IFRS対応、グループ経営管理の高度化を支える連結会計ソリューション
ISIDでは、会計基準の国際化、決算早期化、内部統制など、さまざまな課題を抱える経理業務関係者の方々のために、その課題解決の一助となるように、本メールマガジンを発行しております。
すでに監査法人やコンサルティング会社からも色々なメールマガジンが発行されておりますが、弊社のメールマガジンは、抽象的教科書的なものではなく、実務目線での情報提供を基本にします。どうぞお役立てください。
目次
新興国企業の台頭によって、グローバルなビジネス環境は厳しさを増しています。
グローバル展開するビジネスにおいて、個別企業の管理も大切ですが、企業グループ全体を管理することも重要です。
ここでは、企業グループ全体の原価を連結ベースで管理する連結原価計算について取り上げたいと思います。
多国間で工程分業を行う場合、個別企業の工程単位で原価計算した結果を計算すると、販売時点で途中工程の利益(内部利益)が原価に含まれてしまい、本当の原価が分からなくなってしまいます。
対応方法としては、1つ目に会社個別の製造原価報告書を作成し合算した後、内部利益分を控除し連結製造原価報告書を作成する方法があります。この方法は、原価要素の項目の統一は必要ですが、現行のシステムに手を入れる必要が少なく比較的実施しやすい方法です。
もう一つは、関係会社間の品目コード体系(部品表)を統一し、これをつかって原価を積み上げる方法です。実際の材料の消費量や賃率と作業時間等の実績を用いて部品単位あたりの原価を求め、実際の入出庫数量をかけて製品の原価を算出する方法です。この方法は、製品ごとに企業グループ全体の原価を把握でき、実際の取引をベースに原価を積み上げるので、どの工程(会社)でどれだけコストがかかっているかが明らかになります。またこの際、非累加法を採用することにより、販売時点であっても、途中工程の原価構成を把握することができるようになります。
この2つ目の方法を採用することによって、詳細なグローバル製造原価の分析が可能になります。
この2つ目の方法を採用するにあたっては、グループ企業間の原価計算システムの統一が必要になります。グローバル展開されている企業の方のお話を聞くと、「品目コード体系(部品表)の統一」でつまずかれる場合が多いようです。
これからグローバル展開される場合はともかく、すでに稼働してから何年も経つような場合、生産管理・原価管理システムは現地のシステム部門に任せっきりでブラックボックス化しているという場合が少なくありません。
この場合、本社でグローバル原価計算システムを構築しようと関係会社企業にデータの提出を求めても、意図するようなデータが出てこない、あるいは品目コード体系が独自のものになっており使用できず、あきらめざるを得ない、という状況に陥ってしまいがちです。
そこで、現行システムを使ってグローバル原価計算を実現しようとする場合、大事なのは現地に任せず、日本本社からスタッフを派遣して現行システムの現状を分析し、正しいデータを取得することです。
各関係会社の、システム構成を含めた現状分析によって正確な数字を洗い出すことがグローバル原価分析の第一歩となるのではないでしょうか。
◇ 担当:葛野 亮子(ISID コンサルティング4部)
こんにちは、公認会計士の中田です。
このコーナーでは毎回、経理・財務にかかわる最近のニュースや記事などから特に気になる話題をピックアップしていきます。
よくある、無味乾燥なトピックの紹介ではなく、私見も交えて取り上げていきますので、どうぞご期待ください。
2011年6月の「自見発言」以降、昨年まではのらりくらりと小田原評定よろしく何も決められなかった金融庁企業会計審議会ですが、今年に入って、目を疑うばかりの仕事ぶりです。
今年3月、およそ6か月ぶりに企業会計審議会が開催されました。
その後は毎月開催され、6月には2度も開催されました。
そして、6月19日の企業会計審議会では、「国際会計基準(IFRS)への対応のあり方に関する当面の方針(案)」が提示されました。
さらに、翌日6月20日には、"(案)"がなくなった「国際会計基準(IFRS)への対応のあり方に関する当面の方針」が金融庁のサイトで公表されました。
まだピンと来ていない人が多いようですが、この"(案)"がなくなった「国際会計基準(IFRS)への対応のあり方に関する当面の方針」は、企業会計審議会における「最終報告」であり、審議会としての答申なのです。
もちろん、「強制適用」については判断先送りなので、どうなるかわかりません。
しかし、以下の3項目は「決定された」のです。
1.IFRS任意適用要件の緩和(事実上の撤廃)
2.日本版IFRS(J-IFRS)の設定
3.単体開示の簡素化
これが「最終報告」であるがために、早速、ASBJでは7月10日に以下の方針が検討されました。
1.J-IFRS開発のための専門的な作業部会を組織化する
2.J-IFRSは来年の秋までに完成させる
ものすごいスピードです。
J-IFRSを幅広く上場企業に適用してもらうことについて、金融庁とASBJの本気度がひしひしと感じられます。
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