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IFRS対応、グループ経営管理の高度化を支える連結会計ソリューション

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ISIDでは、会計基準の国際化、決算早期化、内部統制など、さまざまな課題を抱える経理業務関係者の方々のために、その課題解決の一助となるように、本メールマガジンを発行しております。

すでに監査法人やコンサルティング会社からも色々なメールマガジンが発行されておりますが、弊社のメールマガジンは、抽象的教科書的なものではなく、実務目線での情報提供を基本にします。どうぞお役立てください。

目次

コンサルタントの眼
〜連結先行に関する考察:連結で消えるから問題ない?〜

IFRSの適用については連結先行ということが言われています。
これは、日本においてはまず連結財務諸表に対してIFRSを適用することが求められ、単体ベースの財務諸表には適用しなくても良いというものです。

このことから、IFRS対応に必要な会計処理のうち連結財務諸表に影響を与えないものは、「連結で消えるから問題ない」として対応しない、という声も一部で聞かれます。

どういうことか、以下の例で検証してみたいと思います。

  • 例】製品販売に含まれる一部の保守サービスが独立した履行義務として識別され、繰り延べ処理が必要な場合


(1)単体決算上は以下のような組み替えを実施することが考えられます。

 [日本基準の単体FS]

    売上(グループ外) 100  売上(グループ内) 100

↓ 一部を繰延収益に振り替え

 [IFRSの単体FS]

  売上(グループ外) 90   繰延収益(グループ外) 10

  売上(グループ内) 90 ・・・【A】
  繰延収益(グループ内) 10


(2)連結決算上は以下のような相殺消去仕訳を行うことが考えられます。

 [日本基準における相殺消去仕訳]

  売上(グループ内) 100 / 売上原価 100

↓ 売上+繰延収益を消去するように仕訳を変える

  [IFRSにおける相殺消去仕訳]

  売上(グループ内) 90 / 売上原価 100 ・・・【B】
  繰延収益(グループ内) 10 /


(3)結果として、消去後の連結売上高は以下のようになります。

 [IFRSの連結FS]

  売上(グループ外) 90

  繰延収益(グループ外)10

上記の例では、【A】と【B】がIFRS対応に伴う会計処理の変更のうち、連結に 関する部分となりますが、これは連結上消去される(いわば「行って来い」と いう関係になる)ため、連結上は影響を与えないことが分かります。


では、連結上消去されるものについては、IFRS対応に際して全く検討しなくて も良いかというと、必ずしもそうではなく、以下のような点を考慮する必要が あると考えられます。


a)IFRSベースの単体財務諸表が不完全なものになってしまう
 例えば売上高を見た場合、グループ外部に対するものは一部を繰り延べているが、グループ内部に対するものは繰り延べていないということが起こりえるため、いびつな売上高の数字となってしまいます。
 
 これは、IFRSベースの単体財務諸表を経営管理で使用するようなケースに特に問題になります。

b)キャッシュ・フロー計算書の作成に影響を及ぼす
 きちんとした単体財務諸表がない場合、直接法または間接法(原則法)でキャッシュ・フロー計算書を作成する場合に問題となります。

c)業務上フローが複雑化する恐れがある
 単体ベースで一度IFRS財務諸表を作成した上で連結決算を行うことを前提とすると、グループ内の取引とグループ外の取引とで会計処理を変えなくてはならないことになり、かえって処理が煩雑になるケースもあると考えられます。 

d)単体のIFRS適用しなければならない場合に対応できない
 仮に将来、単体財務諸表においてもIFRSが適用されるとなった場合は、別途対応が必要となってしまいます。


IFRS対応プロジェクトにおいては最初から「連結で消えるから問題ない」と片付けるのではなく、影響の検討は行ったほうが良いといえるのではないでしょ うか。



担当:藤原啓之(ISIDコンサルタント/IFRS Certificate)


<関連情報>

実録!!IFRS Q&A 公認会計士 中田清穂
〜収益(工事進行基準)〜 

こんにちは、公認会計士の中田です。

このコーナーでは、私の著書である『わかった気になるIFRS』の巻末に紹介している『IFRS質問箱』に実際に投稿された質問とその回答を中心に、このメルマガ読者の皆さんからいただいた疑問点や、ISIDのコンサルタントがお客様からいただいたご質問なども交えてご紹介しています。

学習レベルにはバラツキがあり、いろんな部署の方からのご質問があります。これまでみなさんが持たれた疑問と比べることも、意味があるはずです。また、これまでどこにも公表されていない貴重なQ&Aですので、どうぞご期待ください。

今回は、収益(工事進行基準)についてのご質問を取り上げます。

ご質問

収益(工事進行基準)

IASBから、新しい収益認識基準の公開草案が出されていますが、新しい基準になると工事進行基準は無くなるのでしょうか。

 

回答

今回の草案が正式な基準になった場合、現行のIAS11号「工事契約」は廃止されることが謳われています(ED86項)。そのため、基準上、IAS11号に規定され た「工事進行基準」という言葉は無くなると思われます。

一方、今回の新しい収益認識基準でも、「財又はサービスが連続的に移転される」取引の場合はこれまでの工事進行基準と同様、投入した資源の割合等に応 じて収益認識することが可能になっています。(ED32,33項)

となると、このパラグラフは、関連会社の持分は、親会社及びその子会社が保 有している持分の総計だけで把握するけれども、当該関連会社の関連会社の損益及び純資産については、一旦当該関連会社が持分法を適用した後の財務諸表 に対して、親会社及びその子会社が保有している持分を認識することとなっているようにも解釈できます。

ただし、「財又はサービスが連続的に移転される」かどうかは公開草案で採用されている「支配」の概念に基づいて判断するため、現在、工事進行基準を適用している全ての取引に適用できるとは限らない点に注意が必要です。

メルマガ事務局より

このコーナーでは読者のみなさまからのご質問を受け付けています。
以下のメールアドレスまでお気軽にお寄せください。

いただいたご質問にはすべてお答えする予定ですが、お答えするのにお時間がかかる場合がありますので、予めご了解ください。
g-ifrs@group.isid.co.jp 『ISID 経理財務メールマガジン』事務局

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