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IFRS対応、グループ経営管理の高度化を支える連結会計ソリューション

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ISIDでは、会計基準の国際化、決算早期化、内部統制など、さまざまな課題を抱える経理業務関係者の方々のために、その課題解決の一助となるように、本メールマガジンを発行しております。

すでに監査法人やコンサルティング会社からも色々なメールマガジンが発行されておりますが、弊社のメールマガジンは、抽象的教科書的なものではなく、実務目線での情報提供を基本にします。どうぞお役立てください。

目次

コンサルタントの眼
〜 管理会計におけるIFRS対応を考える 〜

「日本版IFRS」の作成が開始され、いよいよIFRS対応を巡る議論が現実味を帯びてきました。

すでに2009年の強制適用騒動の際に準備プロジェクトを設けてIFRS会計ポリシーをある程度固めている日本の上場企業では、「いつでもIFRS適用できる」姿勢をとりながら、当面この制度改正の動きを見守っていく方針ではないでしょうか。

反対に制度対応として仮にIFRS(日本版含む)を任意適用することとなった場合の管理連結の対応については、まだあまり検討が進んでない企業が多いようです。そもそもIFRSを適用するかもまだ決めてないのですから、それは当然のことではないかと思います。

ただ、IFRS任意適用の現場を経験した立場から言わせていただきますと、IFRSの初度開示が完了するまで管理会計側のIFRS対応を検討できる時間はほぼ皆無になります。
したがって、今この時期に管理会計のIFRS対応を考えるには非常に良い機会といえます。

IFRS対応は必要

まずは「管理会計をIFRSにする必要があるのか?」という論点があると思います。管理会計で適用する会計基準は企業の自由ですが、私はある程度のIFRS対応は最低限必要であると考えています。

IFRSでは売上高や営業利益の意味が日本基準と異なります。IFRS適用後、開示する財務数値と管理会計の財務数値における売上高や営業利益が著しく異なる場合、意思決定において無視できないものとなるでしょう。
例えば、双日株式会社の2013年3月期の連結決算では日本基準の売上高は39,559億円ですが、IFRSでは17,478億円と約56%減少しています。

なにより、IFRSはグループ会計方針の統一及び決算日の統一を求めていますから、海外展開を果たしているグループ会社が各社各国の会計基準で作成されている財務諸表をIFRSという1つのモノサシで比較分析できるのは経営管理面でプラスの働きをします。グローバル・マネジメント実現の一歩ともなり得ます。

かといって、管理会計で用いる財務数値を完全にIFRSと一致させなければならないかということではありません。IFRS(制度会計)はあくまでも利害関係者への外部報告目的で作成されるものです。経営管理目的の管理会計とは機能の仕方が違います。
この扱いを誤ると、IFRSに経営が翻弄されてしまうといった事態を招いてしまうかもしれません。

どこまで対応させるか

では、どこまで管理会計をIFRSへ対応させればよいのでしょうか。
主要な経営指標だけ対応させるケースもあれば、グループ全社の財務情報のみならず基幹システムまで範囲を広げて対応させるケースもあります。

先ほど双日株式会社の例を挙げましたが、IFRSでは商社特有の取次業務から得た売上高を総額ではなく純額で表示するルールとなっています。
ただし、マネジメントにおいてグループ全体における取扱規模の把握が必要であれば、IFRSで算出された純額売上高だけでなく総額表示に戻した総額売上高も提供すべきです。

重要なのは、経営者のマネジメントに対する考え方と整合していなければならないということです。
当然、経営者は会計の専門家ではありません。制度会計をIFRSとしたときに、従来日本基準で作成されていた財務情報がどのように変わり、そして経営管理にどのように影響を及ぼすのかについて理解ある者のサポートが必要です。
そのサポートこそ、企業経理に携わる皆様が真価を発揮する場面であると私は考えています。

◇ 担当:寺村 航(ISIDコンサルタント)

<関連情報>

中田雑感              公認会計士 中田清穂
〜 どんどん進む、日本版IFRSの作成作業 〜

こんにちは、公認会計士の中田です。

このコーナーでは毎回、経理・財務にかかわる最近のニュースや記事などから特に気になる話題をピックアップしていきます。
よくある、無味乾燥なトピックの紹介ではなく、私見も交えて取り上げていきますので、どうぞご期待ください。

どんどん進む、日本版IFRSの作成作業

先日のこのコラムでも触れましたが、企業会計審議会の審議結果として「国際会計基準(IFRS)への対応のあり方に関する当面の方針」(以下、最終報告書)が金融庁のサイトで6月20日に公表されました。

そして、決定項目は以下の3項目だということも触れました。

1.IFRS任意適用要件の緩和(事実上の撤廃)
2.日本版IFRS(J-IFRS)の設定
3.単体開示の簡素化

今回は2.の「日本版IFRS(J-IFRS)の設定」に関する雑感です。

ASBJでは8月27日に「IFRSのエンドースメントに関する作業部会」(以下、作業部会)が開催されました。これは、いわゆる日本版IFRS(以下、J-IFRS)を作成する組織です。

ASBJのサイトに、この作業部会での審議資料がUPされています。
これによると、すべて会計基準と解釈指針を日本基準と比較して、修正または削除することを検討するとしていますが、たったの4回の会合で一通りの識別を終わらせるということです。

そして、8月27日の作業部会では、早速1回目の比較が行われました。
日本基準と比較された会計基準と解釈指針は以下の20項目です。

IAS 第 2号 棚卸資産
IAS 第11号 工事契約
IAS 第12号 法人所得税
IAS 第16号 有形固定資産
IFRIC 第1号 廃棄、原状回復及びそれらに類似する既存の負債の変動
IAS 第17号 リース
IFRIC 第4号 契約にリースが含まれているか否かの判断
IAS 第18号 収益
IFRIC 第13号 カスタマー・ロイヤルティ・プログラム
IAS 第20号 政府補助金の会計処理及び政府援助の開示
IAS 第21号 外国為替レート変動の影響
IAS 第23号 借入コスト
IAS 第29号 超インフレ経済下における財務報告
IAS 第33号 1株当たり利益
IAS 第34号 期中財務報告
IAS 第36号 資産の減損
IAS 第38号 無形資産
IAS 第40号 投資不動産
IAS 第41号 農業
IFRS 第5号 売却目的で保有する非流動資産及び非継続事業

ASBJのサイトを見ると、この日の作業部会が開催されたのは、13時30分〜15時30分ですので、2時間です。

2時間で20の会計基準や解釈指針について、日本基準と比較して、修正または削除が必要かどうか検討したことになります。
しかも、有形固定資産・リース・収益・減損など、大物ばかりです。

そして、一部情報サイトによれば、会議ではいくつかについて意見が出たものの、明確に削除が必要という意見はでず、「ガイダンスを作ることでカバーできる」とした意見がいくつかあったということです。

この状況を見て私は、以下のように考えています。

1.J-IFRSの中身はほとんど決まっている。
2.この作業部会の最初の4回の審議は、その確認に過ぎない。
3.この4回の審議が終わった後に、非常に限定的に絞られた「修正・削除」項目の修正の「文言」をどうするのかに時間がかけられる。
4.「削除」はさらに限定的で、「修正」は、ピュアIFRSの規定に、日本基準での会計処理を選択肢として「追加」する。
5.結果として、きわめて限定的な項目について、選択適用を認めたものこそ「J-IFRS」となる。

だって、日本基準は選択適用が大好きですから!

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