株式会社みずほ銀行 日本の大手銀行として初の導入「みずほMessenger」が示した次世代の顧客満足向上施策

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西本 聡氏(株式会社みずほ銀行 個人マーケティング部 リモートチャネルマーケティングチーム 参事役)

先進技術や斬新なビジネスモデルの積極採用によるFinTechムーブメントが金融業界で注目される中、常に業界各社に先んじるチャレンジをしてきたみずほ銀行が、2014年12月に大手邦銀初の新サービスを開始しました。例えばWebサイト訪問者があるページに一定時間留まっていると「何かお困りですか」と問いかけ、チャットによる有人コミュニケーションへと導く「みずほMessenger」です。このサービスがもたらす新たな価値とは何なのでしょう?

Webサイト訪問客の満足度を上げる新チャネル「ライブエンゲージ」との出会い

どんなに新しい技術を用いても、一番大切なのは『人間の気持ち』、『おもてなしの心』。
『みずほMessenger』は、その思いを込めたサービスだからこそ、多くのお客さまにご支持いただいているのだと思います。

西本 聡氏

「みずほ銀行のWebサイトには月間で約数千万ものアクセスをいただいておりますが、操作性や視認性などの理由から、全ての情報を表示することは難しいため、何らかの事情でお困りになるお客さまもいらっしゃいます。コールセンターに電話をかけてくださればお役に立てますが、そうではない場合には、問題が解決されないままWebサイトを退出されてしまうことになります。一人でも多くのお客さまにご満足いただくためにはどうすればよいのか?私たちは常にそういった課題認識を持っていました」こう語る西本聡氏は、「みずほMessenger」導入の牽引役を果たしてきた存在。また、日本でFinTechが注目される以前から、常に新しい取り組みにチャレンジしてきたみずほ銀行が、リテール領域における新規サービス開拓のために、2013年に部門横断で設置した「次世代リテールプロジェクト」の一員でもあります。
「お客さまに最適なチャネルを提供し、最適なタイミングで、最適な情報やサービスをお届けし、よりご満足いただく…そのような私たちの至上命題を知ったISIDが提案してくれたのが『ライブエンゲージ』というプラットフォームでした。アメリカの市中銀行トップ10がいずれも導入していると聞き、驚きました」
米国ライブパーソン社が提供する「ライブエンゲージ」は、Webサイト訪問者が目的をスムーズに果たせるよう、有人チャットへと導き、サポートしていく仕組みを提供するSaaS型クラウドサービス。すでに世界で約8,500社が導入しています。
「Webサイト内での来訪者の動きを察知し、チャットによってサポートしていく仕組みを多くの欧米金融機関が導入しています。そのことは2005年頃から知ってはいましたが、当時の日本には、チャットという手段や文化が定着していませんでした。そのため、仮に導入をしてもお客さまにご利用していただけるかどうかが疑問だったのです。しかし2013年の時点では、そのような日本の状況が一変していました」

「LINE」普及によるチャット親和度向上とみずほの進取果敢の精神が追い風に

『みずほMessenger』という新しいチャネルをさらに成熟させ、次のサービスに生かしたい。
そのためにはISIDというパートナーが欠かせません。

西本 聡氏

「一変した状況」とは、日本人の習慣の変化。「LINE」等のツールがスマートフォンで普及したことにより、チャットは日常的なコミュニケーション手段として定着したのです。
「お客さまのチャットに対する心情面での敷居が格段に低くなりました。また、ライブエンゲージはSaaS型クラウドサービスですから、低コストで比較的短期間の内に導入できます。日本ではまだ実績が少ないツールでしたが、金融系のシステムに強く、当行とも長く付き合いのあるISIDが、いち早く販売代理店としてサポートを開始したことも安心材料となりました。もともとみずほ銀行には新しいものに果敢に挑むカルチャーがありますから、導入までの社内手続きなども比較的スムーズに進みました」
こうして2014年12月、日本の大手銀行としては初となる、有人チャットをベースとした新チャネル「みずほMessenger」のサービスが始まりました。約15の想定シナリオを用意し、その条件にマッチしたWebサイト訪問者の画面に「何かお困りですか」というウィンドウを表示し、オペレーターとつながるチャットサービスへ誘導していく仕組みです。
「お客さまの個人情報には一切触れません。その上で、Webサイト内での動きを、人手を全く介さず、システム的にリアルタイムで確認・解析していきます。そのようにして例えば特定のページに留まっていたり、複数のページを何度も往き来するような動きがわかると、『お困りになっているのではないか』という想定のもと、チャットへの招待画面が自動表示されるように、独自のチューニングを加えていきました」

「85%が満足」という驚異的な成果を今後どう生かしていくか

みずほMessenger 画面イメージ

サービス開始にあたっては、西本氏率いるプロジェクトチームや、ISIDの担当チーム、そして実際に対応するオペレーターが連日集まり、お客さま目線に立った細かな配慮を行き届かせました。「どんなに新しい技術を用いても大切なのは人間の気持ち、おもてなしの心」を持論とする西本氏だけに、「Webサイト内で何秒留まったら画面を出す」というような数々の条件の最適化は、細心の注意を払って行われました。サービス開始後も、毎週のようにISIDのメンバーと西本氏が膝をつき合わせ、アクセスログを解析しながらさらなる最適化に向けたチューニングを実施しています。

「このサービスが多くのお客さまにご支持いただければ、店舗やWebサイトといった既存チャネルと同等のマーケティング・チャネルへ成長させることも可能になります。しかし最優先事項は、あくまでもお客さまに満足していただくこと。この大原則を貫いてきました」お客さまの個人情報を特定しない方針としたものの、それだけにチャットでの回答が一般的な内容にとどまりがちになります。「本当にお客さまのお役に立てるのだろうか」と常に自問自答していた西本氏。しかし、利用者へのアンケートを実施すると、実に85%が「満足」と回答。「率直に嬉しい驚きでした」
では、この結果を今後はどう生かしていくのでしょうか?
「すでに他社行でも同様のサービスが検討もしくは実施されていると聞いていますが、私たちはそれをむしろ歓迎しています。『みずほがまた日本初の新しいことを始めた』ことよりも、金融業界全体のサービスが少しでも向上してくことのほうが大切だからです。FinTechの動向などはもちろん重要ですが、お客さまの満足につながらなければ意味がありません。ですから『みずほMessenger』というお客さまとつながることのできる新しいチャネルを、より成熟させながら、さらに新しいサービスの構築に生かしていきたいと思っています。そのためのパートナーとしてISIDは欠かせない存在です」

  • FinTech:金融(Finance)と技術(Technology)を合わせた造語で、金融とITの融合によるイノベーションや、その実現を目指すスタートアップを指す。

2015年10月更新

株式会社みずほ銀行 会社概要

  • 社名株式会社みずほ銀行
  • 本社東京都千代田区大手町1‒5‒5(大手町タワー)
  • 発足2013年
  • 資本金1兆4,040億円
  • 経常収益2兆4,769億73百万円(2015年3月期/連結)
  • 従業員数34,528人(2015年3月31日現在/連結)
  • 事業内容銀行業

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