武田薬品工業株式会社 製薬業界で進む透明性向上への挑戦。セキュアな情報開示を実現したクラウド活用プラットフォーム

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創業230年超の歴史を持ち、国内製薬最大手の実績を堅持している武田薬品工業は、新しい時代に備え、2020年を見据えた中期成長戦略を発表。“Better Health, Brighter Future”のキーメッセージを掲げ、グローバリゼーション、ダイバーシティ、イノベーションのさらなる強化を進めています。同時にCSR活動をさらに充実させ、経営の透明性促進に取り組んでいます。「企業活動と医療機関等の関係の透明性ガイドライン」(以下、透明性ガイドライン)への対応もその一環といえます。

情報開示に向け、全社で意識を統一

真に価値ある情報開示をしていくこと。
それが至上命題でした。
当社のみならず製薬業界全体の信頼に
関わるミッション。だからこそ、理解と熱意を持ったパートナーが必要でした

赤田 盛宏氏
武田薬品工業株式会社
業務統括部シニアマネジャー

2013年7月、武田薬品工業は前年度に大学・医療機関等に支払った寄附金や講演料の支払先・金額などの情報開示をWeb上で開始しました。これは研究開発型の製薬メーカー約70社が加盟する日本製薬工業協会(以下、製薬協)が2011年に策定した透明性ガイドラインに基づく対応で、他の製薬メーカーも相次いで同様の情報開示に踏み切っています。

新薬の開発には、製薬企業と大学・医療機関等との連携が不可欠であり、基礎研究や臨床開発、販売後の情報提供・収集、安全対策など多岐にわたる活動が両者の密接な協力関係のもとに行われます。そこでは様々な活動の対価として金銭の授受も発生することから、両者の関係性が、医薬の安全性や有効性の判断に何らか影響を及ぼしているのではないかという懸念が持たれる可能性も生じます。

人々の生命や健康に関わる製薬企業には、他の産業以上にその活動の倫理性が求められるため、透明性を担保し企業活動への理解を得ることは、医療の発展に欠かせない取り組みです。製薬協はこれまで様々な自主基準を設けて透明性の向上に努めてきましたが、透明性ガイドライン策定は、そこからさらに一歩踏み込んだ対応といえます。
業界のリーディングカンパニーとしてガイドライン策定に関わり、またいち早く対応に着手したのが武田薬品工業でした。
「透明性向上のための指針作りと、この指針に基づいた情報開示の仕組みの確立。この二つが課題となりました」とプロジェクトの統括役を担った赤田盛宏氏は語ります。

製薬協が透明性ガイドラインで示した対応開始時期は「2013年度に前年度分の情報を公開」でした。早期に動き出した武田薬品工業とはいえ、時間はありません。プロジェクトの推進に関わってきた溝口裕章氏は、当時の状況を次のように説明します。「まずは現状の実態把握が大前提。いつ、どこと、どのような連携を行い、そこでどういう資金授受が行われたか、という情報の一元化を進めました。製薬メーカーにとって医療関係者等との接点は無数にありますから、全社員に共通の理解と意識を持ってもらう必要がありました。そこで、意識統一のため、各地の拠点に足を運んで説明するような地道な取り組みも進めていきました」

直面した課題。透明性・セキュリティ・コスト

透明性・利便性、セキュリティを共存させ、同時に業務上の負担やコストも最小限に抑えなければいけない。
非常に難しい課題でしたが、期限までに成果を出すことができました

明神 聡氏
武田薬品工業株式会社
経営管理部 主席部員

仕組み作りのリーダーとなった明神聡氏は、別の課題に突き当たっていました。
「課題が三つありました。一つは透明性の確保。開示情報が確実に収集され、不特定多数の一般の方々が容易に閲覧できるシステムの構築です。二つ目は、相反するようですがセキュリティの確保。金銭授受の情報は、関係者である医師や研究者の個人情報でもあり、取り扱いには重々注意していかなければいけません。そして三つ目がコストです」

この難題の解決に採用されたのがISIDの「透明性ガイドライン対応情報開示プラットフォーム」でした。アマゾン ウェブ サービスのクラウド環境上にシステムを構築することで、低コストと短期間導入を可能にし、公開用データのセキュリティ設定やアップロード業務、さらにはシステムの監視・運用に至るまでをISIDが代行することで、導入企業の運用負荷軽減も実現するというものです。ISIDをプロジェクトのパートナーとして採択した理由について、明神氏は「理解と熱意」と言い切ります。

「情報の閲覧者、すなわち不特定多数の一般の方々と、情報を開示する側である製薬メーカー、そして金銭授受の情報開示対象となる医師や研究者の側。この三者がともに安心して利用できる仕組み作りには、何より今回のガイドラインの意義を真に理解してくれるパートナーが必要でした。我々の課題の一つであったコスト低減についても理解し、新しいサービス形態を提案に取り入れてくれたのがISIDだったのです」(明神氏)

理解と熱意。これを「クラウド活用×業務アウトソーシング」という具体的な形で提示。セキュリティ確保についても、閲覧希望者の個人認証システム強化や、閲覧情報の二次利用防止策などで示したことが導入の決定へつながりました。

社会からの信頼を業界全体が得るために

溝口 裕章氏
武田薬品工業株式会社
業務統括部 主席部員

「透明性ガイドラインへの対応は、一企業の問題ではなく、医薬に関わるすべての企業が社会に向けて果たしていくべきテーマ。各社が統一したプラットフォームを利用することで、閲覧する側の利便性は高まり、結果として製薬業界に対する信頼や、企業活動への理解も深まります。複数企業での共同利用も含めた、しっかりとした枠組み構築へのチャレンジに賛同したのです」(赤田氏)

情報開示は2段階に分けて行われます。2014年度開示分からはより詳細な情報の開示が求められるため、「透明性」はもとより「セキュリティ」も大きく問われることになります。そうした展開まで見据えて導入されたISIDの「透明性ガイドライン対応情報開示プラットフォーム」は、武田薬品工業を皮切りに、すでに約十数社での利用が始まっています(2013年10月現在)。今後、より多くの企業に活用されれば、その真価をさらに発揮していくことができるはずです。

2013年12月更新

武田薬品工業株式会社 会社概要

  • 社名武田薬品工業株式会社
  • 本社大阪市中央区道修町四丁目1番1号
  • 創業1781年
  • 設立1925年
  • 資本金635億円
  • 売上高1兆5,573億円(2013年3月期/連結)
  • 従業員数30,481名(2013年3月末現在/連結)
  • 事業内容医薬品、医薬部外品等の製造・販売・輸出入

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