思い描いていたマーケティング施策が思うように実現できず進行に暗雲が漂いはじめます。そこで新たなパートナーとして選定されたのがISIDでした。 2020年、シチズンは複数あった会員サイトを“MY CITIZEN”に統合。2021年にはSalesforceを認証基盤としてECサイトとのシングルサインオン(SSO)を実現するとともに、従来あった修理受付機能の拡張も行いました。
D2C(Direct to Consumer)マーケティングへの道を拓く機能拡張を実現したISIDについて、シチズン情報システム部課長の滝沢淳一氏は「ISIDはわたしたちにとって何が最善かを常に考えながらプロジェクトをドライブしてくれる存在。これからもマーケティング施策の推進に力を借りたいです」と話します。

喫緊の課題、顧客データを社内に

営業統括本部で事業企画を担当する朝野貞恵氏は、公式会員サイト“MY CITIZEN”立上げ以前の状況を思い返し次のように語ります。「2018年、創業100周年記念のキャンペーンが終わって次の施策を考えていたのですが、そのために使えそうなユーザー情報やマーケティングの仕組みが整っていませんでした」

当時から同社にはブランドに応じて設定された会員制サイトがあり、修理の相談窓口といったタッチポイントもありました。しかし、これらの情報は一元的に統合されておらず、イベント実施時の販促対象ユーザーの洗い出しやデータの加工など作業負荷が高かったと朝野氏は話します。

ISIDはユーザー目線のサポートをしてくれるので、技術系ではないわたしたちにはありがたい存在です

営業統括本部 事業企画部 朝野貞恵氏

情報システム部でデジタルトランスフォーメーション(DX)を推進する伊藤駿史氏も当時を振り返りながら、「社内にシステムが乱立している状態で、なかにはかなり古いシステムもありました。マーケティングの観点に加え、システム運用を効率化するためにもなんとかしなければと感じていました」と打ち明けます。

同じく情報システム部でIT環境課を率いる滝沢淳一氏は、これに加えて製造業特有の事情を指摘します。「メーカーはどちらかというと商品購入者ではなく自分たちが作ったモノを売ってくれる販売代理店を“お客様”と考えがちです。その結果、ユーザーの情報や購買記録は社外に集まり、メーカーには残らないことになってしまいます」

こうした悩みを抱えるなか経営サイドからユーザーに新たな価値と体験を提供するデジタルマーケティング推進の号令がかかり、顧客情報管理プラットフォームの立上げは喫緊の課題となりました。

クラウドに仕組みを構築

この課題をクリアするため滝沢氏らが目をつけたのがSalesforceの提供するコラボレーションプラットフォーム「Salesforce Experience Cloud」でした。

「いろいろなベンダーから話を聞いて検討するなかでSalesforce Experience Cloud がわれわれのニーズに最も合っているとわかり、これをベースに顧客情報管理プラットフォームを構築することにしたのです」(滝沢氏)
Salesforce Experience Cloudは、顧客情報の管理機能が標準で備わっていることに加え、Webサイトやアプリケーションの構築機能、さらにはその情報を活用し顧客毎にパーソナライズされた情報を発信することができるCRM機能を備え、顧客やパートナー、社員とのコミュニケーションの活性化を実現します。

こうして、朝野氏らはSalesforce Experience Cloudを活用し、2019年10月に公式会員サイト“MY CITIZEN”を立上げました。

Salesforce活用に実績があり、マーケティング施策の支援もできる力強いパートナー

無事立ち上がった“MY CITIZEN”ですが、マーケティング活動や商品ユーザーとのタッチポイントをさらに強化するための機能拡張に向け、新たな開発パートナーとして選ばれたのがISIDでした。

「Salesforceの導入実績はもとより、認証基盤や顧客プラットフォームの構築実績があり、さらにはマーケティング施策の支援まで担える。ISIDは力強いパートナーになってくれると思いました」と滝沢氏は話します。「じつは以前、連結会計システム構築でISIDには一度お世話になったことがあるのですが、仕事が手堅く、信頼できるという印象がありました」

通常は技術の仕様を満たすだけで終わってしまうベンダーが多いなか、ISIDの提案は運用の細部まで考えられているので実践的です

情報システム部 デジタル推進課 伊藤駿史氏

新たにパートナーとして選定されたISIDはすぐさま事業企画部の朝野氏らと連携し、“MY CITIZEN”の機能拡張開発に取り掛かります。まず取り組んだのが、複数あった会員サイトの“MY CITIZEN”への統合と、イベント企画やメルマガ配信をマーケティング部門が行えるような機能拡張でした。これらは拡張開発の第一フェーズと位置付けられ、2020年12月に無事完了。朝野氏はその支援について「プロダクト知識がとにかく豊富。Salesforceの標準機能を生かした提案をメリットデメリットと合わせて複数提示し、丁寧に説明してくれるので安心感があります。ユーザー目線のサポートをしてくれるので、技術系ではないわたしたちにはありがたい存在でした」と話しています。また、情報システム部の伊藤氏も「通常は技術の仕様を満たすだけで終わってしまうベンダーが多いなか、ISIDの提案は運用の細部まで考えられているので実践的でした」と評価します。

次世代のUI開発フレームワークをいち早く採用

ISIDは今回の機能拡張にあたり、Salesforceの次世代UI開発フレームワークであるSalesforce Lightening Web Components(LWC)をいち早く“MY CITIZEN”に採用しました。LWCはWebサイトで使用するデータベースや機能、画面をフレキシブルに開発できる仕組みです。開発したパーツをドラッグ&ドロップで標準機能として提供されているレイアウト上に配置することで、簡単にWebサイトの構築を実現します。LWCを採用することで、システム部門や外部ベンダーに頼ることなく、マーケティング部門でイベント企画やメルマガ配信を行うことができるようになり、企画の検討から実施までスピード感を持って対応できるようになりました。

技術面で今回のプロジェクトを統括していた滝沢氏も“MY CITIZEN”の機能拡張の仕上がりに満足しています。「ISIDはわたしたちにとって何が最善かを常に考えながらプロジェクトをドライブしてくれました」

事業成長を後押しするプラットフォームへ

ISIDは仕事が手堅く、信頼できるベンダー。今後のプロジェクトでもまたサポートをお願いしたい

情報システム部 IT環境課 課長 滝沢淳一氏

その後も“MY CITIZEN”の拡張開発は続き、2021年3月にはSalesforceを認証基盤としてECサイトとのシングルサインオン(SSO)が実現。店舗とEC直販をつないだシームレスな購買体験を提供できるようになりました。また、9月には修理受付機能も拡張。商品ユーザーはオンラインで修理を申し込み、クレジットカード払いをはじめとする豊富な選択肢から決済方法を選び、その見積もりや修理作業の進捗をWeb上で確認しながら、修理品の受け取り場所も希望に沿って指定できるようになりました。これら機能拡張によりカスタマーエクスペリエンス(CX)が向上した “MY CITIZEN”は着実にユーザーアカウント数を伸ばします。「シチズンが目指すD2C(Direct to Consumer)マーケティングへの道を拓いたと実感しています。社内からさまざまな切り口での顧客データを求められるようになりました」と朝野氏は語ります。

こうした成果を見て伊藤氏は「“MY CITIZEN”は今後ますます重要なものになっていく」と話します。「世の中がかつてない速さで変化する時代だからこそ、欲しい情報をすぐに手にすることが必須となっていきます」

滝沢氏は将来的な構想として、基幹系システムとの統合やBIツール導入によるダッシュボードを考えているといいます。「クラウド上に統合した情報プラットフォームから経営判断に役立つ情報をタイムリーに提供できるようになれば、事業成長を後押しすることができます。そのときにはまたISIDにサポートをお願いしたいですね」

  • LWC(Salesforce Lightening Web Components):Web標準を採用したSalesforceのフレームワーク。ブラウザネイティブに実行されるコード上で構築されるため、高いパフォーマンスと汎用性を備えています。

2021年11月更新

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本社所在地
〒188-8511 東京都西東京市田無町6-1-12
創立
1930年5月28日
売上
206,641百万円(2021年3月期/連結)
資本金
32,648百万円
従業員
連結17,044名(2021年3月31日現在)
事業内容
各種時計類及びその部分品の製造及び販売並びに持株会社としての、グループ経営戦略の策定・推進、グループ経営の監査、グループ技術開発及び知的財産の管理その他経営管理等
  • 記載情報は取材時(2021年10月)におけるものであり、閲覧される時点で変更されている可能性があります。予めご了承ください。

お問い合わせ

株式会社電通総研 コミュニケーションIT事業部
E-mail:g-marketing-seminar@group.dentsusoken.com

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