IFRS対応、グループ経営管理の高度化を支える連結会計ソリューション
ISIDでは、会計基準の国際化、決算早期化、内部統制など、さまざまな課題を抱える経理業務関係者の方々のために、その課題解決の一助となるように、本メールマガジンを発行しております。
すでに監査法人やコンサルティング会社からも色々なメールマガジンが発行されておりますが、弊社のメールマガジンは、抽象的教科書的なものではなく、実務目線での情報提供を基本にします。どうぞお役立てください。
目次
今回は、経理業務のシェアード化というテーマです。
なぜ、今このテーマを取り上げたかですが、昨今、IFRSという大きなトピックがあり、その後金融大臣の発言等により情勢が時々刻々と変化し、現在は、J-IFRSというテーマになりつつありますが、そのような中で、経理部門が従前から抱えてらっしゃる、間接業務の効率化やコスト低減や、それによって生まれた時間で本来の意思決定や経営判断を行う、という課題に対応することが若干先送りになっているのではないかと考えます。
そこで、今回は筆者がシェアード対応会計システムのコンサルティング・導入をさせていただいた経験をもとに、少しでもヒントになることを筆者の意見としてご紹介させていただければと思います。
一般的に、シェアード化の対象となる経理業務は、以下のような基準で取捨選択できます。
いずれも、前者がシェアード化の対象となり得ます。しかし、下記のような場合は、システムによる自動化の対象となり得ます。
すなわち、上記のような業務は、統合会計システム上に構築してシステムをシェアード化すれば良いことになります。
人間による作業や判断がどうしても残るような業務が、業務のシェアード化の対象となり得るということになります。
たとえば、取引先との電話やメールによるやりとりや、領収書や請求書などの証憑の判断、取引内容から勘定科目の判断などが該当します。
実際に、以下のような業務がシェアードの対象となり得ます。
ではシステムではどのような対応が必要になるのでしょうか?
前述のような経理業務をシェアード化する際にシステムに求める対応には以下のようなものがあります。
システム化の際に課題となるのが、取引先マスタや勘定マスタなどのマスタ体系になります。同一の取引先に対してコードが複数存在したり、勘定科目が各社各様であったりすると、業務やシステムを統合しても、シェアード化による効果が薄くなってしまいます。
システムの導入と並行もしくは先行してプロジェクトを起こして、マスタなどのデータ項目の統合を行うことが、シェアード化の成功のために必要不可欠となっていると筆者は経験上考えています。
ただ、現実的にはシステム導入後どこかのタイミングで、マスタを統合することを可能にすることも、検討する必要があります。その場合、システムでは、稼働中にマスタの変更・統合が可能なこと、という要件が必要となります。
最後に、経理業務を海外のグループ会社でシェアード化、また場合によっては海外の専門機関にアウトソースする、グローバルシェアード化をトピックとして挙げさせて頂きます。
ここで、海外でできるような単純な作業ならば、システムで完全自動化できるのではないか、という疑問がありますが、しかし会計システムで、証憑をOCRで文字認識したり、勘定科目を人工知能で自動判断したり、取引先とのやりとりを自動メールで行う、というレベルには(当然ながら)なっていません。
人間による判断が必要、かつ当事者でなくても可能、かつシステムでの全自動化は不可能というような業務で、ボリュームがある程度あるならば、グローバルシェアードでの効果があると考えます。
まだまだグローバルシェアード化の検討までされている会社は少ないと思いますが、中長期的な目標として、視野に入れることも必要ではないかと筆者は考えます。
◇ 担当:菅田 裕之(ISIDコンサルタント/米国公認会計士)
こんにちは、公認会計士の中田です。
このコーナーでは毎回、経理・財務にかかわる最近のニュースや記事などから特に気になる話題をピックアップしていきます。
よくある、無味乾燥なトピックの紹介ではなく、私見も交えて取り上げていきますので、どうぞご期待ください。
クローカー氏のIFRSに関連する過去の経歴は以下です。
2007年、副主任会計士としてSECに参加
2009年1月から2012年7月まで主任会計士
同氏は、米国会計基準(US GAAP)と国際財務報告基準(IFRSs)とのコンバージェンスの検討についてSECにおける主導的な役割を果たしてきた人でした。
特に退任する2012年に入ってからの動きは、米国がIFRSの導入に対して、かなり前向きな印象を世界に与えました。このことを少し振り返ります。
2012年2月、IFRS諮問会議でクローカー氏は、米国におけるIFRSへの移行の可能性についての特徴を描写するために「コンドースメント」という用語をもはや使用することはないという発言を行いました。
この発言は、(米国のIFRSの適用に関する)前向きなメッセージとして受取られていました。
さらに同じ会議で、ワークプランに基づく最終レポートの公表までを「数ヶ月」と発言し、世界から相当な注目と期待を集めていました。
そしてそれを援護射撃するかのように、5月末にはSECコミッショナーのエリーゼ・B・ウォルター氏が「数週間以内」へと更新するスピーチを行いました。
俄然、「いよいよ米国もIFRS全面適用か?」という憶測を呼びました。
しかし、2012年6月のIFRS諮問会議の会合で、SECスタッフのジュリー・エルハルト氏は、このレポートは、コミッショナーの実態把握の要請に応えるだけのものであり、SECの活動の方向性についての提案を含まないと明言しました。
クローカー氏はその直後に、SECから去りました。
周知のとおり、その後米国も日本と同様に、IFRSへの対応に関して、まったく動かなくなりました。
米国のIFRS対応はクローカー氏とともにあったと、私は感じています。
そして、そのクローカー氏が帰ってきたのです。ただ、クローカー氏が帰ってきたのはSECではありません。米国の会計基準を設定する機関であるFASBです。
クローカー氏は、2013年9月1日付けで、FASBの副議長に任命されました。
副議長の役割は、FASBを代表して外部利害関係者を支援すること、及び必要に応じて現職議長に代わってFASBの内部オペレーションの指導を行うことということです。
私は、クローカー氏が再び会計基準の表舞台に帰ってきたことで、日本と同様、米国もIFRSの適用に向けて急激に変わるような気がしています。
その根拠は、米国も日本と同様「IFRSを顕著に適用している状態」には程遠く、IFRS財団のモニタリング・ボードのメンバー要件を満たしていないからです。
日本の金融庁はIFRS財団のモニタリング・ボードのメンバー要件を満たすべく、今年になって矢継ぎ早に企業会計審議会を開催し、6月20日には最終報告書を発表しました。
米国にも残された時間はあまりありません。
米国も、日本と同様に、2016年までに「IFRSを顕著に適用している状態」という目標に近づけていかなければならないのです。
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