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IFRS対応、グループ経営管理の高度化を支える連結会計ソリューション

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株式会社 電通国際情報サービス

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ISIDでは、会計基準の国際化、決算早期化、内部統制など、さまざまな課題を抱える経理業務関係者の方々のために、その課題解決の一助となるように、本メールマガジンを発行しております。

すでに監査法人やコンサルティング会社からも色々なメールマガジンが発行されておりますが、弊社のメールマガジンは、抽象的教科書的なものではなく、実務目線での情報提供を基本にします。どうぞお役立てください。

目次

コンサルタントの眼
〜 グローバル経理とIFRS対応 〜

最近、経理部門の方とお話しをすると事業のグローバル展開に伴って、経理部門もグローバル対応が求められてきているという話をよくお伺いします。

日本市場が頭打ちになり、経営としてもグローバル展開を一層加速させなければならないという状況にあって、経営ツールとしての経理もグローバル対応が必要なのは当然の流れと言え、ワールドワイドに展開されるビジネスの実態を適切に描写し、経営判断に役立つ数字を作る、ということが経理部門が目指すべき方向性のように思います。

ただ、そういった議論の中でIFRSが語られるケースはまだ少数派であり、IFRSと言えばやはり制度対応案件という意識がまだ多くの企業で根強くあるのではないかと思いますが、グローバル経理の在り方を考えるときこそ、IFRS対応は経営課題であるとことを再認識すべきと言えます。

ここで言いたいのはIFRSの方が日本基準と比べてグローバル経営に適しているということではありません。
基準上の差異だけ見れば日本基準のコンバージェンスによって、残された主な違いはのれんの非償却と開発費の資産計上くらいであることはIASBのハンス・フーガーホースト議長も指摘しているところです。

問題は、IFRSのような原則主義の考えに基づいて、経営が使う数字の取扱いを「自分たちで判断」できるかどうかであると感じています。

IFRSの特徴として原則主義であるという指摘は随分昔から幾度となく繰り返されているのですが、実際にIFRS関連のプロジェクトに携わっているとまさにその点を痛感させられます。基準に詳細な会計処理の方法が記載されていないため、どのような方法が適切か自分たちで考え、関係者に説明する必要が生じてきます。
その際、会計処理の検討の対象である「取引の実態」を把握しなければならないことは言うまでもありません。

反面、日本基準で決算を行う場合はそこまでやらなくても良かったということに改めて気づかされます。実務指針のXXにこういう会計処理の記載があるからもっと言えば監査人からこう指導を受けたから、という理由でも決算を行うことが可能だったため、経理部門が会計基準の根本的な考え方や経営とのつながりを意識しなくても決算を行うことは可能だったということが言えます。

日本を主な市場としてビジネスを行う上では、そのような「日本企業向けの」「誰かが決めた」会計基準で十分だったのかもしれません。

しかし、今後グローバル経営を本格化させていく上では、「自社の経営に適合した」「自分たちが決めた」会計基準を拠り所にしていく必要があると思います。

世にいう、説明責任(アカウンタビリティ)をきちんと果たせる会計(アカウンティング)部門を目指していくということにもつながる話ですがなかなか一朝一夕にはならず、特に要員の育成には多くの時間を要するという点に鑑み、中長期的な課題として対応を検討する必要があるのではないでしょうか。

 

◇ 担当:桑原 正博( ISIDコンサルタント )

<関連情報>

中田雑感              公認会計士 中田清穂
〜 監査制度改革と日本の現状 〜

こんにちは、公認会計士の中田です。

このコーナーでは毎回、経理・財務にかかわる最近のニュースや記事などから特に気になる話題をピックアップしていきます。
よくある、無味乾燥なトピックの紹介ではなく、私見も交えて取り上げていきますので、どうぞご期待ください。

監査制度改革と日本の現状

先日ある会計事務所主催の研修会に参加しました。
研修会の内容は、監査に対する信頼性が失墜していることから、アメリカ、ドイツ、オランダなど世界中で監査制度の改革が検討されているということでした。

そして、欧州委員会(EC)では、2011年11月30日に監査制度改革案を決定公表しています。
その概要は次のようなものです。

(1) 監査事務所の強制ローテーション

「担当会計士」のローテーションではなく、「監査事務所自体」のローテーションです。
監査事務所は、最大6年の任期後交代を要求され、再び同じクライアントを監査するためには、冷却期間として4年の期間を経る必要があります。

(2) 強制入札

公開企業は、新しい監査人を選ぶ時、公開の透明な入札を義務づけられます。
そして、その企業の監査委員会がその選択手続にしっかりと関与する必要があります。

(3) 非監査サービス

監査事務所は、彼らの監査クライアントに非監査サービスを提供することが、「完全に」禁止されます。
それどころか、大規模監査事務所は、監査業務しか行えなくなり、アドバイザリーサービスなどの非監査活動が「完全に」できなくなります。

(4) 監査部門のヨーロッパ全体の監督

監査のグローバル化に対応するためには、監査ネットワークを監督する、EUレベル及び国際レベルでの協力と調整が重要になることから、ECは監査人監督活動の調整はEU市場証券当局(ESMA)の枠内で確保されることになります。

(5) 監査人のヨーロッパパスポートの導入

監査事務所が全ヨーロッパでサービスを提供できるようにすると共に、法定監査を実施する時は、すべての監査人及び監査事務所は国際監査基準(IAS)に従うことが要求されます。
具体的に言えば、イギリスの会計士が、ドイツやオランダやギリシャで監査業務ができるようになるということです。

私が今回参加した、冒頭の研修会の講師の先生は、現在金融庁の審議会の委員もされていて、金融庁も当然このような監査に係る問題と、世界的な改革の動きを感知しているとおっしゃっていました。
そして、ECをはじめとする世界的な監査制度の改革内容を、現在の日本の監査法人や公認会計士に対して実施したところで、効果があるのかどうか、強い疑念を持っているようだともおっしゃっておられました。

なぜなら、エンロン事件で朝日監査法人が解体し、カネボウ事件でみすず監査法人がなくなるなど、「大規模監査法人の業務停止」という最大級の厳罰を加えたにも関わらず、大王製紙事件やオリンパス事件などが絶えない状況をみて、日本公認会計士協会を中心とする監査業界では、事件が発生する都度、業界全体で「総括」することを怠り、そのために有効な改善を自ら行えないわけだから、「いくら規制しても無駄ではないか」という徒労感が、金融庁内部に発生しているというのです。

その結果、以前このコラムでお話しした「統合報告」に関する「非財務情報」に対する監査や保証業務について、現在の公認会計士とは別の制度で行うべきではないかという議論にまで発展しかねない状況のようです。

これからの数年間で、IFRS適用どころではない、もっと大きなうねりが、決算の現場と監査の現場に、押し寄せてくるかもしれません。

 

公認会計士 中田清穂氏のホームページ
http://www.knowledge-nw.co.jp/

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