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IFRS対応、グループ経営管理の高度化を支える連結会計ソリューション

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株式会社 電通国際情報サービス

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ISIDでは、会計基準の国際化、決算早期化、内部統制など、さまざまな課題を抱える経理業務関係者の方々のために、その課題解決の一助となるように、本メールマガジンを発行しております。

すでに監査法人やコンサルティング会社からも色々なメールマガジンが発行されておりますが、弊社のメールマガジンは、抽象的教科書的なものではなく、実務目線での情報提供を基本にします。どうぞお役立てください。

目次

コンサルタントの眼
〜 IFRS対応、どちらが勝ち組? 〜

先日、米国の財務報告制度へのIFRS組込に関するSEC(米国証券取引委員会)のファイナル・スタッフレポートが公表されました。

事前の期待としては、同レポートにより「米国がIFRSを導入するか否か、また、導入する場合の時期や方法」などが明らかになるのではと言われていましたが、そのような結論めいた記載はなく、あくまで、IFRSの導入可否や方法を判断する際に考慮すべき事項についてのSECスタッフの見解を示す内容に留まっています。

これを受けて、一部の新聞紙上では米国の判断が2013年以降に先送りになり、金融庁の議論も長期化することが確定したかのような報道がされたため、昨年6月の大臣発言に続き、日本企業のIFRS対応の動きに対してまたもや冷や水を浴びせられたような状況になっています。
(ちなみに、SECのレポートには米国の判断が2013年以降になるといったような具体的なことはどこにも書かれていないので、上記報道の受け取りかたには注意が必要です)

ここで事実としてお伝えしておきたいのは、弊社の連結会計システムのユーザー様や、コンサルとしてIFRS導入をご支援しているクライアント様のなかで、以前からIFRS導入の準備を始め、ある程度のところまで進んでいるところでは引き続きIFRSへの対応を着々と進めておられるということです。

今後、IFRSの任意適用を予定している日本企業は十数社との報道もありましたが、水面下では、とてもそんな数ではない企業が任意適用に向けた準備を進めていると考えてよいと思います。つまり日本企業全体が様子見なのではなく、先にIFRS対応を済ませてしまう会社と、周回遅れ(感覚的には2周遅れくらいかもしれません)でIFRS対応する会社との差がますます開いていくという状況が出てきます。

果たしてどちらが勝ち組なのでしょううか?

現時点でどちらと言い切るのは乱暴ですが、少なくとも大きな目標が定まらずそれゆえに関連する投資(その中には制度対応だけではなく、経営や業務への役立ちを目的としたものもあるはずです)が一括りにされて凍結されるような状況がいつまでも続くのであれば、長い目で見たときには当然、自社の競争力へのダメージが出てくるでしょう。

現業を抱えながらIFRS対応も考えなければならない経理部門にとっては非常に進め方が難しい状況ですし、コストや対応負荷を考えると当面は棚上げにしておきたい気持ちになるのも自然なことだと思いますが、結論を先送りすることに本当にメリットがあるのか?といった観点で、一度、考えてみる必要があるのではないでしょうか。

経営に対してそのようなメッセージを発していけるのは、経理部門の皆様しかいないと思っています。

◇ 担当:藤原啓之( ISIDコンサルタント / IFRS Certificate )

<関連URL>
SEC Press Release
http://www.sec.gov/news/press/2012/2012-135.htm

<関連情報>

中田雑感              公認会計士 中田清穂
〜 東南アジアと日本 〜

こんにちは、公認会計士の中田です。

このコーナーでは毎回、経理・財務にかかわる最近のニュースや記事などから特に気になる話題をピックアップしていきます。
よくある、無味乾燥なトピックの紹介ではなく、私見も交えて取り上げていきますので、どうぞご期待ください。

東南アジアと日本

7月19日の日本経済新聞の朝刊に、以下の見出しの記事がありました。

『内部分裂したASEAN』

この記事は、ASEANが45年の歴史で初めて、ASEAN外相会議で共同声明を出せなかったという、前代未聞の事態を深刻に受け止める内容の記事でした。
この記事の最後に、以下の記載がありました。

『このように内部分裂したASEANが、3年後に迫る経済統合を実現できるとは思えない。』

ASEANは、インドネシア、マレーシア、フィリピン、シンガポール、タイ、ブルネイ、ベトナム、ミャンマー、ラオス、カンボジアの10カ国が加盟していて、人口が 5億8100万人(2009年)と欧州連合 (EU) や北米自由貿易協定(NAFTA) より多いのです。

実は、ASEANは、2007年11月にASEAN首脳会議で「ASEAN憲章」を採択し、包括的な「ASEAN共同体」の実現を目指しています。
「ASEAN憲章」は、ASEANに法人格を与えるとともに、その組織と制度を整備した基本条約(EUの「マーストリヒト条約」に類似したもの)だといえます。
つまり、欧州連合(EU)の実現に重要な役割を担った「マーストリヒト条約」と同じ役割を持つのが「ASEAN憲章」だと言えるでしょう。この「ASEAN憲章」を土台にして、EUと同じような経済圏である「ASEAN共同体」の実現を目指しているのです。

実際、2010年には、ASEAN自由貿易地域(AFTA)先行6カ国(ブルネイ、インドネシア、マレーシア、フィリピン、シンガポール、タイ)が、原則として全ての品目について相互の関税撤廃を実現させています。
そして、2015年には、残る4カ国(ベトナム、ミャンマー、ラオス、カンボジア)を含めて、加盟国内全てで関税を撤廃し、「経済」だけでなく、「政治・安全保障」「社会・文化」での連携を深める「ASEAN共同体」を実現させるロードマップになっているのです。

冒頭の日本経済新聞の記事は、フィリピンとベトナムが中国と領有権をめぐって対立している、南シナ海のスカボロー礁(中国名・黄岩島)の取扱いを、議長国カンボジア(親中国)の外相が事実上中国を支持してしまったことで、共同声明をだせなくなったことを非難したものです。

ASEANは、加盟国内だけでなく、日本・中国・韓国などを含めた「東アジア経済共同体」実現にむけて推進役となり、さらなる成長を目指しています。
つまり、日本だけでなく、世界経済にとっても、ASEANは重要な役割を持ち始めているのです。

先日、来日して講演した前IASB理事長のトウィーディー卿の言葉が印象的でした。その言葉とは、

『日本は今後、IFRSの改善を求めるならば、まずアジアの意見をまとめて欲しい。それが私たちが期待する日本の役割です。そのために、日本はIFRSの適用を早く表明して欲しい。』

というものです。

今後IASBへの意見を発信するためには、まずアジアの意見をまとめる必要があるのです。日本や中国単独での意見発信は、影響力が小さいということではないでしょうか。

もし、日本がアジアの意見をまとめないとしたら、日本に代わってその役割を担うのは、中国でしょうか、韓国でしょうか、あるいは他の国でしょうか。
ここでイニシアチブがとれないことがどのような悪影響をもたらすのか、それをきちんと認識することが大切です。

それは会計基準が国際経済においてどのような意味をもつのかを理解する必要があるでしょう。

特に、投資判断の際に重要な情報である財務情報が、どのような会計基準で作成されているかで、多くの影響を受けることを考えると、「世界の工場」から「世界の市場」に脱皮しようとしている中国が、資金を投資に振り向ける余力をもった「債権国」になった今、世界中の企業や不動産を買いやすくする会計基準にしようと考えてもおかしくないと思います。

つまり、どの会計基準を採用するかという問題は、「どの会計基準が最も高品質か」というよりも、「日本が世界経済で最も有利になる会計基準はどれか」という問題なのです。

実際中国の海外でのM&Aは活発化しています。
日本にもその目を向けています。

今後日本は買われる身として生き続けるのか、あるいは、海外投資を積極的に展開して、海外子会社からの配当を促進していくのか、といった戦略的な観点で、会計基準の問題を考えるべきだと思います。

 

公認会計士 中田清穂氏のホームページ
http://www.knowledge-nw.co.jp/

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