株式会社ジンズ 世界初、自分をみるセンシング・アイウエア「JINS MEME」
その挑戦を支えるIoT基盤をサーバーレスで構築

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澤田和寿氏(株式会社ジンズ システム企画室 マネジャー 経営企画室 事業開発グループ)

独自ブランドをベースに企画から生産、販売までを一貫して行う製造小売モデル(SPA)で、国内アイウエア業界に革命をもたらしたアイウエアメーカー、株式会社ジンズ(以下JINS)。品質、価格、店舗サービスの魅力に加え、斬新なデジタルサービス展開でも知られる同社は、2015年11月、センシング・アイウエアJINS MEME(ジンズ・ミーム)を発売しました。専用アプリと連携してユーザーの集中度や運転中の眠気を判定するこのデバイスには高度なセンサー技術が用いられ、眼や頭部の動きなどの生体データをリアルタイムで処理するためのバックエンドシステムがクラウド上に構築されています。機動的で柔軟性の高いこの仕組みを作り上げたのは、ISIDでした。

新領域への挑戦、バックエンドシステムの課題

一見、それはごく普通のメガネ。フレームにモダンなテイストが感じられるものの、説明を受けなければ、これが最新技術を集めて開発されたデジタルデバイスだと気づく人はほとんどいないかもしれません。 これはJINSが作り上げた、世界初の「内なる自分を知ることができるセンシング・アイウエア」。ノーズパッドに組み込まれた3点式眼電位センサー(特許取得済)とテンプルエンドに搭載された加速度・ジャイロセンサーが、瞬きや視線移動、頭部の動きを推定してスマートフォンの専用アプリに連携し、集中度や運転中の眠気などを瞬時に可視化します。生体データはクラウド上のバックエンドシステムに送信され、様々なアプリケーションと連携してワークスタイルやライフスタイルの改革に役立つ新たなサービスを生み出しています。

JINS MEMEのプラットフォーム開発がスタートしたのは、2014年5月頃。システム企画室 マネジャーを務める澤田和寿氏は、この未知なる領域への挑戦に向け、バックエンドシステム構築のためプロジェクトに召集されました。しかし着任してすぐ、そこに待っていた課題の難しさに気づきます。 JINS MEMEは、JINSが構想から約5年半をかけ、大学の研究室やパートナー企業と試行錯誤を重ねて作り上げた新領域のセンシング・アイウエアです。開発範囲は、機構やセンサー回路などのハードウエアにとどまらず、ファームウエアやアプリケーションなどにおよび、それらをつなぐデータ処理基盤の改良作業は日常茶飯事。取得したデータからどのような付加価値を生み出せるのか、良いアイデアがあればその実現に向けてプロジェクトが動きだすため、サービスを支える裏側の仕組みには、どんな要件にも対応できる柔軟性と機動性が求められました。また、常時計測される生体データが膨大な量に上る一方で、新事業であるため、運用コストはできるだけ低く抑える必要がありました。

ブランドビジョンに沿ってテクノロジーを展開していくという意味で、ISIDは最良のパートナーです。

澤田和寿氏

サーバーレスな仕組みで運用コストを削減

「立ち上げの工数や運用コストを考えれば、クラウドネイティブな仕組みが最も適していると考えていました」と澤田氏は話します。「高機能なサービスを安く利用できるうえ、ニーズに応じてサーバーのリソースを柔軟に変えられるスケーラビリティが私たちのビジネスに合っていると感じました」 そこで選ばれたのは、AWS(アマゾン・ウェブ・サービス)でした。「グローバルなプラットフォームでありながら国内にデータセンターがあり、クラウドネイティブなサービスの提供でも他社に一歩先んじていました」と澤田氏はその理由を説明します。

2014年、JINS MEMEのほかにもユーザー向けデジタルサービスの案件が複数立ち上がり、澤田氏はAWSを活用したシステムインテグレーションで豊富な実績をもつISIDに声を掛けました。
プロジェクト発足当初は、多くの企業で採用されていた仮想サーバーサービス「Amazon EC2」上にミドルウエアを導入し、ウエアラブルデバイスから収集した生体データをストレージサービス「Amazon S3」に蓄積する仕組みを構築。構築にあたり、ISIDは「マイクロサービス」の概念を取り入れたシステム構成を提案しました。「マイクロサービス」とは、個別に作られた小さなサービスを組み合わせてひとつのシステムを構築する開発手法で、従来型のモノリシック(一枚板)なアーキテクチャと違い、変更への柔軟性を生み出します。
その後、プロジェクト終盤にかけて、高機能でコストメリットのある新サービスがAWSからリリースされます。「リリース前からこのサービスに注目していたISIDが、すぐにこれを活用したシステム構成を提案してくれました。すでにEC2で構築されたシステムがある上に企業での導入事例がほとんどない状況でしたので、正直不安はありましたが、それまで共にプロジェクトを推進してきたISIDとは十分な信頼関係が築けていましたので、思い切ってアーキテクチャの変更を決断しました」
新しく登場したサービスとは、AWS Lambda(ラムダ)とAmazon Kinesis(キネシス)です。前者はイベントごとに起動してコードを実行するサービスで、リクエスト数とコードの実行時間しか課金されないため大きなコストメリットがあります。後者は特定のニーズに合わせて無限に増加するデータを処理するサービスです。このふたつを連動させ、そこにJINSが独自に開発した逐次処理のアルゴリズムを実装することで、運用コストの低いサーバーレスマイクロサービスが実現しました。

「当時はまだサーバーレスという言葉自体が一般的なものでなく、私たちにとって大きなチャレンジでした」と澤田氏は話します。「EC2と比較すると、ログ収集にかかるコストが劇的に減っています。また、運用面でもOSの監視やセキュリティパッチの適用といった手間がなくなり、システムリソースの増減なども柔軟に行えるようになりました。一方、当初からマイクロサービスベースでシステムを構築していたので、システムのインターフェースやアプリケーション側の変更は不要で、ビジネスへの影響はほとんどありませんでした」

まだ世にないものを生み出そうとする私たちに対し、話題性やタイミングを踏まえたうえで、最適な仕組みをすばやく立ち上げてくれました。これは簡単な仕事ではありません。

澤田和寿氏

求めるのは、ビジネス開発の視点

アイウエアの価値を再定義し、革新的な顧客サービスで業界の先端を走り続けるJINS。新たなバックエンドシステムを活用し、JINS MEMEのほかにもパーソナルオーダーサービスJINS PAINT、バーチャル試着のJINS Virtual-Fit、人工知能を用いたレコメンドサービスJINS BRAINなど、これまで業界になかった新しいデジタルサービスを続々と世に送り出しています。これらは単に顧客サービスやセールスにとどまらず、JINSの企業ブランドにも関わる戦略的ツールといえるでしょう。それゆえ、そうしたサービスの仕組みづくりには、技術的ノウハウのほかにビジネス開発の視点が求められます。この点についても、澤田氏はISIDを評価しています。「ブランドビジョンに沿ってテクノロジーを展開していくという意味で、ISIDは最良のパートナーです。まだ世にないものを生み出そうとする私たちに対し、話題性やタイミングを踏まえたうえで、最適な仕組みを短期間で立ち上げていただきました」 さらに澤田氏は、こう続けます。「単に技術を提供してくれるだけでは、私たちは満足しません。こちらが挑戦しようとしていることを理解し、それを最短で、最適なコストで実現する方法を提案していただきたいという思いがあります。最終的に我々が求めているのは”テクノロジー”ソリューションではなく”ビジネス”ソリューションなのです」

  • テンプルエンド:メガネを横から支えるパーツ(テンプル)の先端で、耳の裏にあたる部分を指す。

2017年9月更新

ジンズ 会社概要

  • 社名株式会社ジンズ
  • 東京本店東京都千代田区富士見二丁目10番2号 飯田橋グラン・ブルーム30階
  • 設立1988年7月
  • 資本金3,202,475千円
  • 売上高46,189百万円(2016年8月期実績/連結)
  • 従業員数3,586名(2016年8月末現在/その他準社員等含む/連結)
  • * アマゾン ウェブ サービス、Amazon Web Services、AWS、Amazon EC2、Amazon S3、AWS Lambda、Amazon Kinesis および Amazon Web Services ロゴは、Amazon.com, Inc.またはその関連会社の商標です。

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株式会社電通国際情報サービス コミュニケーションIT事業部 アライアンス推進部
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